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INTERVIEW

Japanese

LEGO BIG MORL

 

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Member:カナタタケヒロ(Vo/Gt) タナカヒロキ(Gt) ヤマモトシンタロウ(Ba)

Interviewer:秦 理絵

"衣食住と愛がないと"。今年3月に結成15周年を迎えたLEGO BIG MORLのニュー・シングル「愛を食べた」の最後で歌われるワンフレーズだ。誰かを愛して生きるという感情を特別扱いするのではなく、生活の一部にある大切なものとしてナチュラルに描き切る。それは、今のレゴ(LEGO BIG MORL)だからこそ完成できた、とても普遍的なテーマだ。前作「潔癖症」に続き、アレンジは辻村有記(ex-HaKU)が担当。ラストに向かって晴れやかに高揚していく実験的なサウンド・アプローチと、その根底を支える手数の多いバンド・サウンドが美しく両立する聴き応えのある1曲になった。最初にテーマは決めず、二転三転しながら、丁寧に想いを育むように完成させたという今作について、メンバー全員に訊いた。


いつもどおりのラフさを出すことによって15年もやってるバンドってすごいなって見せられるというか


-15周年ツアー"LEGO BIG MORL 15th Anniversary Tour 「十五輪」"渋谷クアトロ(CLUB QUATTRO)公演の2日目を観させてもらいました。アニバーサリーを掲げてるけど、"盛大に祝う"というよりも、純粋に、これまでのレゴとこれからのレゴの在り方をシンプルに伝えるライヴだったなと思いました。

カナタ:たしかにそうですね。俺らも"祝おう"とか、そういう想いでセットリストを組んでないですし。もちろん"周年やから、この曲はやろう"っていうのはあるけど。そんなテンション感より、"久しぶりにみんなに会えるね"って気持ちとか、この線路を自分たちで歩けてるなという......うん、"歩いてるな"って感覚ですね。

-そうそう。歩いてきたし、歩いてるし、歩いていくんだみたいな感じですよね。

カナタ:そうですね。

ヒロキ:10周年を1回経験してるのでね。10周年は"周年"という行事が初めてやったので、お祝い感が強かったんですけど。15周年になったこのタイミングは、胸を張って"祝いに来てくれ"と言える情勢でもないっていう難しさもあって。でも、ちゃんとこれからも歩いていくっていう提示の仕方はしたいなと思ってましたね。

ヤマモト: 15っていう数字にはあんまり大した意味はないですよね。ヒロキが言ったとおり、らしさを出せれたらなとは考えているんですよ。今の世の中の状態で音楽を聴きに来ることに対しては、お客さんもいろいろな想いがあると思うんです。でも、やっぱり自分は大っきい音を聴いて演奏をするのが楽しいなって、この1年間で再認識できたというか。15周年にかこつけてワンマンでライヴをやることで、自分たちも自然と笑顔になれたし、お客さんの表情も自然に受け取れた気がしますね。

-今回のツアーで、演奏していて特にぐっときた曲とかはありましたか?

ヒロキ:僕は「傷」(2016年リリースのベスト・アルバム『Lovers, Birthday, Music』)ですね。たぶん、また5年ぐらいやらないと思うので。

カナタ:間違いない(笑)。

ヒロキ:10周年のベスト・アルバムで、新曲として「Blue Birds Story」と「傷」の2曲を作ったんですけど。「Blue Birds Story」は表題曲やったからよくやるんですよ。「Blue Birds Story」と「傷」は、10周年の光と影なんですよね。その影の部分を久しぶりに歌えて、影の歌だからこそ、余計にぐっときました。お客さんからも好評ですね。

ヒロキ:たしかに。今回のツアー、「傷」の調子めちゃくちゃいいですね。当時、10周年のときに作ったレベルを遥かに超えてるものを提示できてる気がするな。

-シンタロウさん、カナタさんはどうですか? このツアーで印象に残った曲というと。

ヤマモト:僕は1曲目の「取捨選択」ですね。(2020年リリースの7thアルバム『気配』への)THE導入って感じの曲だから、それがライヴでもうまく機能してくれたというか。あの曲自体は最初の導入としては物悲しいんですよ。憂いのある感じがあって。バンドインしたときに一気に高揚感が出る。いきなり激しい曲じゃなくて、1回落ち着いてお客さんを見られるっていうのはすごくいいです。

カナタ:俺はいろいろあるんですけど......。ほんまこの前、渋谷の公演で「Ray」(2008年リリースの1stシングル表題曲)が、10年ぶりぐらいにこんなに気持ち良く歌ってるな、自分って。その世界に入れてるなって思ってたら、歌詞を間違えましたね(笑)。「Ray」は本当に1回も間違えたことないんですけど。あの曲だけはいつも今でいさせてくれる、というか。昔をフラッシュバックするとかじゃなくて、今で歌えるなと思います。

-あの日、MCで印象的な出来事があって。グッズ紹介のあと、ヒロキさんが"みんな無事に帰ってほしい"みたいなことを言いかけたときに、シンタロウさんのキーボードがポーンって鳴ってしまったんですよ。

ヒロキ:あぁ、ありましたね。

-それが絶妙のタイミングすぎて、お客さんも笑っちゃったんですけど、そのなかで、カナタさんが"15年間やってきて良かったぁ"って言ってて。

カナタ:意味がわからん(笑)。

ヒロキ:いい話みたいに聞こえるけど、全然深くないよ。

-あの言葉が自然に漏れちゃう感じがいいなと思ったんですよね。

カナタ:俺、なんで言ったのかも覚えてないけど。でも、お客さんはこの3人に会いに来てくれてるわけじゃないですか。今回のツアーは本当に来てくれた人を確認しながら回れてるんですよ。それが自分たち3人にとっては力になるし。あと、何よりも実感しちゃいましたよね。この3人でLEGO BIG MORLを立ち上げて、会社を立ち上げて、ここまでほんまに来たんやなって。そういう感触が僕の中ではすごく感じられたツアーだった。それが思わず、その......シンセがポンってなったときに出たのかなと。

-ええ(笑)。だから、「潔癖症」(2021年3月リリースの配信シングル)のインタビューのとき、15周年を迎える気持ちは聞いたけど、ツアーを経てまた少し変わったんだろうなと思いました。

ヤマモト:ライヴをやると、感謝の気持ちがより強まりますよね。ほんまに周年だからって特別なことをしたいとは思わないんですよ。でも、日頃お世話になってる人や、応援してくれてる人に対しては恩返しとか、そういう気持ちでやれたらなっていうのはあるので。そういう意味では、やっぱり常にいいライヴを心掛ける大事さに、周年があることで改めて気づかせてもらえる部分はあったと思います。

ヒロキ:さっきも言ったように、10周年やからドカーンとベスト出して、アー写も金かけてと言うよりは、もっとラフでいんですよ。これは「愛を食べた」の話にも繋がるんですけど。日常に根づいたというか。いつもどおりのラフさを出すことによって、15年もやってるバンドってすごいなって見せられるというか。

-まさに、今のレゴは自然体でかっこいいっていうのを痛感します。

ヒロキ:それがすごいやろっていう感じの1年なんですよね。