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INTERVIEW

Japanese

LEGO BIG MORL

 

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Member:カナタタケヒロ(Vo/Gt) タナカヒロキ(Gt) ヤマモトシンタロウ(Ba)

Interviewer:秦 理絵

-で、今話に出た「愛を食べた」について聴かせてください。全部のセクションがすごく丁寧に組み立てられているのがわかる曲で。どんなふうに作っていったんですか?

ヤマモト:これはキンタ(カナタ)さんの弾き語りで4曲ぐらい候補曲が送られてきた中で、自分が一番アンテナに引っ掛かった曲だったんです。デモの段階ではもっと爽やかさが強かったんですよ。メンバーからは、アイドルみたいやから、もうちょっとLEGO BIG MORLみたいにしてくれって言われて。最初はそんな感じですね。

カナタ:そんな爽やかやったかなぁ(笑)。俺はギター・ロック寄りにしたかったんですよ。改めてレゴのバンド・サウンドって、どういうものなのかな? と。そういう思考だったんです。だから最初のシンタロウのアレンジもバンドらしさ、ギターの掛け合い、初期のレゴらしさみたいな記憶があって......。

-そこから、かなり二転三転したんですね。

カナタ:そうそう。サビも新しく作りましたからね。で、"こんなにファルセットいく?"みたいになって。

-この曲はカナタさんのファルセットがひとつの特徴になってますよね。

カナタ:メンバーにも相談したんですよ。そしたら、これぐらいファルセットで攻めるのがいいと思うみたいな話になったので、腹くくろうと思いました。昔、「バランス」(2010年リリースの4thシングル表題曲)でもオクターブでハーモニーをやるっていう手法はやってるんですけど。これだけファルセットを全面に出す音像は今までになかったと思うし。難しかったです。

-で、後半の大サビまではファルセットだけど、最後のセクションでぐっと地声になるのがすごくいい。

カナタ:最後の"Everybody~"で地声ゾーンになるっていうね。あそこって、パンクな要素ですやん。ああいうのがすごく生きますよね。あそこはライヴでやってても、ものすごく気持ちいいポイントで。ぐっとひとつになるなっていうのは感じました。

ヤマモト:あのへんはフル尺を作るときのクセですよね。最終的にバーンっていきたくなるというか。レゴの曲ではよくあることではあって。

カナタ:スパーク的なね。

ヤマモト:音で"どや!"って感じを出せる。サビが軽やかな雰囲気だから、最後によりバンド的な展開に持っていきたかったんですよ。「気配」(7thアルバム表題曲)に続き、"アンセムを作りたい"っていうモードでもあったので。ここで一緒に歌うっていうのはやりたかったんです。

-あと、この曲が面白いのが、1番と2番でAメロ、Bメロのオケがまったく違う曲みたいになるところ。

カナタ:途中でいきなり2ビート感が出てきますから。そこもいいですよね。ぐっとスピードが上がるし。

-メロディの下ではヒロキさんがギターをものすごく弾き倒してますよね。

ヒロキ:最初、シンタロウさんがデモを作ったときのギターは、そんなに難しいフレーズを入れてなかったんですよ。でも、(アレンジャーの)辻村有記(ex-HaKU/Vo/Gt)が弾きたがりなので。僕、辻村有記がアレンジするようになって、ギターが上手なってるんですよ。ギターがムズすぎて、めちゃ練習せなあかんから。それは「潔癖症」もそうだったし、『気配』もそうだし。ただただギターは難しくなってますね。

-この曲は歌詞も痺れました。無駄な言葉がひとつもない。

ヒロキ:あ、本当ですか。ありがとうございます。

-日常の中にある愛というものを描きたかったのかなと思うんですけど。このテーマで書いたきっかけはあったんですか?

ヒロキ:「Blue Birds Story」とか「傷」のときみたいに、周年やからこういう曲をやろうっていう手法ではなくて。今回はキンタの弾き語りのデモの段階から、ちゃんと固まってたんです。キンタのメロディがふわっとしてるなら、僕も歌詞を書いたうえで、メロディを変えてくれって言ったりもするんですけど。じゃなくて、リズム感がすごくいい曲だから、そこを崩さないように書こうって決めて。あとは見切り発車なんです。Twitterには、"地図を持たずに歩いてたら、めちゃめちゃきれいな海に出た"みたいなことを書いたんですけど。そっちの手法を久しぶりにやってみました。

-じゃあ、できあがってみて"あ、自分はこういうことを書きたかったんだ"って気づく感じだったんですか?

ヒロキ:そう、書き終わってからもう1回地図を見れた感じですよね。この曲って、もしメロディに負けないように歌詞を書いてたら、重量オーバーになっちゃったと思うんですよ。何も考えずに書いたほうがメロディに乗っかれたというか。あとで読み返したら、意外に言葉が重量ぴったりやったな、みたいな。普段の捻くれ方と違って、途中で急に"I love you"とか入れることによって、逆に捻くれてるように感じたり、まっすぐ書くことが変化球になったりした。"あ、そうやったんや"っていうのもあとでわかりましたね。 カナタ:たしかに。そこの"I love you"のメロディは、俺の中でトリッキー要素として作ったんですよ。そこにヒロキがドストレートなものを乗っけることで、たしかに重量バランスは保ったなって思いますね。

ヒロキ:そこなんて作詞というよりもパズルですよね。さっき、デモを作ってる話で出てなかったので一応言いますけど、"幸せを求めすぎることが怖い"って落ちるところ、本当はあそこがサビだったんですよ。

カナタ:そうやそうや!

ヒロキ:サビのド頭のメロディがあれやったんですよ。だから、僕がサビのつもりで書いてた言葉が紆余曲折の中で変わっていって、じゃあイチから変えますっていう感じで。もし僕がこういう流れで書かなあかんねんって決めちゃってたら、この曲はできなかったと思いますね。ストーリー仕立てじゃなかったからいけたというか。

-こういうラフなラヴ・ソングは、ある程度年齢を重ねないと書けないですよね。

ヒロキ:これって、ラヴ・ソングに感じてもらえてますか?

-あ、分類するならラヴ・ソング、愛の歌かなと思ったんですけど。むしろヒロキさんの中では人生の歌という認識ですか?

ヒロキ:うん。どっちかというと、そっちでした。ただの情景描写というか。ある男女の1日でしかないなと思ってるので。

-全部が自然ですもんね。"君がすべて! I LOVE YOU!"みたいな感じじゃなくて、"衣食住"と同じ並びで、誰かを愛する行為もあるっていう。

ヒロキ:そうそう、だから「Ray」の歌詞を入れたんですよ。

-"昔先に死なせてって歌があったっけ?"のくだりですね。

ヒロキ:初めてのラヴ・ソングとの対比を見てもらうために入れたんですよ。「Ray」なんてクソ重たいじゃないですか。あんな男と誰も付き合いたくない(笑)。

-(笑)まぁ、恋愛にはああいう一面もありますから。

ヒロキ:その重さの対比を明確にするには、デビュー当時のラヴ・ソングを入れるのがいいなと思ったんです。

ヤマモト:"愛を食べる"っていうフレーズって、重く聴こえがちだと思うんですよ。でも、さっき"全部が自然"っておっしゃってくださいましたけど、人間のすごくナチュラルな部分なんですよね。受け手によっては、すごくきれいなものだと思うかもしれないし、実はエグいものにも感じる。それを象徴した言葉なんです。この曲って、すごく日常的なことを歌い始めて、最終的に"衣食住と愛がないと"っていう普遍的なところにすとんって落ちていくんです。ヒロキは、"ストーリーになってない"って言ったんですけど。僕の中では、宮崎 駿の映画みたいな。

カナタ:ふふ(笑)。

ヤマモト:1回下降してから上昇していくような......。

-しっかりと起承転結がある?

ヤマモト:そうですね。っていう意味で、いい歌詞だなと思ったし。あと、"愛を食べた"って言うと、僕はお母さんの授乳を連想するんです。お母さんは愛を与えてるけど、赤ちゃんは捕食的な意味でしか授乳してないんじゃないか、とか。

-そう考えると深いですね。ヒロキさんは、そういう意味も込めたんですか?

ヒロキ:いや、ないです。

ヤマモト:"ある"って言って(笑)!

ヒロキ:でも、そういうふうにも見えるっていうのもわかりますよね。

カナタ:はははは! めちゃくちゃおもろいやん。でも、ほんまにね、ヒロキが"重さ"を大事にしたって言うのは、「潔癖症」でも感じてて。

ヒロキ:うんうん、手法は一緒やと思うわ。

カナタ:「潔癖症」で歌ってる人間は弱いものやし、間違えるものやしって、そういう言葉の選び方が、今僕が歌っててすごくフィット感があるんですよ。弱さを描くヒロキの具合が、僕の中ではぐっとくるポイントなんです。そういう意味では、「潔癖症」からが続いてるなって。歌詞をなぞりながら歌うと、その世界がよく見えるんですね。日常の風景と愛を食べてる仕草や感情が。愛を食べる行為というのはきれいなものじゃないとか。それもヒロキと喋ったんですけど、ガツガツしてるイメージやって。俺もそういうふうに捉えてたし。そういう意思が伝わる歌詞かなと思いますね。

-わかります。美しいだけじゃない"愛"の在り方ですよね。

カナタ:うん。あと、僕はBメロが特にいいなって思ってるんですよ。"少しだけ 少しだけ"と"凄い風 凄い風"のところ。

-そこは韻も踏んでるし、メロディと言葉の一体感がとても気持ちいいですよね。

カナタ:あれは新しいレゴが生まれたな、と思いました。

ヒロキ:「潔癖症」も、「愛を食べた」も、これしかないっていうメロディなんですよ。隙間がないから。っていう制約の中で、今までは意地でも意味のある言葉を入れてたんですけど、そこをあえてラフに書いてて。意味なんてあとで生まれてくるわっていうスタンスで、まず音符に乗せることを意識しただけで、すごく変わったんですよね。

-歌詞も、サウンドにしても、いかにも名曲を作るぞっていうスタートラインではなくて、今までの積み重ねがあって、そのうえで今旬のこと、今やりたい実験的なことをやってたら、結果的にすごい名曲ができてたっていうことなんでしょうね。

カナタ:まさにそうかも。

ヒロキ:三大栄養素の"(嘘)"とかも、最後にノリでつけただけですからね。

カナタ:あ、そうそう。

ヒロキ:キンタがレコーディングの日に、三大栄養"嘘"にも歌えるなって言ったから、僕が、それいいじゃんって。

カナタ:こうあらなければいけないっていうのを、どれだけとれるかが今は重要だと思うんですよね。