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INTERVIEW

Japanese

サンサーラブコールズ

2021年08月号掲載

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Member:K(Vo) ミサキング(Gt/Vo) カンタロー(Gt) 帆保 健太郎(Ba) Leo(Dr)

Interviewer:山口 哲生

僕らは完全にカウンター・カルチャー側の人間──そう話すのは、このバンドのフロントマンであるKだ。サンサーラブコールズは、2017年の始動以降、ライヴを着実に積み重ねていくなか、今年6月に現体制に。8月4日に1stミニ・アルバム『8dayHz』をリリースする。収録曲は実にバラエティ豊か。ラップ×バンド・サウンドというジャンル的な定義ではなく、様々な音楽が縦横無尽に詰め込まれたという意味でのミクスチャー・サウンドを繰り広げている。初登場となる今回は、刺激的な1枚となった最新作についてはもちろん、時にはふざけながらも、まっすぐに音楽と向き合う強烈な個性を持ったメンバーが集まった経緯など、バイオグラフィについてもじっくりと話を訊いている。そして、なぜ彼らは自分たちのことをカウンター・カルチャー側と話すのか。そこには、ここからドでかいことをぶちかまそうとしている強い信念が込められていた。

-まず、サンサーラブコールズが始まったところから教えてください。

K:もともと、僕は違う楽器でバンドをしていたんですけど、ヴォーカルをやりたいなと思って。それで......長くなっても大丈夫ですか?

-もちろんです。

K:最初にカンタローと、当時やっていたバンドでたまたま対バンしたときに仲良くなって、家で飲むことになって。そのときに(カンタローは)スリーコード・メロコアみたいなバンドのサポートをしてたんですけど、軽くギターを弾いてくれたときに、意外と弾けるんだってことがわかって、やろうぜ! って。で、ミサキングはもともと友達で、女の子は絶対に入れたいと思っていたんで誘いました。LeoはSNSですね。

Leo:僕ももともとメロディック系をやってたんですけど、そこをやめて、別のバンドをやろうと思って。で、新しいバンドを組みたいので、ドラム探しているバンドいないですか? っていうのをSNSに書いたら、結構リツイートしてもらえて。そしたら繋がったんですよ。仕事中に連絡が来て、すぐに会いに行って。

K:池袋のルノアールね。で、俺がお金持ってなくて。

Leo:俺が払うっていう(笑)。

K:で、最近ベースがやめたんですけど、ホボケン(帆保)がサポートしてくれていて、もうそのまま入っちゃえよっていう。

帆保:前にKちゃんと一緒にバンドをやってたんですよ。そのときはKちゃんがドラムで、俺がベースだったんですけど。で、俺は1回ベースはやめたんですけど、サポートでもう1回弾いてよって言われて、やってみたら楽しくて。それで入りました。

-Kさんはもともとドラムだったんですね。でも、なぜ歌いたいと思ったんですか?

K:なんでだろう......。

帆保:昔からやるつもりだったんでしょ?

K:ホボケンと一緒にやってたバンドって、俺らふたりで曲の土台を作ってたんですよ。だから、これなら自分でやったほうが早くね?と思ったところはあって。

帆保:そのバンドをやめたタイミングと、理由も同じだったんです。Kちゃんはドラムをやめて、俺はベースをやめて、各々で違うバンドを始めるっていう。そのあとに再会したという感じですね。

-なるほど。カンタローさんは、Kさんと会ったときの第一印象や、一緒にやろうと言われたときにどう思ったんです?

カンタロー:対バンしたときのライヴハウスの楽屋で、俺が方言で喋ってたんですよ。岡山弁で。で、Kの地元が広島なんで、方言が似てるんですよね。そこから仲良くなって、その日のライヴが終わったあとに、コンビニ行こうってことになって。で、支払ってるときに、"東京のライヴハウスに挨拶行ったのか?"みたいな、先輩風を吹かせてきて(笑)。

K:よう覚えとるな(笑)。

カンタロー:俺、そのときって東京のハコのことが全然わからなかったんですよ。1回O-EASTに飛び込みで行って、店長に会わせてほしいって言ったけど、会わせてくれなくて。その日は[Alexandros]がライヴしてたんですけど。

K:[Alexandros]とバンド組もうとしてたんですよ。

一同:(笑)

カンタロー:引き抜こうと思ってたんです。その話をしたら、お前おもろいなって。で、家に飲みに行ったときにデモを聴かせもらったら、めちゃくちゃではあったけど、すげぇかっこいいなと。そのまま家でセッションというか、聴かせてもらったデモに対して、"なんかギターを乗っけてみて"って無茶ぶりされて(笑)。嫌だなと思いながらやったら、"いいやん! やろうや!"ってなったんですよ。コイツ、バカだなと(笑)。

-"バカ"って(笑)。

カンタロー:それが初めて会ってから2、3日とかだったんですよ。

K:うん、完全にノリだった。そのあとにふたりでいろんなライヴハウスに行って。

-ミサキングさんはもともと友達だったとのことでしたけど。

ミサキング:好きなバンドをライヴハウスに観に行ったら、人違いで話しかけられて。で、年が近いことがわかって、そのときからって感じですね。

K:共通の知り合いがめちゃくちゃいて、なんか知ってたんですよ。

ミサキング:そうそう。それだけですね。

K:それだけとか言うなよ(笑)。

-ミサキングさんはバンドをやっていたんですか?

ミサキング:そうです。新しくメンバーを探そうと思っていたときに、Kちゃんもメンバーを探していて。

K:で、公園で告白するみたいな感じになって(笑)。

ミサキング:そうだ。公園に呼び出されて、じゃあやりましょうって。

K:違うよ。"1週間待ってくれ"って言われて、ほんとに告白みたいな感じになったんだよ(笑)。

ミサキング:言ったっけ? 忘れてた(笑)。

Leo:やだな、ふたりのそういうところ想像するの。

カンタロー:うん、きめぇ(笑)。

-LeoさんはSNSでとのことでしたね。

Leo:僕、地元が静岡なんですけど、なんか、あるじゃないですか。別に静岡が悪いとかそういう話じゃないんだけど、売れないけど楽しくやれればいいじゃんみたいな、地元特有の雰囲気みたいな。それが苦手だったんですよ。どうせやるなら、高みを目指すほうが好きなので。K君から連絡を貰う前に2、3バンドぐらいから声を掛けてもらっていたんですけど、"どこまで目指しているんですか?"っていう話をすると、結構中途半端な感じっていうか。ドラムってフロントマンがいて成り立つものだから、自分が認めた人間、信用できる人間じゃないと前に立ってもらいたくないんですよね。だから断っていたんですけど、K君ってめちゃくちゃビッグマウスなんですよ。"どこまで目指しているんですか?"って話をしたら、"俺、日本獲るから"って。"まず日本でしょ"みたいな。

カンタロー:"まず"だからね。

Leo:そうそう。"そんなん当たり前やろ。俺についてくれば大丈夫だから"って。俺としては、そこってヴォーカルにとって大事な部分だと思うし、実現できる/できないかは人それぞれだけど、それが言える度胸のある人間に出会ったことがなかったんですよ。じゃあ、ついていってみようと思って、スタジオに入ったんですけど。

K:"いいな"と思ったところと"ウザっ!"と思ったところがあって。まだ入るのが確定してないのに、曲のことについて言ってきたんですよ。それにすげぇ腹が立って(笑)。

Leo:そのときはまだ帆保ちゃんはいなかったんですけど、スタジオに入ったときに、貰っていたデモのドラムをガン無視して、自分でアレンジして叩いてたんですよ。みんながあぁ......っていう空気になってるなか、ここってこうじゃない? って(笑)。

K:なんだお前!? って(笑)。

-ちょっとピリっとした空気が......。

K:いや、かなりピリっとしました(笑)。

Leo:カンタローなんて俺のこと嫌いだったでしょ?

カンタロー:うん。なんだコイツうるせぇなって(笑)。俺、その当時ってあんまりリズム感がなくて。そのことをすごく言われたんですよ。まだ(Leoが)入って間もない頃に。

Leo:1週間ぐらいだったよね?

カンタロー:そうそう。でも、すげぇ悔しかったから練習して、そこから音楽的な話ができるようになり、打ち解けていったっていう。今はもう大好きっす。

Leo:でも、あのときよくケンカしなかったよね?

カンタロー:いや、してただろ(笑)。

K:俺、1回マジで怒ったときがあって。歌詞について言われたんですよ。曲のことだったらまだいいけど、"別にお前に向けて作ってねぇから"って、LINEでやり取りしたの覚えてる?

Leo:すごく覚えてる。

K:"俺は他の人に向けて言ってるのに、そこを言われる必要はないよね?"って。それが一番イラっとしたかな(笑)。LINEだったから良かったけど、会ってたらマジでケンカになってたと思う。

カンタロー:でも、今は好きでしょ?

K:いや......別に(笑)。なんかこのふたり気持ち悪いんすよ。スタジオ終わったあとに、お互いのことをすげぇ褒め合ってるんです。"今日のギター良かった"、"ドラムも良かった"って。

カンタロー:もう俺のことだけ見ててほしい。

一同:(笑)

Leo:俺としては、今までそういうぶつかり合いができなかったんですよ。別に相手を否定したいわけじゃなくて。バンドの地力はあるのに、他のメンバーに言いたいことがあっても言わないとか、そういうバンドが多かったんで、最初からバチバチにやれたのは、僕は楽しかったですけどね。嫌われてましたけど(笑)。

-帆保さんとしては、Kさんやサンサーラブコールズに対してどんな印象がありました?

帆保:Kちゃんのことを、いち音楽家というか、ミュージシャンとして認められるなと思ったのが、一緒にバンドをやっていたときに、ツアー先で車中泊をふたりでするタイミングがあって。そのときに、ボイスメモで録っていた曲を聴かせたら、"お前はもうベースだけにこだわらずに、曲を作る人間になったほうがいいと思うよ"って言われて。それまでは普通のメンバー同士だったんですけど、そこから作曲者同士みたいな感じで意識し合うようになったんです。そのバンドをやめてから、俺は俺でメンバーを集めてバンドをやっていたんですけど、頑張ってはみたけどうまくいかなくて。どうしようかなと思っていたら、"ウチは今ベースがいないし、リリースも控えているからサポートで弾いてくれ"って言われて。でも、全然知らないバンドに入った感じでもないんですよね。関わる時間が長くなったのはメンバーになってからだけど、ずっと対バンしていたし、Kちゃんとはずっと友達だし。だから、友達のバンドを観に行くような感じでライヴに行っていたし、入る前から口ずさめるぐらい曲を聴いていたので。だから、未だにワクワクしてますね。同世代でかっこいい曲をやる人たち、いい演奏家だなと思っていた集団に入るっていうのは、すごく嬉しいなって思います。

一同:(拍手)

カンタロー:でも、(長かったから)"すごく嬉しいなって思います"しか使われないと思うよ。

帆保:お前、マジで......。俺、バンドの中で一番年上なんですけど、なんかみんなすげぇ態度悪いんですよ。そこに対しては苦言を呈したい。

カンタロー:言うても1個上やん。

-思っていたよりも離れてなかった(笑)。

帆保:いや、俺のほうが長く生きてますからね。

-(笑)"サンサーラブコールズ"という名前はどういうところから付けたんですか?

K:造語なんですけど、"サンサーラ"が輪廻って意味で、"ラブ"はどうしても入れたかったんですよ。なんかいいじゃないですか、"ラブ"って。

帆保:俺は英語の意味も好きだけど。

Leo:あるじゃん。"SUNSIRLOVECALLS"の場合だとっていう。

K:ああ。"SUN"が太陽で、"SIR"が王様って意味で、"LOVECALLS"っていう。まぁ書き方でいろんな意味がありまっせって感じですね。

-でも、なぜまた"サンサーラ"だったんです?

K:僕、NIRVANAが好きなんですよ。だからですね。"輪廻"って"涅槃"とは逆の意味なんで。

-"ラブコール"にしたのは?

K:なんか良くないですか? 愛を伝えるとか、愛で呼ぶとか。

-愛は大事だったと。

K:愛は大事っすよ。めちゃくちゃ大事。