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INTERVIEW

Japanese

サンサーラブコールズ

2021年08月号掲載

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Member:K(Vo) ミサキング(Gt/Vo) カンタロー(Gt) 帆保 健太郎(Ba) Leo(Dr)

Interviewer:山口 哲生

何か言葉にするのであれば、オルタナ・ミクスチャーみたいな感じ


-では、楽器隊のみなさんが好きだなと思った曲や、いいフレーズ叩けたなと思えた曲を教えていただきたいです。Leoさんの場合はいかがでしょうか。

Leo:自分らしいなと思ったのは、「第3惑星」と「ストロベリキャンディー」ですかね。やっぱり70年代とか80年代のロックを聴いて育ってきたし、重たい感じのドラムが好きなので。「第3惑星」は本当にヘヴィっていう意味での重みで、「ストロベリキャンディー」はスロウな重みでそれぞれ違うんだけど、自分らしいグルーヴが叩けたかなと思います。一番しんどかったのは「コンクリートユートピア」ですね。

-これを叩き分けるのも大変ですよね。

Leo:そうですね。ただ、ドラマーである前に、その曲をどうするか? っていう立ち位置にいる感じというか。打楽器って全部出ちゃうじゃないですか。竿モノはエフェクターを使って変えたりするけど、打楽器は全部アナログだから出ちゃうので、そこで意識的にやっていたり、無意識ではあるけど自然と意識していたりするものはいろいろあるんですよ。でも、あまり大変だなっていう感じはないですかね。自分が思い描いている曲の中で、ドラムっていう部品をどう作り上げていくかっていうイメージでやってます。

-では、カンタローさん、お願いします。

カンタロー:「第3惑星」のリフを作ったときは、かっけぇのできた! って思いました。

Leo:水差しちゃうけど、「コンクリートユートピア」の最後、めっちゃ苦戦してたよね。

カンタロー:あぁ。裏で哀愁漂う感じのソロを弾いてるんですけど、テイク的には録れるけど、気持ち的に録れなくて。熱くなれないっていうか。そういうのって弾いている本人が一番わかるんですけど、エンジニアさんに"どうですか?"って聞いても、"いや、なんか熱くないね"って。で、みんなからも"熱くなれよ!"とか言われて、うっせぇな、そこは俺が一番わかってんだよ! みたいな。

K:で、もう脱ぐしかないよなって。

-上だけ脱いだんですか?

カンタロー:下もです。

-あ、全部(笑)。

カンタロー:で、マネージャーを呼んで、"全部撮ってくれ"と。"わしのこの恥ずかしい姿を、あなたのスマホに収めてくれ"って。

一同:(笑)

Leo:でも、脱いでから早かったよね?

K:うん。2テイクぐらいだった。

-すごい(笑)。ミサキングさんの場合はいかがです?

ミサキング:「第3惑星」ですね。かっこいいなって。今も弾いてて楽しいです。

-それこそグランジが好きっていう話でしたからね。「コンクリートユートピア」に入っているのはミサキングさんの声ですか?

ミサキング:いや、あれは違います。

帆保:それだけは絶対に否定したいんだよね?

ミサキング:うん。あれは私じゃない(笑)。

帆保:"あんな声出さねぇよ"っていう(笑)。

-実際に歌いたくないっていう話をされたんですか?

ミサキング:いや、そこは違うんですけど。

K:あれは僕の知り合いの女の子で、デモのときから俺が入れてたんですよ。

ミサキング:でも、言われても"歌いたくない"って、たぶん言ってた(笑)。

一同:(笑)

K:でも、これからライヴでやっていくっしょ。

ミサキング:いやいやいやいや。マジで断る準備してたから。

Leo:確かに絶対間違われるもんね。

K:「Who I Am」も間違われるもんな?

ミサキング:そうだね。あの曲の最初の声も私じゃないです。

帆保:フックは歌いたくない(笑)。

-帆保さんの場合はいかがでしょうか。

帆保:たとえば「Who I Am」とか「AnsYour-z」とか「第3惑星」は、俺がまだ入る前からライヴでやっていたし観ていたんですけど、「コンクリートユートピア」とか「インサートル」は、僕が入ったうえでできたものっていう感じがあるので、特別思い入れがありますね。あとは、最近いろいろ練習していて、レコーディングしたときよりもベースがうまくなったんですよ。特に「インサートル」のベース・ラインは、レコーディングしたときよりも、ライヴで聴くもののほうが確実にかっこいいものになっているんで、もしこのアルバムを聴いて、会場に来てくれる人がいたら、そこに注目してもらえたら嬉しいですね。

-今後のことについてもお聞きしたいんですが、Kさんは結成時に日本を獲るというお話をされていたとのことでしたけど、ここからどんな活動をしていきたいですか?

K:今に始まった話でもないんですけど、僕らは完全にカウンター・カルチャー側の人間なんですよ。そこはスタンスというよりは、楽曲の部分で。俺らがバンドを始めてから、自分たちがかっこいいなと思っていた楽曲が流行った時代がないんですよね。俺らがバンドを始めた頃って、ギター・ロックがめちゃめちゃ流行っていて。もっと前で言うと、ダンス・ロックみたいな感じ。

-四つ打ちの?

K:そうそう。そういうのが流行ったりしたけど、そこに僕らはずっといなかったんですよ。それに、ウチって"どミクスチャー"な感じでもないじゃないですか。何か言葉にするのであれば、オルタナ・ミクスチャーみたいな感じ?

Leo:なんか、最近思うんだけど、カウンター・カルチャーのはずだった音楽たちが、カウンターじゃなくなって、熱だけみたいな感じになっちゃってて。

K:ね。オーバーグラウンドになっちゃって。

Leo:そうそう。オーバーグラウンドに熱を発するバンドみたいなのが多いじゃないですか。別にそれが悪いことだと思わないけど、本物のカウンターの音楽とかバンドが、今は少ないのかなと思って。カウンター的なことを突き詰めていって、表に出てこない人たちもいると思うんだけど。

K:まぁ、そういうのが流行ったら、それはそれで逆にさみしい感じもするんだけどね(笑)。

Leo:なったらなったでね(笑)。

K:俺、昔、クロックスめっちゃ履いてたけど、流行ってから履きにくくなったし。なんかそんな感じ。

-「Who I Am」には"僕らが時代のマスターピース"という歌詞がありますけど、そういう存在でもありたい?

K:もちろん。

-カウンターでありながら、マスターピースでありたい。

Leo:むしろ、僕的にはカウンターがマスターピースにならない理由がわからない。そもそもみんなカウンターの精神を持っているのに、なんでそういうものが広がっていないんだろうっていうのはすごく思うんですよ。そういうところの先駆けになれればなって。

K:例えば、わかりやすく名前を出してしまうと、クリープハイプがめっちゃ流行ったあとに、それっぽいバンドがたくさん出てきたけど、結局残っているのはクリープハイプで。そこはSiMとかもそうだし。今はKing Gnuが流行っていて、今後そういうバンドがたくさん出てくると思うけど、きっとKing Gnuしか残らない。そうやって残るものがマスターピースだと俺は思っていて。なおかつ、カウンターでありたいっていう。

-なるほど。じゃあ、カウンター・カルチャー側の人間なのであれば、今後はそういった存在を目指していくというよりは、もうすでにそういう存在であるというか。

K:そうそう。変な話、曲に関してはライバルがいないと思ってるんですよ。"あのバンド似てる、ヤバい、ライバルだ"っていうよりは、俺らしかいないと思うので。だから、底上げをどうしていくのかっていう話になってくるんじゃないかな。どうやって俺らの曲が好きな人を増やしていくのかっていう。競合相手はいないと思ってるんで。