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INTERVIEW

Japanese

Organic Call

2021年04月号掲載

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Member:平田 真也(Vo/Gt) カワカミトモキ(Gt) 植木 貴士(Ba) きっつー(Dr)

Interviewer:山口 智男

-そんな平田さんを支える3人の演奏も今回、スケールアップしていて、それぞれに自分が何をすべきなのか前作のとき以上にわかってきた印象もありました。中でもカワカミさんは平田さんの歌と同じぐらい、曲の印象として残るギターを弾いていますね。

カワカミ:曲ごとにいろいろやりました。だから、自分でも気に入っているところが結構あって、例えば「瞬き」の間奏でソロを弾いているんですけど、その最後のビブラートは――

きっつー:めっちゃ細かいな(笑)。

カワカミ:以前からフレーズが機械的だと言われていたので、人間味を出そうと思いながら弾いたんですけど、特にロング・トーンのフレーズのビブラートのかけ方は意識しましたね。新しい音色だったら、「明けない夜はない」のラスサビ直前のワウは今まで使ったことがなかったんですけど、それで一気に駆け上がる感じは表現できたのかな。

平田:手札が増えたんだよね。

カワカミ:そこは意識しました。みんながハッとするようなというか、印象に残る音色やフレーズはなんだろうかって新しい機材も増やしながら考えましたね。

-リフもインパクトがありますね。

カワカミ:「彗星のよう」からシンセの音をエフェクターで交ぜているんですよ。「シリウスに誓う」もそうです。「明けない夜はない」で一番交ぜているんですけど、1曲目の冒頭でバンド、バンドしていない音色を聴かせたら、聴いている人は"おぉっ"となるのかなって考えました。

-それでギターの音色がキラキラと鳴っているんですね。その一方でリズム隊のふたりは今回、どんなことを意識したのでしょうか?

きっつー:例えば、「夢想家のワルツ」はセッションから作ったことによって、Organic Callにはなかったいわゆるセッション感が出たと思うんですよ。

植木:特にリズム隊は自由度が高いんです。

きっつー:だから、遊び心のあるものになったと思います。「彗星のよう」では、これまでやってこなかった裏打ちをシンバルで入れてみたりして、曲ごとに遊び心のあるフレーズを考えながら作っていけたのかな。それに伴って、リズム隊だけでスタジオに入って、曲のアプローチを詰めたことが結果的にグルーヴも含め、楽曲を持ち上げる要素になってくれたのかなという気もしています。

植木:基本的に余計なことはできるだけせずにベースは5弦で、ドラムはタムのフレーズが多いというなかで低音のバランスが飽和しないように、でも、引きすぎてシンプルになりすぎないようにというところを狙いました。自分のプレイ・スタイルをひもときながら作ったフレーズが散りばめられたので、楽曲としても、ベース・フレーズとしても気に入っているところはいっぱいあります。

-平田さんは今回、ヴォーカリストとしてどんな挑戦がありましたか?

平田:僕だけの挑戦じゃないですけど、今回コーラスも結構頑張っていて、「かなわない」のサビは上ハモ、下ハモが入っていたり「シリウスに誓う」、「瞬き」にはシンガロングが入っていたり。前のミニ・アルバムでも1曲だけシンガロングしているんですけど、今回改めてシンガロングに取り組んでみました。シンガロングってちょっとあざといというイメージがあって、入れるのイヤだったんですけど、ここだったら入れてもいいんじゃないかってところを考えましたね。その他、「明けない夜はない」の冒頭にシンセのファーって音を加えたり、「夢想家のワルツ」にはカワカミのギターが2本入っていたり、メインで聴こえるフレーズの上で打ち込みみたいな音が鳴っていたり、曲作りに関して、自分の中で余裕ができたせいか、今まで聴こえなかったいろいろな音が聴こえるようになって、足すことがでできたんです。そんなふうにギター、ベース、ドラム以外の音が聴こえるようになったという感覚はあります。なので、次の作品ではもっといろいろな音が入るかもしれない。もちろん、バンド・サウンドっていうバランスは崩さずにですけど。

-「彗星のよう」のリズミカルなAメロの歌はちょっとラップっぽくないですか?

平田:そこはかなり意識してます。最近、ヒップホップばかり聴いているんですよ。気づいてもらえて嬉しいです(笑)。僕が大好きなASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤(正文/Vo/Gt)さんも、ソロ・アルバムでヒップホップっぽい曲をやっていて、自分もそういうアプローチをしていきたいと思っていたんですよ。やっぱり日本語ロックが好きだし、日本語が好きなので、もっとリズミカルな歌を追求していきたいと思っていて、次のアルバムにはそういう曲がより収録されるのかな。

植木:ヴォーカルがリズミカルな符割になっているから、リズム隊としても面白い組み合わせを考えられたんですよ。

平田:もっと磨き上げていきたいですね。

-アルバム・タイトルや楽曲のタイトルになっている箒星や彗星という言葉は、どんなイメージで使っているのでしょうか?

平田:ぱっと見えて、すぐ消えていくものですよね。そのイメージが幸せに通じると思ったんです。幸せって見逃しがちだけど、不幸に限ってずっと残るじゃないですか。だから、その中にある幸せを見逃さないようにしたい。"箒星、残像を探して"というタイトルには、消えていってしまう幸せを探しにいこうって思いを込めました。

植木:真也の性格というか、生活感を大事にしているところが出ている、とてもいいタイトルだと思います。

-最後に4月25日から始まるリリース・ツアー("starry tour 2021")の意気込みを聞かせてください。

きっつー:この1年間のことも含め、集大成と言える作品という意味でも、胸を張ってみんなに聴いてほしい、Organic Callのことを知ってほしいと思えるものができあがったので、僕らから全国に足を運んで、初の全国流通盤を多くの人に手に取ってもらえるようにしたいです。

植木:僕はもうシンプルに、いい曲ができたので、一音一音を大事しながら一本一本楽しくライヴができたらいいかな。コロナ禍の影響でライヴができなかった時期も長かったので、4人で演奏することができる、しかもそれがライヴハウスでお客さんに観てもらえることを、楽しみながら回りたいと思ってます。

カワカミ:そのうえでサーキット・イベントとか、フェスとかに出て、多くの人にOrganic Callのことを知ってもらえたら嬉しいです。

平田:いい曲もできたしツアーも回るし、もう準備はできたというか、足りないものもあるとは思うけど、今、自分たちが提示するうえで必要なものは揃ったと思ってます。あとはもう確かめに来てもらうのが一番早いと思うので、そこで納得してもらえれば。僕らはかっこいいライヴをやりますって気持ちしかないですね。