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INTERVIEW

Japanese

HIGH BEAM RECORDS

2021年01月号掲載

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HIGH BEAM RECORDS:秋山 琢磨(代表)
PICKLES:RURI(Vo)
フラスコテーション:佐藤 摩実(Vo/Gt)
GAROAD:田伏 ユージ(Vo/Gt)
インタビュアー:宇田川 佳奈枝 Photo by うつみさな


-最初は男女の恋愛のストーリーかと思ったんですけど、何度も繰り返し聴いていくうちに、"僕" が音楽を生み出す人で、"あなた(君)"は音楽で――

佐藤:そうですね。私がすぐ人に例える癖があるので。ぱっと聴いて私の歌詞を100パーセント理解してくれる人は少ないので、曲を何回も聴いてほしいですね。フラスコテーションの曲を初めて聴いてくれる人の意見は面白いです。

-歌詞がすごいリアルですよね。バンドをやっている人、何かを生み出す人にとってはすごく共感できる内容かなと。みなさん葛藤したときにどう持ち直してますか?

秋山:やっぱりライヴじゃない?

田伏:そうですね。何か詰まっているってことは、それを1回外に出しちゃえばいいんじゃないですか? 曲作ってるときはひとりで悶々と作っているわけで、自分自身で詰まってしまったときは、まぁ、寝ればいいかなって(笑)。1日経ったら"この歌詞だっさい!"ってのもあるかもしれないし。僕らの場合は世の中的にライヴができなくなった期間がちょうどEP制作期間だったので、時間ができてちょうど良かった。

秋山:そうだね。まぁ、時間ができてたらできただけサボるバンドもいますけど......。

RURI:......(苦笑)。

田伏:みんなライヴをすることで気持ちを切り替えられるんじゃないですか?

RURI:まったく同じです(笑)!

田伏:あれ? 話すのめんどくさがってる(笑)?

RURI:いや~(笑)。私はあんまり悩まないんですよ。気持ちを吐き出した曲をメンバーに渡したあと、意見を言われて葛藤するんで――まぁ、そこは"知らんがな!"って思うんですけど(笑)。そこでメンバーがダメってなったら、その曲はなしなんですよ。100か0かなんで、それで悩むんだったら、その曲はいらんみたいな。自分が作る段階でくよくよ悩まないんですよ。だからあまり自分で押しつぶすようなことはしないかな。

-前向きなふたりがいて佐藤さんはどうですか?

佐藤:うらやましいですね。私は曲ができない、マジ無理......ってなったときに歌詞書こうってなるんで。

-原動力が違うんですかね。

RURI:すぐ切り捨てちゃうから、新しい曲をどんどん生み出さないといけなくなっちゃう。だから曲作りが遅いんですよね~。

秋山:本当はめっちゃ作ってるんですっていう感じを出さないで。曲が上がってこなくて押しつぶされてるの俺だから(笑)。

RURI:はははは(笑)。たしかに! 重々理解しております......(笑)。

田伏:すべてのしわ寄せが琢磨さんに......次回はその葛藤についてお話を聞きましょうか(笑)。

- (笑)PICKLESの「シランケド」は4曲目で、野球に例えたら4番バッターはとても重要なポジションですが、秋山さん的に何か思いはあったんですか?

秋山:あ~なるほど。野球に例える意図はありませんでしたが、PICKLESは自分たちらしさを何個も持っているバンドなんですよ。他の仲間たちが抱いているPICKLESらしさってアルバム(2020年10月リリースの『どんナモンJAY!!』)の「始まりの合図」みたいな、ああいう曲じゃないんです。「イキサラSAY!」のような曲をPICKLESっぽいって言うんですよ。今まで「イキサラSAY!」のような曲は作ってないのに。今回シュッとしたバンドたちの中でPICKLESが存在している意味ってなんだろう、他と同じようにシュっとしたこともできるけど、みんなが好きなPICKLESらしい感じを出したほうがいいのかなって思ったんです。だったら歌詞も関西弁でいいんじゃない? 楽しいノリにしようよって。そしたら「シランケド」ができて。おぉ! って思ったけど、どこの間に入れようか悩むわけですよ(笑)。

RURI:私はトップやと思ってたけど......。

秋山:最初にPICKLESがくるとこのV.A.がそういう1枚になっちゃうから(笑)。

田伏:たしかにこの曲最初だったら変化球すぎますよね(笑)。え、どんなV.A.? ってなる。

秋山:逆に言うと、彼岸っていうバンドは実は普段は内に秘めた想いを叫ぶようなバンドだったんですけど、僕らに出会って明るい曲を歌うようになっていった気がしていて。今回の彼らがコンピに持ってきた曲を聴いて、この流れでPICKLESを持ってくるのが自然だなって。本当は最後までPICKLESとフラスコの位置を悩んで――彼岸の前後が良かったんだけどホロトニアのあとにPICKLESだとホロトニアの良さが消されちゃうから(笑)、4番目に自然と持ってきました。

-「シランケド」の歌詞は面白いですよね。これをロックとして成立させるのはきっとPICKLESしかできないんじゃないかなって。今回はメンバーみんなで作ったんですか?

RURI:いや、全然無視でした(笑)。メンバーはギリギリまで知らなくて。セリフがあるんですけど、RECする直前に"これ言って~"って。

田伏佐藤:へぇ~!

RURI:ほんまギリギリで。正直、私らもシュッとした曲作りたかったんですけど、この状況やし、前向きな曲を作る予定だったんですよ。琢磨さんが"関西弁がいいよね"って言いだして、"まじか!?"ってなって、結構ギリギリまで考えてて。決めてないことが多くって、REC中に試行錯誤して、メンバーが臨機応変に対応してくれました。

秋山:一応、メンバー全員セリフ言ったもんね。

RURI:そうなんですよ、アイドルみたいに!

秋山:ここの"「知らんけど」"はこれがいいなって。完成して"私の部分使われた"ってわかる感じ。

-誰がどこを言ってるか、ぜひ聴いて確かめてほしいですね。ところで、この曲ライヴはどんな感じでやるんですか?

RURI:どうやっていくんでしょう、本当に(笑)。

田伏:完全再現するとか!?

RURI:ツアーまでに考えます(笑)。ライヴを観てからのお楽しみということで!

-他バンドも参加できそうな曲ですし、個人的には佐藤さんが出てきて"知らんけど"って言うパターンも見てみたいです。

秋山:普段めっちゃ"知らんけど"言いますけどね。誰よりも言うかもしれない。

RURI:"そんな気がする~、知らんけど"って。

秋山:意味が全部ひっくり返っちゃうよね(笑)。

-「シランケド」は歌詞がわかりやすくて、老若男女問わず、年齢の垣根を越えて聴ける曲だと。そのあたりは意識したんですか?

RURI:いや、全然! 関西弁にしぃやって言われたとき、とにかく"知らんけど"って言葉だけは使いたくて。そこから大阪と言えばなんだろうって考えていった感じです。すっごいコテコテですけど。

佐藤:うん、コテコテ(笑)。

RURI:みんながイメージしてる大阪人のイメージって結構オーバーで。実際そんなのせぇへんわっていうことも多くて。そのイメージされてるオーバーな大阪人をぎゅっと詰め込んだ感じです。

-本当にPICKLESらしさがすごく強く出てる曲ですよね。実際レーベルメイトとしてパワフルなPICKLESってどんな存在ですか?

田伏:シンプルにムードメーカーで雰囲気作ってくれてる。まぁ、やかましい人たちだなって(笑)。「シランケド」はオーバーなぐらいな大阪人って言ってましたけど、いや、これPICKLESじゃん? って思いましたよ。本当にありがたい存在ですね。

秋山:ビリケンさんみたいな存在(笑)。

RURI:なんか悪意があるような......(笑)。

-佐藤さんは?

佐藤:初めて会ったときが迷彩柄の衣装でコテコテだったんですよ。私たちも関西のバンドなんですが、見た目から"大阪"って伝わってくるバンドがPICKLESで。私の中でレーベルの在り方のイメージって似たようなイメージのバンドが所属してる感じだったんですよ。だから、正反対なバンドがいるっていうのが面白い。所属して3年間、正反対のPICKLESがいてフラスコテーションがバンドとして成長できて、気持ちが変わったなって思う部分がメンバーそれぞれあって。ある意味、真逆やからこそ影響を受けた部分がたくさんあったなと。

-PICKLESは逆にフラスコテーションに影響受けたことってありますか?

RURI:影響受けたこと......人って成長するんやな~って。自分たちも成長しないとなって。

秋山田伏:(笑)

RURI:彼女たちは成長スピードがとにかくすごくって。自分たちはここまで成長できてんのかな? って不安になります。フラスコテーションとは出会って長いし――最初に出会ったときが、チャランポランだったんですよ(笑)。

佐藤:本当に(笑)。当時はツアーも回ったことなくて、何がなんだかわからなかったんです......。

秋山:所属して初めに経験豊富なPICKLESと九州にツアーで行ってもらったんですけど、ライヴ終わった夜にRURIから"なんなんですか? あの子たち......"って電話があって。

RURI:ちょっと申し訳ないですけど、同じレーベルと言いたくないっていうぐらい彼女たちが若かったというか――後々知ったのは、当時、彼女たちには先輩がおらんかった、教えてくれる人がおらんかっただけだったんですけど。最初はすごいなって......(笑)。おかんみたいな気持ちになっちゃう。

佐藤:先輩がいなくって、教えてくれる大人もいなくって。高校生でフラスコテーションを組んでちょっとライヴして、メンバーと出会って偶然レーベルに入れて、ツアー行って。どうしたらいいんやろってなってたんですよ。

RURI:だから、今となっては成長スピードがえげつないんですよ。自分たちは彼女たちとおんなじ歩幅で歩けてるんやろうかっていう不安が。一緒にツアーを回ったときは特に思ってました。

秋山:フラスコのベースの和也(宮下和也/Ba)はいろんなジャンルのバンドでこれまでやってきてるんですよ。たくさんライヴも観てきている和也に"一番ライヴがかっこいいと思うバンドは?"って質問したらPICKLESって答えてたよ。

RURI:えー、バカだと思います(照)。

秋山:PICKLESはもっと自信を持っていいぐらいのライヴ・バンドになれてると思いますね。