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INTERVIEW

Japanese

BiS

 

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Member:イトー・ムセンシティ部 チャントモンキー ネオ・トゥリーズ トギー

Interviewer:宮﨑 大樹

-みなさんは救う側になるっていうことですからね。ところで「DESTROY」に限った話じゃないですけど、今回のEPの中で"死"っていう言葉がたくさん出てきています。

イトー:本当そうなんですよ。"死"って終わり、限界みたいなところがあるから、感情の極限状態で綴られているような感じがします。全体的に素直な感情を爆発してるものばかりなので。

トギー:曲によって死の意味は違いそうですよね。「DESTROY」とかは"死んでほしい"っていうよりは、"本気の人と一緒にやりたい"みたいなイメージがあります。自分たちに言われてるような気持ちにもなる。

チャント:"敷かれたレール壊し/ギャンギャンならそう"とかBiSっぽいなって単純に思いました。AメロとかBメロとか、そこだけ見ても正直意味はまったくわからないんですけど、歌っていて気持ちいいし、通して聴くと違和感なくスッと入ってくる。作詞の竜宮寺育さんの歌詞は、全部を理解できないけど1曲通すとカッコいいとかエモいとか、そういう魅力があるなって思います。

-竜宮寺育さんならではの歌詞ですよね。そんなチャントさんは「IT'S TOO LATE」で渡辺さんとの共作で作詞をしています。

チャント:はい。2ヶ所なのがバレるんですけど"「死んだら終わり」何だそれ/世界死んでるじゃん"と"IT'S TOO LATE"のところです。

-"「死んだら終わり」何だそれ/世界死んでるじゃん"って、一番フックになっているところじゃないですか。

トギー:いいフレーズだよ。渡辺さんがモンちゃんの気持ちを汲み取って書いている感じがする。

チャント:そう! 言葉にするのがすごく下手なんですけど、渡辺さんからこの歌詞が来て"こういうこと書きたかった"って思いました。すごい。

-サビとかは、怒りの感情が出ているように感じました。

トギー:今の状況と重ねちゃう。自分の中の感情をすべて歌に込めてる感じ。

イトー:悲痛な叫び、みたいな感じで歌いましたね。

チャント:怒りの感情がすごく合う曲だと思います。2回しかライヴでやったことはないんですけど、やっていて本当に気持ちいい。

-畳み掛けるサビの感じとか、聴いていても相当気持ちいいですよ。

ネオ:私は自分を客観的に見てるというか、自分に向けてる感じで歌ってました。この歌詞の内容を、というわけじゃなくて、単純な怒りの気持ちを自分に向けてバンって発散するみたいな感じで歌うのが一番やりやすかったです。

-「イミテーションセンセーション」については細かいところから入るんですけど、エモーショナルなサビメロの最後に"前向くだけが正解じゃないだろう"と歌うところがとても安心する曲で。

イトー:そこが伝えたい感じですよ、ホント。

トギー:しんどいときがあったわけじゃないんですけど、何度もこの曲に救われました。普通は"前を向け"って言ってくるじゃないですか。でも、そうじゃなくて、本当につらいときは後ろを向いてもいいんだなって思える曲です。大好き。そういえば、24時間イベントのあとに、渡辺さんに言われたことがあって。"すごくいいライヴだったからいい歌詞が書けそうだよ"って言ってくれたんですよ。そのあとにできたのがこのEPなんですけど、本当にすごくいい歌詞ばっかりだなって思います。こんな歌詞書けない、早く書けるようになりたいです。

-今回も全曲で作詞のコンペみたいなものはあったんですか?

トギー:ありました。

一同:この結果です......(苦笑)。

-まぁ、今回は渡辺さんの歌詞が素晴らしすぎましたからね。

イトー:人間ではないんじゃないかって思いましたよ、本当に。

トギー:めちゃくちゃ気合とか愛を感じるんです。歌詞を読んだだけで、私たちへの気持ちがわかるというか、渡辺さんの歌詞を読んで、頑張らなきゃって思いました。自分に満足したらこんな歌詞は絶対に書けないと思うんですよ。渡辺さんがそうであるから、私たちも満足せずに生きてるんだと思います。

-そういうハングリー精神というか、飢餓感こそが重要なのかもしれないですね。EPの中で唯一ミドル・テンポの曲が「GETTiNG LOST」です。迷いや喪失感を感じさせる切ない曲で。

トギー:前回のアルバム『LOOKiE』(2020年2月リリースのメジャー2ndアルバム)の中の「LAUGH AT ME」と系統が似てるのかなと思って。サビの"こんな/はずなかった/僕は素敵だったんだ"とか、30~40代に沁みるような歌詞。

イトー:心がヒリヒリします。こういう歌詞みたいなことを思っている人がいるんだなって思ったときに、こっちが悲しくなってしまう。こういうふうに思っているんだとしたら"大丈夫だから!"、"まだ大丈夫!"みたいに言いたい。好きなことができなかった悔しさとか、そういうところはわかるんですよね。今でこそBiSになれたけど、自分はアイドルになりたくてWACKのオーディションを2回落ちてるし。悔しくて、"私、何やってるんだろうな"みたいな感じで思っていました。それでも、諦めないことはやっぱり大事なので、諦めずにもう1回挑戦してみようと思える曲になってるんじゃないかと。

トギー:思い描いていた自分になれてる人ってどれだけいるんだろうと思って。たぶん、そうじゃない人がたくさんいて、そういう人だったら絶対に心に響く歌詞になってるなと。痛いところを突かれてる感じになる気がします。

-それこそ私は30~40代なのでグサグサ刺された曲ではありますけど、それ以外の世代でも思い描いた自分になっている人なんてほとんどいないと思いますし、そういう意味では広く共感される気はします。

ネオ:BiSになる前は、毎日こういうこと思ってたかも。

チャント:自分は過去をすごく振り返ってしまう人間なので、すごく共感する部分が多くて。BiSになる前の、何になりたいかもがいていた時期とか、BiSになったばっかりの何も知らない時期とか、いろんな時期を思い出しました。今は、好きなことをやってるけど、あのころよりも頑張れてるのか不安になったりしてしまうんですよね。


「I WANT TO DiE!!!!!」は見れば見るほど、歌えば歌うほど、苦しくなる。だけど、それと同じぐらいすごくスッキリする曲です


-そして「I WANT TO DiE!!!!!」について。疾走感のあるこの曲は、タイトルとしては物騒ではあるんですけど、そういう気持ちを歌っているわけではないですよね。天邪鬼な曲というか。

イトー:本当にそうですよ、めっちゃ天邪鬼ですよね。

トギー:「I WANT TO DiE!!!!!」は"死にたい"っていうタイトルなのに、1番Aメロで"死は安らぎ?/違うと思う最近/生きてる"って、最初から"死ぬことは安らぎじゃない"って言ってるんですよね。一見矛盾しているように見えるけど、よくわかる。"生きて"って言われるより、"死は安らぎじゃない"って言われるほうがスッと入ってきて、すごくいい歌詞だなと思いました。弱いくせに強がってる感じが、すごく人間臭くていいなぁ。

チャント:うん。ずっと葛藤してる感じがする。

トギー:この曲は合宿終わりに歌詞をいただいたので、合宿と重ね合わせちゃっていて。"ありのままでなんて/弱すぎるし/出来やしないよ"とか、何度も言われた言葉だったから、そうだよなぁって。ありのままの自分をもっと良くして見せていかないといけないな、とか、いろんな捉え方ができます。

チャント:"死にたい"って思うぐらいちゃんと生きてるからこそ書けることというか。"ありのままでいいじゃん"って言われがちなこの世の中で、なんでこんな言葉が出てくるんだろうなと。例えば"頑張れる秘訣はなんですか?"っていう質問に対して"自然体でいることです"、"ありのままでいることです"っていう答えを聞いたりしますけど、"それ本当か?"って思っちゃうことがよくあって。そういうことは考えても、自分からこんな歌詞は出てこないので、これを言葉にできるのがすごいなって思いました。

トギー:3サビに"見ないで/これ以上望むなら/期待だけが増幅しちゃう/はずかしいどうしようもないんだ"っていうところがあるんです。自分に期待することってあるじゃないですか? だけど全然できない現実の自分と比べて、死にたくなる気持ちもあるので、わかるなぁって。わかるけど、書けない。

ネオ:見れば見るほど、歌えば歌うほど、めちゃくちゃ苦しくなるけど、それと同じぐらいすごくスッキリする曲です。背中を押してくれて、生きたいと思える歌詞。背中を押す歌詞っていろいろあるじゃないですか。例えば「DESTROY」みたいに強い感じとか。でも「I WANT TO DiE!!!!!」は、ちょっと違うタイプの、寄り添いながら背中を押す曲で、いい意味で刺さりました。

-歌詞への想いが深いからか、歌声がよりエモーショナルに感じたんですよ。

トギー:共感できすぎて本心で歌えてるから、めっちゃ感情むき出しになってる気はしますね。

イトー:なんか、自分の愚かさを感じちゃった。2番のAメロに"気は確かかい?/たまに聞かれるけれど/君の方もおかしくなってないかい?"というところがあるんですけど、みんな他人の変化、特にマイナスの方向の変化には敏感なんですよね。どういうふうに悪くなったとか、そういうことを口にするけど、"じゃあ自分は?"って聞かれたら、人のこと言えないんじゃないかな、みたいな。自分が言われてる感じもするなって思って。自分のことを好きじゃない人の歌詞だと思うんですよ、これ。

トギー:悩みなく生きてたらこんな歌詞は絶対書けないから、渡辺さんが苦悩していることがよくわかる。渡辺さんって自分で自分のことをサイコパスとか言ってるじゃないですか。そんな人が人間の弱さとかを書いていて、本当は人間臭い人だってことがめちゃくちゃわかる。

イトー:常に人のことを考えている人ですからね。

-ここまで全曲について聞いてきて、実際にライヴで聴きたい曲がたくさんあるわけですけど、なかなかそうもいかないわけで。この状況下をBiSとして、どう進んでいこうと考えていますか?

トギー:ライヴできないことに対しては悔しい気持ちも、悲しい気持ちも、もちろんあるんですけど、どれだけ落ち込んでいても仕方ないので前だけを見るようにしていて。ライヴをできる日は絶対来るから、その日を目標に、ひたすら全力でガーッって、練習だったり、自分を磨く期間だったりに充てたいなと思ってます。いつも通り、今まで通り突っ走っていけたらと。やっぱりBiSが元気じゃないと研究員も元気が出ないと思うから、私たちは絶対に元気でいたい。

イトー:焦らないっていう感じ。今回は急な事態だったから焦ってたけど、またこの事態が来るかもしれないっていうのも含めて、ちょっと落ち着けて、今までほど落ち込まずにいられるんじゃないかなと思います。ただ、自分たちがそうだからって、お客さんはそうじゃないかもしれないので、どうしたらファンの人たちに待ってもらえるかは考えていきたいですね。

チャント:今度のパシフィコ(※2020年8月1日に行われた無観客ライヴ"WACK FUCKiN'SORRY PARTY")が終わったら、ライヴとしては本当に落ち着いちゃうので、考える時間がすごく増えると思うんです。そこでまた落ち込むんじゃなくて、BiSのためにもっと考えていきたい。今まではずっと渡辺さんとか大人の方々が、プロモーションとかも全部考えてくださっていたんですけど、自分たちから発信できるように、いっぱい考えることがあるなと思います。