Japanese
BiSH
Member:セントチヒロ・チッチ アイナ・ジ・エンド モモコグミカンパニー
Interviewer:宮﨑 大樹
-そんなモモコさんは、ドラマ"浦安鉄筋家族"のエンディング・テーマ「ぶち抜け」で作詞をしていますね。コロナ禍を意識していないときの歌詞のようですけど、当たり前だったはずの当たり前じゃない日常を描いた歌詞というのが、とても意義深い曲になったと思います。
モモコ:そうですね。BiSHが6人でいるっていうことは、これまでは当たり前だと思っていたけど、全然当たり前じゃなかったんですよね。「ぶち抜け」を書いたときは、6人で密集していて"あぁー! ひとりになりたい!"って思うこともあったんですけど(笑)、今思うとそれが安心できる場所だったし、意味もなくふざけ合っていたのが自分にとって大切なことで。BiSHは自分の帰る場所、貴重な場所だったんだなと思います。
-歌詞を書いていた当時はどういう気持ちで書いていたんですか?
モモコ:"浦安鉄筋家族"のタイアップ前提で書いていたので、BiSHが"浦安"と対等に張り合えるところというか、すごく似ているのが"わちゃわちゃ感"だと思って。いつもはテーマなしで歌詞を書いてって言われるんですけど、そうやってタイアップという縛りがあるなかで作詞をするっていうのも楽しかったです。"浦安"のことが大好きなアユニが、この歌詞を好きって言ってくれたんですよ。普段はあんまりそういうことを言われないんですけど、例えばアユニだったらPEDROとかでも活動していて裸足で走り回っているイメージがあって、そうやってメンバーみんなのことを思いながら書いた歌詞だったので、それが伝わったのが嬉しかったです。
私たちを好きでいてくれる人たちとの思い出とか絆とか、そういうものを確かめたい
-最後に収録されている「I'm waiting for my dawn」はチッチさんの作詞ですね。
チッチ:今までのBiSHにないくらい歪みのないギターの音で、この曲を聴いたときに本当にサラサラっと歌詞を書けました。『LETTERS』というアルバムでは、私たちを好きでいてくれる人たちとの思い出とか絆とか、そういうものを確かめたいって思っていたんですよ。今までBiSHと清掃員(※BiSHファンの呼称)が歩いてきた時間を思い出して書いた素直な歌詞で、サビの言葉とかは本当に清掃員に向けた歌詞になっています。ストレートすぎてちょっとキモいかなっていうくらいだったんですけど、会えないなかでそのくらいじゃないと伝わらないのかなと思って。
-なるほど。
チッチ:素直に書いているなかで思ったのは、BiSHと清掃員が一緒になっている瞬間がすごく大好きだということでした。「サラバかな」(2015年リリースのインディーズ1stアルバム『Brand-new idol SHiT』収録曲)っていう曲があるんですけど、その中に"これからも共に時を縮めよう"っていう歌詞があって、そこでみんなが手を伸ばしているときが、ひとつになっているなって思う瞬間なんですよ。歌詞を書いているときにその光景が鮮明に浮かんだので、この曲にも入れさせてもらいました。松隈さんに"結成メンバーのこの3人(チッチ、アイナ、モモコ)で歌いたいです"っていう気持ちを伝えて、その意志を汲み取ってもらって3人で歌っているんです。だからこそライヴで、みんなと、清掃員と一緒の空間で歌うのが待ち遠しい曲ですね。前向きな曲です、夜明けを待ちわびています。
-チッチさんがこの歌詞のように毎晩清掃員のことを想っているんだろうなというのが伝わってきた感じがしましたよ。
チッチ:"会いたいなぁ"って思います。キモいんですけど。
-その気持ちは決してキモくないと思いますよ。
アイナ:キモくない!
チッチ:Twitterとかでリプライが来たら、その人のTwitterとか見にいったりしちゃうんですよ(笑)。"何してるのかなぁ?"とか思って。
モモコ:私、このアルバムで「I'm waiting for my dawn」が一番好きかもしれない。チッチの歌詞が入ったデモを聴いたときもいい曲だったんですけど、できあがったものを聴いたらもっといい曲だなと。ストレートな歌詞ですごく伝わってくるし、安心できるけど、2サビでハシヤスメさんが変な歌い方をしていて、枠に収まりきらないっていうのもBiSHっぽくて(笑)。そこも含めて好きだなと思いました。
チッチ:たしかに。"マジかよ! この歌い方するんか!"って(笑)。でもそれが良さなんだなと気づきました。
アイナ:アルバムをリリースするときって、振付を追い込まれるというか、急ピッチで1ヶ月に6曲くらい振付をしていたこともあるくらいで、焦るマインドがあるんです。だけど、今回は少しまったりしている期間なので、一曲一曲を頭に思い浮かべながら振付を考えられています。「I'm waiting for my dawn」は、いつもだったら6人のうちの誰かひとりを目立たせた場合、他があんまり目立たないようなものにするんですけど、今回は3人3人とか、今までにないペアで踊って、合わさったら結局6人、みたいに今までにあんまりないような構成が勝手に浮かんできて。そういうのは初めてだったんですよ。この期間もですけど、チッチの歌詞もあって浮かんできたので、踊るのが楽しみですね。
"会える"っていうのが一番嬉しいし"一緒に体感できる"っていうのが一番幸せなこと
-となると"ライヴをしたいよね"っていう話になると思うんですけど、クラウドファンディングで1171パーセントを達成した[WACK TOUR 2020 "WACK FUCKiN' REVENGE PARTY"](8月1日@パシフィコ横浜 国立大ホール)が開催されます。
チッチ:クラウドファンディングっていろいろなところでやってるじゃないですか? クラウドファンディングは投げ銭と一緒で、本当に想いが積み重なったお金だと思っていて。それくらいの結果が出たということは、BiSHやWACKのグループのライヴを観たいっていう想いが積み重なったということなんですよね。だからこそ、BiSHはBiSHらしいものをやるのが一番だなっていうふうに私は感じていて。いつもガムシャラにやってきたし、いつでも生き様を曝け出すってやってきたから、カッコつけずにライヴができたら私たちらしいものが出せるのかなって。"会える"っていうのが一番嬉しいし"一緒に体感できる"っていうのが一番幸せなことですね。
モモコ:ファンの人たちがどういう職業に就いていて、どういう気持ちでいましたっていうコメントをたくさん見たんです。みんなも私たちと同じくらいというか、私たち以上に闘っているのを感じました。WACKのグループは、8月1日のステージを意味があるものにしたいと思っているし、お客さんにとっても、それまで闘ってきた、生きてきた自分を認めてあげることができるような、意味のあるステージにしたいです。
アイナ:私はBUMP OF CHICKENがすごく好きで、ライヴのチケットを買ったのに観に行けなかったことがここ2年くらいあったんです。本当に残念で、3日くらい引きずる感じだったんですけど、ひさしぶりにバンプ(BUMP OF CHICKEN)のライヴに行ったときに"明日から頑張ろう!"みたいな気力が湧いてきて。これってすごいことだなと思いました。ライヴなんて娯楽ですし、なくても生きていけるのに、なかったらすごく不自由な心になっちゃう。"私がバンプのことを好きな気持ちって、清掃員と一緒なのかな?"みたいに思って。"清掃員もBiSHに会えないからさみしいのかな?"とか"ちょっと苦しいのかな?"と。だからシンプルに"安心してほしい"、"明日からの気力が湧いてほしい"とか、そういう想いだけが強いですね。体力の衰えとかあるかもしれないんですけど、なるべく頑張るので、できる限り来てほしいなと思います。
-今年は年末の"NHK紅白歌合戦"を目指している年だと思うんですよ。そういうなかで2020年も半分が終わって、もともとやろうと思っていたけどできなかったことも多いんじゃないかなと。
アイナ:紅白、出たいよね。
チッチ:今まで言ってきた"紅白に出たい"、"ドームに立ちたい"っていう想いは変わらず持っています。世界が変わってしまったということは、私たちだけじゃなくて、世界に生きている全員が被害者で。今の状況に打ちひしがれていても仕方ないから、BiSHがBiSHらしくどう頑張っていくかっていうことがこれから大事なので、見失わないように強く生きたいなっていう想いが今はあります。
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