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INTERVIEW

Japanese

Half time Old

2019年09月号掲載

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Member:鬼頭 大晴(Vo/Gt) 小鹿 雄一朗(Gt) 内田 匡俊(Ba) 阪西 暢(Dr)

Interviewer:秦 理絵

衣食住は十分に足り、人と人とは簡単に繋がることができるのに、決して心は満たされることなく、いつまでも幸福度は低い――Half time Oldが9月4日にリリースする『宅配便で現実を送りつけて』には、そんな現代社会に生きる人間の姿が、鬼頭大晴の冴えわたるソングライティングによってつぶさに炙り出されている。今作からベースの内田匡俊が正式加入。ライヴ・バンドとしての骨太なスタンスが際立った、前作『真夜中の失踪に聡明と音楽』の流れと、幅広い音楽性が溶け合う今作は、7曲入りというミニ・アルバムでありながら、Half time Oldというバンドの哲学が凝縮された濃厚な1枚になった。

-YouTubeでは「アウトフォーカス」(2017年リリースの2ndフル・アルバム『発見と疑問』収録曲)の視聴回数が伸びてますね。一気に何かが変わるわけではないけど、じわじわとバンドの状況が良くなっているのも感じます。

阪西:本当に少しずつですけど、僕らの曲を。僕らがやってることは変わらないんですけど、「アウトフォーカス」で知ってくれた人も増えて、自然とライヴもやりやすくなってきたんですよ。お客さんのレスポンスが良くて、一緒に作っていけるんです。

-ええ、最近のHalf time Oldはライヴもすごくいい。このバンド本来の熱量と芯のある尖ったところが、ちゃんと伝わってるなと思います。

阪西:やってることは変わらないんですよ。ライヴに対する想いもガラッと変わったわけじゃないし、今まで通りいいと思う曲を作るだけだし。

小鹿:ただ自分たちの好きなことをやってるだけなんですけどね。

鬼頭:まあ、真面目にやってきたからね......。

阪西:"アリさんマークの引越社"のCM?

鬼頭:そう(笑)。

-あはは(笑)。2015年以降ベース不在の状況が続いたけど、止まらずに貫いてきたものが間違ってなかったっていう確信もあるんじゃないですか?

小鹿:そうですね。ただ、「アウトフォーカス」の勢いも少し落ち着いてきた感じはあるから、ちゃんとその次を見せたいっていうのが今作なんです。

-それで前作(2018年リリースの3rdフル・アルバム『真夜中の失踪に聡明と音楽』)から1年足らずっていう短いスパンで、今回のミニ・アルバム『宅配便で現実を送りつけて』を完成させたと。

阪西:そうですね。『宅配便で現実を送りつけて』を出してからは、前回より多くの場所でライヴをしたいなと思ってるんですよ。そして、なるべく早く次の作品を出したかったんです。

小鹿:ここ最近は、1年に1枚フル・アルバムを出してきたから、"ちょっと多くない?"っていうのもあったんですよね。

-今回のミニ・アルバムから、これまでサポートだった内田さんが正式メンバーとして参加してるんですよね?

阪西:はい、そうです。

-いつ頃、正式加入が決まったんですか?

阪西:今年の2~3月ぐらいには決まってましたね。

小鹿:僕らの中では、その前からメンバーっていう感覚ではあったんですよ。

内田:たしか車内で言われたんですよ。僕が運転してたんですけど、"マジか。今ここで言われるのか"っていう感じでしたね。

鬼頭:"本当にいいんですか!?"って言ってたよね。

内田:サポートのときから思ってたんですけど、Half time Oldって、重要な話を車内でしがちなんですよ。

一同:ははははは!

鬼頭:誰にも聞かれないからね。

-正式加入を決めたきっかけみたいなものはあったんですか?

鬼頭:ベースが上手だし、知識も持ってるし、もし入ってくれたら、Half time Oldが音楽的にパワーアップするだろうなっていうのはありましたね。

小鹿:そこはたぶんうっちー(内田)も自信を持ってるところだと思うんですよ。

阪西:僕らの前のベースが抜けたときに、最初にサポートしてくれたのが、うっちーだったです。もともと大学の1個下の後輩なんですよ。そのあとサポートじゃなくなる機会もあったんですけど。ちゃんと人間としてバンドに溶け込んでたから、遠慮なく言いたいことを言い合える間柄っていうのも、結構デカいと思いますね。

-逆に、内田さんはHalf time Oldのどんなところに魅力を感じて、一緒にやりたいと思ったんですか?

内田:僕としては、Half time Oldは他のバンドにない要素をいっぱい持ってるなと思ったんですよ。大学の先輩だったから、サポートをやる前から知ってたんですけど、何か光るもの......って言うと、ちょっと上からなんですけど。

一同:あはははは!

阪西:可能性を感じてくれたんだね(笑)。

内田:もっと言うと、"すぐに売れるんじゃないかな"ぐらいのことを勝手に思ってたんです。だから、最初の話じゃないですけど、めっちゃいいとずっと思ってたものが、ちゃんとみんなに認めてもらえるようになったのは嬉しいですね。

-内田さんは、どういう音楽の影響を受けているんですか?

内田:中学の頃から継続して好きなのはロックなんです。BUMP OF CHICKENとか。そこから、ファンクやソウルみたいなブラック・ミュージックを聴くようになって。JAMIROQUAIやTHE BRAND NEW HEAVIESみたいな、アシッド・ジャズ系も好きですね。

-今回のアルバムで言うと、「狐と鴨」っていう曲に内田さんのベースの個性は出てますよね。

内田:「狐と鴨」では好き放題やってますよね。まずイントロを小鹿さんが持ってきてくれて、これならスラップが合うなと思ったんですよ。そこからAメロはスラップのベースの中で歌が乗る感じで、ふた回し目も16ビートでやってるから、こんな僕を許容してくれて、"ありがとうございます!"って感じです(笑)。

阪西:サポートだと、ここまではやってくれなかったよね。