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INTERVIEW

Japanese

Suspended 4th

2019年08月号掲載

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Member:Kazuki Washiyama(Gt/Vo) Seiya Sawada(Gt) Hiromu Fukuda(Ba) Dennis Lwabu(Dr)

Interviewer:西廣 智一

一番気にしているところは、それぞれの強い個性がちゃんと出せているかどうか


-そして、7月24日にミニ・アルバム『GIANTSTAMP』が発売。できるだけデカい音で聴きたい、最高にカッコいいロック・アルバムだと思いました。

一同:ありがとうございます!

-PIZZA OF DEATHから初めて出す作品ということで、名刺代わりになるような1枚になったかなというイメージもありますが?

Kazuki:これを今後のハードルにしてもらったらいいかなって思いで作りました。でも、俺個人的にはまだ納得いってなくて、むしろ早く次を出したいんです。次にやりたいこともこのアルバムを作ったことでなんとなく見えましたし。もちろんこのアルバムはそれなりに自信を持って出しているんですけど、一方で"もっとこういう曲が書きたい"っていう欲が湧いてきちゃったアルバムでもありますね。で、次のアルバムの制作が終わったら、またその次のアルバムが楽しみだなーってなるのかな。まぁ貪欲っすよね。

-曲作りで最も意識したのはどういったところですか?

Kazuki:一番気にしているところは、それぞれの強い個性がちゃんと出せているかどうか。そこがクリアできてなかったら、たぶんライヴでもやらないなと思うし。例えばベースがスラップするポイントがどこかに入っているとか、ギターの立ち振る舞いがカッコ良くなりそうなポイントがあるとか。そこがクリアできてやっと"ちょっと路上で実験してみる?"というところまでくる。でも、しっくりきていた曲も飽きてしっくりこなくなることもあるので、そうするとジャムるセクションが増えていって、気づいたら最初のバージョンからどんどん変化しているんです。たぶんアルバムに入っている曲も、今後どんどん変化していくと思います。

Seiya:だから、アルバムに入っているのはプロトタイプだと思ってもらったほうがいいかもしれない。

-曲は生きものだから、ライヴでどんどん進化していくと。

Kazuki:最近はCDが最終形態なバンドが多いじゃないですか。うちはそことは真逆なんですよね。CDがスタートラインで、ここから派生していく。そもそも、曲を録るにあたって、メンバーにはほぼ初見で弾いてもらっているしね。

Dennis:そう。レコーディング当日の朝5時に曲が送られてくるので(笑)。

Kazuki:ベースなんてうちに来てもらって、1曲200テイクとか300テイクとか録るからね。

Hiromu:Washiyamaが作ったおおもとのフレーズをいったんコピーして、そこに自分のアイディアを盛り込むみたいな感じなんですけど、ベーシストの発想にないフレーズが入っているのでムズいんですよ。そこに慣れてから弾くのでテイク数もすごいことになって、強制的にレベルアップさせられる感じです(笑)。

Kazuki:今回も「97.9hz」とかほぼ全編スラップなんですけど、普通のベーシストがやらないようなポジションで弾いていたりするし。

Hiromu:本人がライヴで弾けるか怪しいみたいなレベル(笑)。

Kazuki:そこができて、やっとスタートラインですからね(笑)。

Seiya:早くライヴでやりたいよね(笑)。

Dennis:でも、気づいたら違うアレンジになってたりしてね。全部ボサノヴァ・アレンジになってるとか(笑)。

-みなさんのルーツにあるアーティストがまさにそういう人ばかりですし、Suspended 4thにとってはそれが普通なんだと。

Kazuki:ですね。俺らとしては結成当初からやっていることですから。それこそアルバムに入っている「Vanessa」という曲は自分が19歳のときに書いた曲で、最初はキーがGだったんですけど、それがBになってCになって。全体的なサイズ感は変わらないんですけど、やってることが地味に違うんです。「ストラトキャスター・シーサイド」も前のバージョンからちょっと変わってるし。

Hiromu:これも3バージョン目ぐらいだよね。

Kazuki:リテイクだからといって舐めてかかると痛い目に遭うというか(笑)。全然違う曲になっていると思いますよ。

-で、レコーディングが終わったあとには渡米して、ストリートでライヴを経験してきたそうですね。

Kazuki:やってきましたね。結局地球は地続きなんだなと気づかされました。

Dennis:文化的な違いはあったけど、音楽的な違いはまったくないなと。ぶっちゃけアメリカにいる間、アメリカにいるミュージシャンで俺たちが一番イケてたと思うし。

Kazuki:マジでそんな感じだよね。なんだか予定調和な感じがして。

Dennis:カラオケ大会を見せられているような。

Kazuki:そう、歌はうまいけどね。だから、基本的にこっちでやっていることを向こうで試しただけなんですけど、そのまま通用しちゃったって感じです。

Hiromu:それこそ路上がひと通り終わったあとに、現地のおじいちゃんが"ロックはもう死んだと思ってたぜ"と言ってくれたんですよ。

Kazuki:向こうにはロックがもうなくて。Dennisなんてね?

Dennis:現地に日本人の友達が住んでいるんですけど、YouTubeで自分が好きなロックを流していたら、"さっきからなんでこんなに古い音楽を聴かされてるの?"と言ってきて。その前にSuspended 4thのMVも観てもらったんですけど"楽器ってこうやって本当に人間が弾くんだね"と言われましたから(苦笑)。これがアメリカの実体かとがっかりしましたね。

Kazuki:日本のほうがロックは流行っているんですよね。ロックって、日本で売れたほうが、たぶん長続きする気がしますよ。

Dennis:変にアメリカ進出とか考えないほうがいいかもしれない。

Kazuki:日本という土壌は、ロックをやるのにめっちゃ適しているんじゃないかなって本当に実感したね。アメリカの路上はおじちゃんおばちゃんがたくさん来るイメージで、若者はあんまり足を止めてくれない。止まってくれても、大道芸とかを観てる感じ。たぶんロックを知らないんだろうな。そりゃあBillie Eilishが流行るわけだ。

Dennis:それこそ、アメリカにいる僕の友達が"わかるか、お前? このビート、心に来るだろ?"って言うんですけど、そのビートは機械だろ? っていう(笑)。

Kazuki:アメリカと日本の微妙なズレってそこなんでしょうね。音楽の聴き方が全然違う。でも、日本には多種多様でいろんな音楽があるし、その中でもポップスやロックがここからもずっと君臨していくのかな。

-だからこそ、Suspended 4thにはここからどんどんブチかましてほしいと思います。

Kazuki:頑張ります(笑)!