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INTERVIEW

Japanese

ChroniCloop

2019年04月号掲載

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Member:瀬崎 裕太(Vo/Gt) 谷藤 希隆(Gt/Key) 本間 智行(Ba) 吉成 直輝(Dr)

Interviewer:高橋 美穂

東京下北沢でギター・ロックを鳴らしてきたChroniCloop――2018年、結成10周年を迎えた転機の年に、大胆に同期を取り入れるというサウンド面においての変革を起こした。しかし、このたびリリースされるフル・アルバムを聴くと、時代と寝たようないやらしさや、発想に技術が伴っていないような不自然さはなく、むしろ、これこそChroniCloopの行き着くべき場所だったのではないか? と思えるような出来栄えだ。タイトルは"in Rainbows"。言わずと知れたRADIOHEADの名盤と同じタイトルだが、"あぁ、これはこう名付けるべきだったんだな"と思えるような、虹色の輝きを放っている。ここに至るまでの道のりについて、メンバー全員に訊いた。

-Skream!に登場していただくのは、2017年にリリースされた1st EP『パレード』リリース時(※2017年9月号掲載)以来なんですけど、そこから1年半、バンドはどんな時間を過ごしてきたのでしょうか。

瀬崎:去年は結成10周年だったんです。でもアルバムも出さず、ツアーも回らず、制作に意識を置いてやっていました。それまでコンスタントに作品をリリースすることに意識を置いていたんですけど、節目でどうしていこうかな? って思って。やめるという選択もあって、いろいろ考えたんですけど、僕が10年間も同じバンドをやるってあんまないよな、ってことで続けるという選択をしたんです。そこからは悩むとかもなく、導かれるように今作の曲ができて。10年やってきて、武器も増えて、できることが増えたんですよね。そこで集大成も作りたくて。昔の僕らとこれからの僕らが混ざって、新しいものができたと思います。だから去年は充実していたし、楽しかったですね。

-充実していたなかで、やめるという発想はどうして浮かんできたんでしょう。単に節目だから?

瀬崎:ギター・ロックをやっていく自信がなくなったんですよ。やることなくない? って。

-やり尽くした感、というか。

瀬崎:そう、そういう意味で次の発想がなかったんです。今回、打ち込みとかいろんなことをやったのは、もうギター・ロックはいいかって。そういう気持ちが出てきてから、また面白くなってきたんです。

-そのやり尽くした感って、メンバーみんな感じていたものだったんですか?

谷藤:そうですね。『パレード』を出したときに、自主レーベルだったし、4人でどこまでできるかっていう挑戦がコンセプトにあって。それをやり切ったあとに、今度はいろんな人を巻き込みたいと思ったんです。そこで、ちょうど今の所属レーベル(DOBEATU)が決まったんですけど、環境が変わっていろんな面で挑戦しやすくなったんです。サウンドメイキングにおいてもそうで。

吉成:"10周年はこういう1年にしよう"というのは、自分たちで決めていたんですけど、タイミング良く力を貸してくれる人たちに出会えて、初めて大きなフェスにも出られて、ここから新章突入って思っています。ギター・ロックをやり尽くしちゃったなっていうよりは、新しいワクワクを見いだせているという方が大きいかな。

本間:10年だから、新しいスタートと思ってやっていこうって話もしていたので。それをみんなが楽しめていたのかなって思います。

-10年で、やり尽くした感があって、そういったタイミングで今作に入っているような新しいアイディアが思い浮かんで、新章に突入できたのはすごく良かったですよね。

瀬崎:今作に反映されているような音楽は、もともと僕が好きなものだったんです。でも、やる音楽と好きな音楽は違ったりするじゃないですか。10年前は、ギター・ロックが(シーンの)主軸だったので、それをやるっていう発想もなくて。ただ、今はサブスクとかで、いろんな音楽が聴けるようになって、音楽が身近になったと思うんですよね。自分自身もいろいろ聴くようになって、挑戦してみようかって。曲出しは早かったです。切り替えが早いので(笑)。

-瀬崎さんが楽曲のアイディアを持ってきたとき、みんなに"これで新章に突入できる!"という実感は湧いたんですか?

谷藤:そうですね。同期を入れることで、ギター・ロックを4人で演奏するよりも幅が広がったので、やってみたいことも増えてきて、楽しくてしょうがない。バンドを始めたてのような気持ちでした。

吉成:これまで"(ギター・ロックを)しなきゃいけないのかな"っていう気持ちだったというか。10年やってみて、"いろいろできるじゃん"ってわかったんです。

-新しいんだけど、アイディア先行で取ってつけたようには聴こえないんですよね。しっかり、"これを鳴らしたい"っていう意志と、それを可能にするスキルがあることがわかるっていうか。

瀬崎:『パレード』のタイミングでできていた曲もあるんですけど、そのタイミングではメンバーは消化できていなくて。でも今は全員がそういう意識に変わったからできるのかなって、勝手に思っています。クオリティもめちゃくちゃ高いっすよ(笑)。

-そう思いますよ。今の時代にも合うけど、背伸びしているわけではなく、今までの延長線上でコミットできている感じがして。ロック・バンドってこうやって進化していくべきだなって思える1枚ですよね。

瀬崎:それは嬉しいですね。

-そして"in Rainbows"というタイトルも、ある意味で振り切っていますよね(笑)。

瀬崎:僕は有名なタイトルを使うのが好きなんですよ(笑)。あと、虹が7つなのにひとつのものとして扱われているっていうところが面白いと思っていて。今回、いろんな色が入ってひとつっていう意味で、こういうタイトルになっています。悩みもせずに決めましたね。

-同じタイトルの曲もありますよね。

瀬崎:表題曲は早い段階で作っていました。曲ができあがるにつれて幅が広がっていって。

-ちなみに、一番新しい曲はどれですか?

瀬崎:「メランコリックボーイ」は後半にできた曲ですね。

吉成:「あたしは悪い子」もかな。僕はもはやドラムを叩かず、サンプリングの音源とかを使っていて、そういうのもありかなって。ドラマーっぽいプライドがなくなって挑戦してみたい気持ちになったし。

-今作を作りながら、そういう意識になっていったんですか?

吉成:作りつつですね。自分もいろいろ吸収していくうえで、こういう音楽の中のリズム隊って難しいなって考えていって。

-意識の変化も過程も、今作には詰まっていると。

瀬崎:そうですね。制作期間も長かったので、試せる時間があったんです。進化しながら作っていたので、自分でも違うジャンルって思うくらいの曲が入っていますし、それを絶妙なバランスで入れられました。『パレード』は完成させたものを録ったんですけど、今作は発想を具現化していく作業で、鮮度を大事にしていたんですよね。フル・アルバムを作るのも久々で気合も入っていましたし。

-どれくらいの期間をかけたんですか?

瀬崎:全部まとめあげるまでは、半年以上ですね。最初は同期もどうやったらいいかわからず、何を使ったらいいか模索したり、ライヴでも試してみたり。ギリギリまでやっていましたね。

谷藤:「点滅する色」は2年ぐらい前にできていたんですけど、ギター・ロック的な考えだったので、『パレード』とかには入れられなくて。でも今回、一番自分たちが納得できる形で消化できました。

瀬崎:やっとこの曲に自分たちが追いつけたっていうか。引っ張り出してきてアレンジし直しました。

本間:発想もね、追いついた。

-他の曲についても聞きたいんですが、「猿の惑星」はある種のパンク・チューンですよね。

吉成:たしかに。

瀬崎:バンドを長くやっていると、いろいろ思うことってあるじゃないですか。言うようなことでもないんですが......今持っている毒は出し切るか、みたいなことがテーマですね。

-でも、これ共感する人が多いと思いますよ。

瀬崎:周りからもそう言われていて、意外なんですよね。僕は毒を出しただけだったので。

-そしてインストの「イヴ」で、またガラッと空気が変わる。

瀬崎:インスト、出してみたかったんですよね。

谷藤:いったん休憩っていう(笑)。

-ここまでフルスロットルですからね(笑)。そして「悲しみにさよなら(+kiila)」はkiilaさんとのコラボレーションで、これもチャレンジですよね。

谷藤:みんなで作っている段階で、"これ、女子ヴォーカル聴こえない?"って感じになったら、瀬崎が"俺もその気持ち"って。そこから誰に歌ってほしいかなって作ってる段階で思い浮かべたときにkiilaさんだなって。

瀬崎:そこも同じ気持ちでしたね。