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INTERVIEW

Japanese

ムノーノ=モーゼス

2019年03月号掲載

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Member:若月 雄佑(Vo) 小玉 亮輔(Gt)

Interviewer:稲垣 遥

-「スイートハート」や「ギュッと抱きしめて」は、恋愛を歌った曲ですよね。特に「ギュッと抱きしめて」は、女性目線の曲にも聴こえる感じがしました。

若月:あぁ~! たしかに。今思い出しましたけど、もともとこの曲はこのアルバムに入れずに置いていたんですよね。ただ"この曲でいこう"ってなって、アレンジや歌詞がガラっと変わったんですよ。たぶんAメロとサビで歌詞の話し手が変わってると思います。断定していいのかわかんないですけど、Aメロは女の子、サビは男の子ですね。

-終盤はテンポを落としてコーラスも入ってきて、これでもかってくらいドラマチックですね。60年代風の、Elvis Presleyみたいな。もっと言えばアメリカの昔のダンス・パーティーとかで演奏されていそうなイメージの。

若月:ははは(笑)、そうですね。映画のエンディングみたいなものを意識して、そのアレンジがあったから歌詞も、映画のエンディングに向かっていくシーンみたいな感じになっています。

-この終盤の流れもあって、さっきも話したんですけど、頭から聴いていくとバンドのイメージがどんどん変わっていく印象なんですよね。

若月:風通しのいい曲順だなと思います。一番入っていきやすいというか。「ギュッと抱きしめて」って曲が最後にくるだろうなと思っていたので、「なぎさ」とか「Step on a river」みたいな軽やかな曲から入っていくっていうのは必然でした。

-全体的に、ムノーノ=モーゼスの曲は、"こうしようぜ!"といったメッセージを届けるというより、日常の体験的なものを共感してもらうような印象なんですけど、若月さんの体験や思いを投影しているのですか?

若月:体験もあるとは思うんですけど、そんなに自分から発さなければいけないみたいなメッセージは歌詞においてはなくて、曲として美しいものというか......。

-メロディに乗せて気持ちいいものというか。

若月:そこです! 韻を踏むのも結構好きで。あと自分は音楽って"歌"のイメージが強いので、そこを考えて、メロディに合う発音と、曲のイメージに合った言葉とを選んでいくなかで、実体験というか自分の思っているところが表れてくる流れだと思います。

-歌詞で言うと、今作には、"Mixtape"とか"サマーハイ"とか、今どきの人が普段使わないような、ちょっと懐かしい響きの言葉がよく使われているのも印象的でした。これまで聴いてきたアーティストなどの影響があったりするのでしょうか?

若月:これまで聴いてきたアーティストなどの影響はだいぶあるんですけど、小玉が普遍的なものしか許さない人間なんですよ。それと、"Mixtape"はちょっと違うかもしれないんですけど、僕はあんまり時代の流れとかに左右されない言葉を選ぼうとはしてるので、固有名詞とかはあんまり出てきてないと思いますし、音楽も言葉も、いつ聴いてもいいと思ってもらえるようなものにしようと思って。

-ご自身で改めて本作を振り返ってみて、どんな作品になったと思いますか?

小玉:僕は、やっぱり海のイメージが強いというか、青色というか、爽やかな感じですかね。今までの作品よりも、リズムが爽やかになったんじゃないかなと。

若月:僕はまず、これまでよりも成長したなって思うんですよ。いろいろな人の力を借りてなんですけど。『CURRY』のときは、いろんな方向を向いてたというか。それはそれで良さだったと思うんですが、このアルバムは自分たちの音楽性がわかったうえでできた5曲なので、僕たちが"こんな感じでやっていきます"っていうことをちゃんと提示できたと感じています。あと僕は自分の歌詞がめっちゃ好きなので(笑)、いい歌詞が書けたなと。

-自分たちの武器がわかったうえで"これだ!"って出せるのは、初の全国流通盤にぴったりですね。リスナーにはどのように聴いてほしいですか?

若月:やっぱりさっきも言ったんですけど、テーマが"若さ"なんですよ。メンバーにも共有してると思うんですけど。

小玉:......"若さ"って、何?

若月:(笑)

-共有されてなかったみたいです(笑)。

小玉:(笑)僕は、新しさは一番に置いておきたいというか、安易なものは作りたくないなっていうのはずっと思ってますね。それが僕の"若さ"です(笑)。

若月:僕は若さゆえに起こる感情とか言葉とかが入ってるイメージです。タイトルが"オカルトタイムズ"っていうんですけど、若かりし時間をオカルティックな時間としてパッケージして、それを全然若くなくなっても感じられるようにしたいなと。僕も未来に聴き返したときに、若さとはこういうことなんじゃないかっていうのを感じたいところがあるので。

小玉:僕は自由に聴いてほしいです。

若月:自由に聴いてほしいんですけど、若さってやっぱりすごくパワーがある時期だと思うので、それを感じてほしいな。それは同年代だけじゃなくて、年上の人や、全然僕らと環境の違う人たちでもその余りあるパワーを感じながら聴いてほしいと思います。

-"オカルトタイムズ"ってそういう意味だったんですね。

若月:理屈では片づけられないような、神秘的というか、ちょっと説明のつかないようなことが起こりやすい時期かなと思うので、"オカルトタイムズ"という言葉はそれを言い表しているのではないかなと。

-リリース後の3月には"2nd mini album「オカルトタイムズ」レコ発ツアー ムー"を開催しますが、対バンには、東京編にSCOOBIE DO、名古屋編には関西の同世代バンド Slimcat、大阪編には同じくSlimcatとCrispy Camera Clubなどが発表されていますね。これはそれぞれどのような思いで選んだのでしょうか?

若月:前回の『胸さわぎのシーサイド』(2018年11月リリース)っていう会場限定シングルのリリース・ツアーの東京公演で奇妙礼太郎さんと共演して、ツアーを通してひとつ僕らにとって大きな存在とぶつかるというのは意識してたというか、そういうマッチングがあったらいいなって思ってます。僕にとってSCOOBIE DOは自分の延長線上にいる存在だと思うので、そういう僕たちが進むべき道を歩んでる先輩とガチンコ・ツーマンではないですけど、ぶつかることで成長できたらいいし、SCOOBIE DOとかを聴くお客さんにも俺たちのことを知ってほしいという思いもあるので。

-Slimcat、Crispy Camera Clubとは普段から対バンをしているんですか?

若月:そうですね。僕らの自主企画とかによく出てくれています。

-どんなツアーにしたいと考えていますか?

小玉:かっこいいライヴができるように研鑽するツアーですね。

若月:僕たちが曲の良さをちゃんと理解して、それをわかってもらえるようなライヴにしたいです。

-最後に、今後の活動についての意気込みを聞かせてください。

小玉:曲を作るうえで、今まで作ってきた曲をステップアップさせて常に新しいものを生み出したいと僕は思ってます。あとはライヴをもうちょっと頑張って、かっこいい演奏をできるように努めていこうと思います。

若月:僕も同じで、歌をもう少し生かした曲作りを意識していきたいという思いと、ライヴで言うと、音源で結構音を重ねたりしたから、そことのギャップがどうしても生まれてしまうので、単なる演奏技術だけじゃなくて表現力を身につけて、ライヴも魅力的なバンドになっていきたいです。