Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

ムノーノ=モーゼス

2019年03月号掲載

いいね!

Member:若月 雄佑(Vo) 小玉 亮輔(Gt)

Interviewer:稲垣 遥

-では今作『オカルトタイムズ』の話に移っていこうと思います。聴き進めていくと、どんどんイメージが移り変わっていく感覚がありますが、今作に何か共通するテーマはあったのでしょうか?

若月:歌詞で言うと、テーマは"若さ"です。サウンド的には、BPMは似てる曲が多いんですけど、たしかに1曲1曲個性があって違うし、曲を並べるうえで"同じ曲ばっかやな"って思われたくないから、曲の配置は意識して散らばらせました。

-1曲目の「なぎさ」だったり3曲目の「胸さわぎのシーサイド」だったり、海に関連するワードがよく出てきますし、ジャケットも海ですが、海はみなさんにとって身近な風景なのですか?

若月:そうです。僕ら神戸の大学で、一応海が見える大学やんね。

小玉:うん。僕は神戸にずっと住んでるんで、海はずっと見えるところにいますけど。

若月:僕は、実を言うと大阪で、海は全然身近じゃなくて。でも歌詞を書くときに海とか夏とかをモチーフになった歌詞ができる。その原因はちょっとまだわからない(笑)。

-(笑)でも大阪の人からすると、海って身近ではないですよね。むしろうらやましい、お出掛けする感覚というか。

若月:そうですね。だからちょっと憧れの対象として見ている気はします。身近なものというよりは、意識的にちょっと遠くにあるものとして捉えてる。

-わかります。"夏の権化"と謳っているのは、メンバー全員が7月生まれだからだそうですね。今作のアートワークや曲のタイトルが夏っぽいなと思ったのですが、全国流通でそういったイメージを打ち出していこうと?

若月:そうですね。それこそ、僕と小玉のギターの音で必然的にトロピカルというか夏に近いイメージの曲ができてしまうのは、山下達郎とかYogee New Wavesとかのギターのカッティングやコード感があって、自然と夏に引き寄せられていくからだと思います。

-今回、一部楽曲(「なぎさ」、「胸さわぎのシーサイド」)に真心ブラザーズなどのサポートでも活動している岡部晴彦さんをプロデューサーおよびベーシストとして迎えていますがそうなった経緯は?

若月:まずベースが抜けたので、レコーディングどうする? っていうタイミングで、僕らの活動にこれまでなかった風を吹かせようということで紹介していただいたんです。

-これまでにもプロデューサーを入れたことはあったのでしょうか?

若月:今回が初めてですね。

-岡部さんとの制作はいかがでしたか?

若月:めちゃくちゃすごかったです。刺激的やったな。

小玉:はい。プロってこんな感じなんやって。アレンジもまとめてくださったりとか、パーカスやトライアングルもやっていただいたりして。

若月:ただベースを弾いてもらうだけじゃなくて、トータル・コントロールというか、僕らをやる気にさせるみたいなところもやってくださって、岡部さんがいたことで僕たちのプレイも良くなりました。

-ギターやヴォーカルも?

若月:はい。これまでレコーディングはエンジニアと僕たちで基本的にしていたし、自分たちで話し合って良くしていくみたいな感じでテクニカル的なところはなかったんですけど、岡部さんが入ることによって"そういう考え方があるんや"とか"そういう技があるんや"とか、アレンジにおいてもレコーディングにおいても目から鱗な情報がいっぱいあったので、今後の糧になるような勉強と経験ができました。

-なるほど。「胸さわぎのシーサイド」は1曲の中でファンキーだったり、メロウな感じになったり、ギターのいろんな音色が聴けて心地いいです。

小玉:この曲はギターを3本くらい重ねていて、こんなに重ねたのは初めてだったんですけど、そのなかで3本の役割が被らないように意識しました。岡部さんのプロデュースで今までの自分になかった音とかアレンジとか、曲の幅を広げるギターができたような気はしますね。

若月:それこそ岡部さんの頭の中にたぶんあったのが、「胸さわぎのシーサイド」は"歌とギター"を主役に置いた方向性でやっていこうっていうことで、ギター・ソロに入るところとかはちゃんとお膳立てして。そういうのって僕ら今までできてなかったから。

-たしかに、来るぞ来るぞ! という感じがありますよね。

若月:そうなんです。ギター・ソロがあるから、そこにいくためのプロセスみたいなのをめっちゃ練って、それをしかもちゃんと3本のギターで棲み分けて表現できた。

-ライヴではどうなるんでしょうね。

若月:そうなんですよ。ライヴがやっぱり、難しくて......。

-ふたりですけど、3本分ありますもんね。

若月:最初ちょっとコピー・バンドみたいになって(笑)。

小玉:音源となんかちょっとイメージが違うな、みたいな(笑)。

若月:でもそこから試行錯誤してやってますね。

-「Step on a river」ではセリフのようなものも入っていますね。歌詞カードにはない言葉がところどころで表れるのも楽しいなと思いました。

若月:この曲は小玉が持ってきた曲なので、基本的に小玉から注文を受けて、セリフを言わされました。

小玉:初めに歌詞を書くときに"自由"をイメージしたんです。"何者にも妨げられない"みたいな。そこに自分の中のイメージをつけ足したような感じで。セリフは僕が考えました(笑)。

-「スイートハート」は冒頭でかき鳴らすギターから、ロックンロールなナンバーが始まるのかと思ったら、タイトルどおりロマンチックでちょっとビックリしました。

若月:これは僕が持ってきたんですけど、メロディができたときに、めちゃくちゃ甘い曲にしたいなと思って、歌詞もこれまでにないくらい甘くしようと。でも最後の"青白くなる空"というところから、結果的に男らしさも見せたいなという感じになりました。