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INTERVIEW

Japanese

Half time Old

2018年11月号掲載

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Member:鬼頭 大晴(Vo/Gt) 小鹿 雄一朗(Gt) 阪西 暢(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-ラスト・ナンバーとして収録されているバラード曲「花火」のことも聞かせてください。

鬼頭:言ってしまえば、アルバムのバランス的にバラードがあった方がいいかなっていうのと、僕は単純にバラードが好きなので、この曲を最後に入れたかったんです。

小鹿:ロックなバラードにしたかったっていうのはありますね。小賢しいことをするんじゃなくて、わりとズギャーンと......。

鬼頭:ズギャーン(笑)。

阪西:男のギターみたいな感じだよね。

小鹿:細かく弾くっていうよりはバッキングでいく。それも大晴君からオーダーがあったんですよ。きれいな感じというよりは荒々しく聴かせたいって。そういうなかで、終盤のサビが終わるあたりで、ギター・ソロでストンと落ちるところがあって、ドラマチックに緩急をつけられたから、そこらへんはうまくいったかなと思います。

-歌詞は、誰かに語り掛けているような独特の雰囲気がありましたが。

鬼頭:歌詞は......今年やけにライヴが中止になることが多いっていうのがあって。僕らが出る予定だった栃木のイベントも台風で中止になっちゃったんですよ。8月の下旬だったんですけど、今年は夏らしいことをしてないなと思ってたから、その栃木のライヴで花火が上がるのをすごく楽しみにしてたんですけど。それが中止になって、"この気持ちをどうしよう?"って書いたのが、「花火」です。だから、"花火、見たかったよね"っていうだけですね(笑)。

-この曲の中で、"聡明な夜を楽しむんだね"という言葉が出てきますけど、それがアルバムのタイトル"真夜中の失踪に聡明と音楽"に繋がってるんですか?

鬼頭:そうです。僕、曲を作ってるときに、公園のベンチにひとりで座ってたりするんですけど。そういうときに限って、いろいろなことを考えて、頭の中が聡明になる感じがするんですよね。何時間も考えて、何も思い浮かばなくて、"ちょっと公園に散歩でも行こうかな"って外に出て、音楽を聴きながらボーッとしてると、何時間も考えて出てこなかったようなアイディアが、ふっと閃いたりするんですよ。逃げ出したくなるときに限って思いつくというか。

-そうすると、逃げるわけにはいかなくなりますよね。

鬼頭:はい。そういう経験が多かったので、こういうタイトルにしました。

-もっと言うと、結局私たちの生活もそういうことの連続じゃないですか。逃げ出したくなる、踏みとどまって解決できる方法を考える、そこで出した答えを信じて進んでいく。そういうことを伝える意味もあるのかなって思ったけど。

小鹿:それ、すごくいいですね。

鬼頭:そこまでは考えてなかった......。自分のエゴでしかないタイトルなので(笑)。

阪西:でも本当に今回のアルバムを通して、みんなの人生を後押しできたらいいなとは思います。わりと前作『発見と疑問』でそれができたかなっていう手応えがあったから作れたのが今回のアルバムだから。またこのアルバムが聴く人の生活の一部になれたらいいなと思うし、僕らもそういう存在になれたらいいなと思いますね。

-では、最後の質問。Half time Oldって作品ごとに音楽性を更新し続けるバンドじゃないですか。『人生の使い方』(2016年リリースの1stフル・アルバム)のころに比べると、今は変わったところも多いと思う。それでも変わらずHalf time Oldの核心にあるものって、なんだと思いますか?

鬼頭:うーん......。僕らは、どんな音楽をやってても、おっちゃん(小鹿)のギターがあって、暢君のドラムがあって、僕が歌ってれば、それだけで、Half time Oldだなって思われるのが理想なんです。前回『発見と疑問』を出したときに、昔の作品にも立ち返って、歌詞を評価されることが多くて、それがすごく嬉しかったんです。だったら、僕は今までどおり、その時々で感じることを歌詞で書いてたら、どんな音楽をやってもいいんじゃないかって思えたんですよ。そこに自由度がたくさんあるというか。

小鹿:だから、これからも楽曲の振り幅は更新し続けると思うので、それを続けたうえで大晴が歌えば、僕らだっていうのはありますよね。

-そうですね。さらにつけ加えると、"何をやってもこの3人ならばHalf time Oldである"っていうことを、バラエティ豊かな作品じゃなくて、これだけロックで一点突破したアルバムで説得させてしまったのが、今回のアルバムのかっこ良さなんでしょうね。

鬼頭:そう言ってもらえると嬉しいです。