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INTERVIEW

Japanese

batta×小田和奏

2018年03月号掲載

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batta:ホシノタツ(Vo/Gt)
小田 和奏
インタビュアー:高橋 美穂

-和奏さんは、この曲を聴いたときに、どう磨いていこうと思いましたか?

小田:ライヴで愛されるものにしたいと思いましたね。制作が始まる前に、下北沢CLUB Queでbattaのワンマン(2017年11月5日に開催された"admiration One-Man-Live")があったんです。そこで、battaのお客さんは何を欲してるのかな? って思いながら見ていたら、(バンドと)一緒に歌いたいんだなって。例えエグい言葉であっても、一緒に歌っていたから(笑)。そして、この曲はみんなで歌えるポイントがあるんですよね。僕はタツの書く曲が好きだし、それを大前提にしながら、キャッチーなポイントをいい形に出していく方法を考えました。声も含めて楽器もギャンギャン言わせてる、ハードな曲だと思うんですけど、その中にメロウなところもあるんで。

-タツさんは、多面体な曲を出したいという意図はあったんですか?

ホシノ:ひとりでデモを作った段階で、自分たち的には新しいと思ったんです。まず、今までは四つ打ちをやりたくなかったんですよね。まぁ、この曲もドッチードッチーっていう、いわゆる四つ打ちではないんだけど、でも、そこにトライしてみたいと思った。あと、歌詞をあんま熟考せず、ほとんど推敲もせず、歌いながら出てきたものを採用するタイプなんですけど、今回もその流れでやってたら"哀しみに唾を吐いて"以外の言葉が、バーッて歌ったときに出てこなかったんです。だから、曲の中で20回くらいこれを言ってると思うんですけど(笑)。

小田:どんくらい唾吐いてんだ(笑)。

ホシノ:何回も書いていたら、ゲシュタルト崩壊的な感じになりました(笑)。意図としては、どの曲もそうですけど、2番のBメロで飽きないようにしたいって思ってるんですよね。あとは、必要以上にいろいろやりたくなることもあるんですけど、ギターで言うならコードを多用しすぎない、簡単な作りでいい歌にしたいと思っていて。だから、飽きないように、でも、できるだけシンプルにしたいっていう感じですね。

小田:そうだね。ふたりで話したときに、高校生が弾けるコードで作りたいって言ってて。それは僕にとっては大きいヒントでした。って言いながら"ここはおいしいから出そうよ!"って言ったりもしたけど(笑)。

ホシノ:話していると音楽が図解されていく感覚があって、面白いんですよ。僕、楽譜が読めないんですけど(笑)、こういうのを"音が当たってる"って言うんだとか、このメロディなら、このコードの方が座りがいいんだとかわかるので。あえて座りが悪いままいきたいって主張することもあったんですけどね。選択肢が増えることはいいと思っています。

小田:そうそう、僕はbattaの正解を持っていないんです。タツが選んだものが正解になるべきだと思うので。ただ、こういうのはどう? って提案して、おいしいところをちゃんと味つけして、楽曲のネジが締まればいいなっていう。でも、歌については結構言いましたね。"タツ、ここはあえて力んで歌って"とか、"あえて無感情で歌って"とか。演奏はそれぞれのプレイだと思うけれど、声はまず表情が聴こえてくるので、僕が今回一番気を遣ったところはそこかなぁ。でも、そういうところも含めて、制作はとっても楽しかったですね。

-声が魅力的だと思ったから、そこを出していったんですか?

小田:でも、根底にあるのは、バンドとしての強さだと思いますよ。

-声がいいのに、そこばっかりを強調しているわけではないところも魅力だと思いました。バンド・サウンドや、もっと言うと隙間も印象的に響いてきますよね。

ホシノ:細かいところをやれる隙間っていくらでもあるけど、それが聴こえてるかっていったら微妙ですよね。同じ長さがあったら、ドコドコドコドコってやるより、ドーン! の方が聴こえると思うんです。例えば、隅々まで音が聴こえるライヴハウスだったらわかるけど、屋外のライヴだと聴こえなかったり、音源なら、イヤフォンだったら聴こえるけどカーステだと聴こえなかったりとか。でも、どんな場所でも、どんな聴き方でも、一貫して歌が真ん中にあればいいし、そっちの方が大事なのかなって。

-また、さっき"今まで四つ打ちをやりたくなかった"っておっしゃってましたけど、それは四つ打ちが流行していたがゆえ、というところも、きっとありますよね。でも「哀しみに唾を吐いて」は、ダンス・ナンバーだけど、いわゆる四つ打ちのイメージとは違って、おしゃれすぎず、ちゃんと泥臭い楽曲になっていると思いました。

ホシノ:そう言ってもらえると、やって良かったと思います(笑)。

-さっき和奏さんから、battaのファンの方は"エグい言葉でもライヴで一緒に歌う"っていう話がありましたが、タツさんはなぜそういう状況になっているんだと思いますか?

ホシノ:あぁ、それは、俺のせいだと思います(笑)。今より無名だったころ、時代的に、バンドマンは優しい感じだったんです。ステージでも、1曲ごとにありがとうって言っていたりして。でも、何かのイベントで、いっぱいバンドが出ているのに、お客さんが全然いないときがあったんですよね。それはいいんですけど、楽屋で共演者もまったりしていて、主催の大人もまったりしている様子に、すごく腹が立って、ステージでめちゃめちゃ怒っちゃったんです。なんなんだお前らは! って。そうしたら(客席が)盛り上がったっていう経験があって。

-きっと、みんなもそう思っていたんですよ。

ホシノ:そこで1回(リミッターを)外したら盛り上がったので、思ってんなら言えばいい、やりたいならやればいいっていうふうに、自分も自由でいいんだって思えたんです。それから、ライヴもこういうふうになっていきましたね。俺は、楽しい言葉をみんなで歌うより、変な言葉をみんなで歌うのが面白いと思ってるんです。だから、「哀しみに唾を吐いて」は、逆で言えば「幸せなら手をたたこう」だと思うんです。