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INTERVIEW

Overseas

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

 

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ex-OASISのNoel Gallagherによるソロ・プロジェクト"NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS"が、Noelが50歳を迎えた今年、待望の3rdアルバム『Who Built The Moon?』をリリース。今作では映画"オーシャンズ"シリーズなどのハリウッド映画のサウンドトラックでも知られるDavid Holmesがプロデューサーを務めている。2018年4月からはワールド・ツアーの開催も決定しており、まだまだ活躍をし続け、これからにも期待されるNoelに、作品についてじっくり話を訊いた。

-今回の制作はいつごろからスタートしましたか?

だいたい3年前だった。前作『Chasing Yesterday』(2015年リリースの2ndアルバム)の日本のプロモーションをやったときに、すでに本作に取り掛かっていたのを覚えているよ。前作が半分ほどできたとき、ツアーの合間とかにDavid Holmesと一緒に作業を始めたんだ。

-今作の制作当初、書き溜めた曲たちを見て、どういう方向性や音、スタイルの作品にしたいという青写真を描きましたか?

いや、何が起こったか話そう。この話は『Chasing Yesterday』と切っても切れないんだ。『Chasing Yesterday』に取り掛かったとき、すべての曲のデモを作ってあった。そしてプロデューサーに入ってもらってそれを完成させるのを手伝ってもらいたかった。そこでDavid Holmesに話を持ちかけ、彼に曲を聴かせたところ、"これらはすでに完成しているように聴こえる。だから自分でそのまま完成させれば良いのでは"と言われたんだ。俺は"でも、君と一緒に仕事がしたいんだが"と言うと、"また新しいレコードを一緒に作ろうじゃないか"と言われた。そこで"オーケー"と答えたんだ。『Chasing Yesterday』の制作を進めたあと、数週間ほど休みが取れたので、彼に"どうしようか?"と尋ねると、"ベルファストの僕の自宅に来てくれればいい"と言われた。"先日聴かせたデモ以外に曲があるわけではないぞ"と言うと、"曲なんて必要ない。ただ僕の自宅に来てくれ。ギターとエフェクト・ペダル一式を持ってきてくれれば、来てもらってから一緒に作業するから"と言われた。"うーん......そういうのって、どうなんだろう?"と思ったんだ。俺はそんな仕事の仕方はしないからね。彼のスタジオに着いて最初の晩、音楽の話をしたり、レコードをかけたりした。彼に、"これについてどう思う?"とか"これはどう?"などと聞かれ、"いいね。気に入ったよ"と答えると、"君はこういう音楽を作るべきだ"と言われた。それで俺も"いいね"と言ったんだ。翌日、またスタジオに行くと、前の晩に聴いたいろんなレコードの短いループができていて、一緒にジャムを始め、バッキング・トラックを作ったりした。そのあと俺はツアーに出掛け、そこで歌詞を書いて、半年後にまた戻り、少し歌ってみた。俺のツアー中に彼は作業を少し進めていて、そうやって今作は始まっていったんだ。

-それではそのあと、できあがった作品を聞いて、自分では最初は気づいていなかったけれど、自然にこの作品に宿った方向性のようなものに何か気づきましたか?

何が起こっているのか、さっぱりわからなかった。終わって聴いたときでさえそうで、"これはすごいぞ!"と思った。というのも、通常は毎回スタジオ入りするたびに、その半年前までに書き溜めていた曲があって、どういうサウンドにしたいのか、何についての歌なのかわかっていて、ヴィジョンがあってそれを目指していくわけで、そこに到達することもあればそうではないこともあるものなんだが、新作では何がどうなっているのかわからなかったんだ。曲や歌詞をある程度書いて、その半年後に再開するんだけど、Davidがそれまでに作業をしているので、前聴いたときとはまったく違うサウンドになっていたりする。俺は頭を掻いて、いったいこのレコードはどんなサウンドになるのだろうと思ったよ。俺のほとんどの曲は愛、幸せ、悲しみ、喜び、哀愁、恋愛、歳を重ねていくこと、若さ、といったことなど、普遍の真理についてで、もともとその枠組の中で曲を書くことが多い。ところが、本作ではそれよりももっとダークでシニカルな要素がいくつかあるんだ。「Be Careful What You Wish For」という曲があるんだが、これはギターの音符ふたつだけだ。Davidはとても気に入って、これを追求していくべきだと言っていたが、俺はあまり乗り気ではなく、何か書きたいという感じにはインスパイアされなかったんだ。でも彼に"Bob Dylanが書いていたように、ただひたすら書けばいい"と言われ、何百ものヴァースを書き続け、その中から最高のやつを選んだ。俺が書いてそれを歌うと、彼は"今のもいいけれど、君がそうするのをすでに何千回も聴いている。これまでとは違うことをなんかやってみて"などと言うのが上手かった。本作を制作していくなかで、かなり長いことずっと、これまでとは違うことというのがなんなのかわからないでいた。俺はこれまでずっとこうやってきたんだ。彼が何を言っているのかわからなかったね。

-どのようにしてDavidの真意を理解したのでしょう。

ある時点で、ピンときたんだ。そのあと、次から次へと発展していった。方向転換させたのがどの曲だったのか定かではないがね。きっと俺が彼に自分のやり方をわからせるのではなく、彼の仕事の仕方に俺が慣れていかなければならなかったのだろうね。俺の方が彼の仕事のやり方により合わせていくということだ。わかるかい? すでにレコード(『Chasing Yesterday』)が1枚そのときできあがっていたわけで、その時点で失うものなど何もなかったわけだ。別のアルバムをすでに作っていて、そのツアーにこれから出掛けようというときだったので、"例えこれが上手くいかなかったとしても、問題ではないさ。構うものか"と思った。そのプロセス全体をとおして、俺以上に彼の方がよりはっきりとしたヴィジョンを持っていたのだろう。

-David Holmesと仕事をするというのは、すごく意外なようで、でも実際に音を聴くとあなたの作曲や声との相性の良さに納得もしてしまいます。前作を彼に聴いてもらったとおっしゃいましたが、そもそもどうして彼と仕事をしようと思ったんですか?

プロデューサーによってそれぞれ仕事の仕方が異なるものだ。プロデューサーの中には"曲を持ってこい"と言う人もいるが、彼は"なんの曲も必要ない、単に一緒に作業をしよう"と言うんだ。すべての曲を書いたのは俺なんだが、どちらかというとスタイルのコラボレーションと言うのが正しいかな。スタイル的には彼がスタート地点を提案した。それは例えば俺が到底考えつかないようなドラム・ループだったりするわけで、彼は"これが(目指している)曲になる"と言い、俺は"いいね"と言うんだ。そういう意味で、多くのことを学んだよ。音楽を持ち込まないでスタジオ入りし、ただ座ってその場で作っていくことができるとは、自分では考えもしなかったからね。とても解放感を感じたよ。そうやって作品ができたことをとても嬉しく思うんだ。これをやったので、もはや何も怖くはないからね。アルバムの(本編)11曲に至るまで、おそらく50曲はレコーディングしたと思う。自分がやることの中の僅かなパーセンテージのみ最終的に使用するわけだ。何時間もかけて作業しても、俺たちお互いが"イマイチ"と言い、別の曲へと移行していくわけだ。だから俺の自宅には何時間にもわたってギターを即興で弾いたり、ジャムったりしている録音があるんだ。

-"いつか彼とやりたい"と思っていたのでしょうか? それとも曲を作っているうちに"今作は彼がぴったりだ"と思ったのですか?

俺はずっと彼のファンだったし、彼の作品はみんな好きだった。素晴らしいDJだしね。ただ、彼に会ったことはなかったんだ。彼のレコードは持っていたんだがね。マン島でPRIMAL SCREAMと一緒にギグをやっていたとき、DavidはPRIMAL(PRIMAL SCREAM)と一緒にいたんだ。俺の控え室で飲んでいたとき、彼に自己紹介された。"うわっ、David Holmesだ!"と思ったね。彼の音楽についてはよく知っていたんだ。『Chasing Yesterday』をやるときになって、彼が素晴らしいから、彼に俺のレコードを手掛けてもらえば、何かこれまでとは違うことをやってくれるかもしれないと思ったんだ。そして、そこから本作が生まれたというわけさ。