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INTERVIEW

Japanese

ライターイチキューゼロイー

2017年12月号掲載

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Member:いとうりな(Vo/Gt) 竹内マメ(Gt) 阿部飛鳥(Ba) ジョン(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

2008年、東京にて結成。"せつないものをポップに変える"をモットーに活動中の4ピース・バンド ライターイチキューゼロイーが、ライヴ会場限定の2ndシングル『宙ぶらりん』をリリースした。西原 誠をプロデューサーとして迎えた本作は、紅一点のいとうりなによる艶やかなヴォーカルや和テイストのメロディ、ひと癖ある曲構成などを活かした内容に。自らの視界を切り拓いてみせるような快作だが、どのような経緯で本作に辿り着いたのだろうか。結成秘話からバンドが迷い悩んでいた時期のこと、いとうの捻じれた人間性の背景など、様々な角度から話を訊いてきた。

-まず、結成の経緯を訊かせていただけますか。

いとう:私とギターのマメとベースの阿部が同じ専門学校に通ってたんですけど、そこで"バンドをやらないか"って(竹内が)声を掛けてきてくれたんですよ。

竹内:もともと阿部と僕は高校から一緒にバンドをやってて、一緒の専門学校に入ったんですけど、そこからそんなにバンドをやらなくなっちゃってて。で、"バンドやろうよ"って(阿部に)声を掛けたら"ヴォーカル見つけてきたらいいよ"って言われたんですよ。それで"ヴォーカル見つけてきたよ。一緒に聴こうよ"って(いとうを)連れてきて、僕らふたりの前で歌ってもらって......。

阿部:(学校の)廊下でね。

いとう:"いいね"って言ってくれたからまだ救われたんですけど、これでダメだったらどうしようみたいなところはありましたね(笑)。それがキッカケでこの3人が集まったんですよ。そこから3人で活動していくなかで、ドラマーを紹介してもらって、沖縄から上京してきたジョンが入ってきたという流れですね。

-ライターイチキューゼロイーの曲はメロは歌謡曲だけど音はプログレというか、予想のつかない展開をする曲が多いですよね。音楽的なルーツがどういうところにあるバンドなのかが気になりました。

いとう:ルーツは4人わりとバラバラだし、好き嫌いもそんなにないですね。でも共通しているのがみんなアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)から入ってるっていうところで。邦楽ロックの言葉を大事にしてるバンドがすごく好きで、そういうふうになりたいなって思ってます。

-ちなみに、結成当初は今と同じ読みで"Lighter190E"というバンド名だったそうですが、この名前の由来は?

いとう:大きな船に乗っているお客さんの荷物を陸から船へ運ぶ人、はしけの船頭のことを"ライターマン"って言うんですよ。それで"架け橋みたいな役割をする人"っていう意味で"ライター"という言葉を持ってきたというのがひとつあって。"190E"っていうのはそれとはまったく関係ないんですけど、(メンバーみんなの)生まれ年と同じ年に発売されたベンツの型番が"190E"なんですよ。そのふたつを合わせたみたいな感じですね。私、くっつける作業というか、いろいろなことを関連づけて考えていくことがすごく好きだから、それがバンド名にも反映されてるんだろうな~ってちょうど最近考えてたんですけど。歌詞を書くときとかもそうなんですけど、比喩的な表現をしていくというか、"置き換えていく"、"言い換えていく"っていう考え方をよくするんですよね。

-たしかに、生まれ年が一緒なら西暦の数字をそのままバンド名に持ってくる手もあるのに、わざわざワン・クッション挟んでベンツの型番ですからね。そして2016年にはバンド名がカタカナ表記に変わりました。

竹内:やっぱりバンド名をキャッチーにして、読んでもらいやすいようにしたかったんですよね。やっぱり英語表記だと1回"んんっ?"ってなってしまうんですけど、カタカナになることですぐわかるじゃないですか。表面上はそういう理由ですね。

-では、もっと深層的な理由の方は?

ジョン:こういうふうに表記を変えたらポップになれるかなと思いつつ、名前を見やすく、読みやすくすることによって、空気の入れ換えをしたかったんです。当時は何もかも変えたい勢いではあったんですよね。ただ、バンド名をガラッと変えてしまうと、僕らがそれまでやってきた音楽の意味みたいなものも変わってきちゃうかなって思って。なので、バンド名以外をガラッと変えることにしました。

-"何もかも変えたい"と思ってしまうほど、それまでは悩んでたと。

ジョン:そうですね。以前はいとうがひとりで曲作りをしてたんですけど、途中からこのふたり(竹内、阿部)も書くようになって。その時期にちょうど悩み始めてしまって。

阿部:"結局何がしたいのか"っていうのが見えなくなってしまった、みたいな。

-先ほどから"キャッチー"や"ポップ"という言葉もチラッと出てきていますが、バンド表記変更後の曲は変更前の曲よりも、バンドのサウンドが整理整頓されてる感じがあって。

いとう:あ~、そうかもしれないですね。

-その点が特に今作が顕著だと私は思ったのですが、みなさんご自身としては、改めてどんな作品ができあがったと感じていますか?

竹内:俺はもともとEric Claptonみたいなギター弾きが好きだったんですけど、(バンドを)やって歌モノへ寄せていくなかで、自分を押し殺していってるんじゃないかなって思ってたんですよ。それで"自分は何がしたいんだろう"って思ってた時期もあったんですけど、今回、西原 誠さん(JIVES/RINA&THE FREAKS/ex-GRAPEVINE)にプロデュースしてもらったことによって、"あっ、ここでこんだけ弾いてもいいんだ"みたいなことを再確認できましたね。だから爆発できたかなと。

阿部:迷ってた時期もあったんですけど、今回で、初期衝動みたいなものを取り戻せた感じはありますね。

ジョン:まだまだではあるんですけど、迷いが吹っ切れつつあるなと思います。何かを掴もうとしてる段階までやっといけたというか、希望のある仕上がりになってるなと。

いとう:これまでみんなが苦労してきたこととかが表れてるというか。なんか、人って疲れるとエロく見えるじゃないですか。......あれ、私だけ?

ジョン:うーん。それはフェチじゃないかな。

一同:(笑)