Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

FUNKIST

2017年09月号掲載

いいね!

Member:染谷 西郷(Vo) 宮田 泰治(Gt) naoto.grandcabin(Ba)

Interviewer:高橋 美穂

ライヴに来てくれたら、いつでも居場所は俺らが作る


-その想いを形として楽曲にパッケージするためにも、クラウドファンディング・サイト"muevo"にて"友達何人出来るかな?FUNKISTのNEWアルバムBORDERLESSをみんなで世界に広めようプロジェクト"を行い、一環としてこの楽曲のコーラス・レコーディングを全国各地で敢行したんですね。

染谷:ひとつの音楽でみんな繋がれるっていうのを、何か明確に証明できないかなって考えたときに、年齢とか住んでいる地域とか性別とか関係なく、みんながひとつの曲で一緒に歌っているって、すっげぇボーダレスなんじゃないかって。それで、クラウドファンディングっていうフィールドを借りて、みんなに集まってもらいました。

-4歳から60代まで参加されたそうで。

染谷:そうなんです。今回、コーラス・レコーディングするときに、この曲を作った経緯とか想いとか、こういう気持ちで歌うとこういうふうに歌声が変わるんだとか、みんなに伝えたんですけど、みんな真剣に......4歳の子も先輩と言える年齢の方も聞いてくれて、歌うたびにどんどん変わっていくんですよ、気迫とか。だから、できあがった最後のサビをレコーディングで聴いたら3人とも涙腺が緩んで(笑)。これはヤバいのができた! って。

宮田:やっぱ、音っていうのは気持ちを乗せるものだと思うよね。

染谷:すごく幸せな時間だったし。

naoto:そうそう。なかなかできる環境が作れないじゃないですか。100人でコーラスやりましょうって言っても。それができたのが嬉しかったですね。

-最初に染谷さんが言っていたことと繋がりますけど、言葉がわからなくても通じますもんね、みんなでコーラスしているユニティ感って。

染谷:僕の持っているバックグラウンドって、もちろん歌には込めているけど、実はどうでもよくて。たぶん日本で暮らしていても、学校に馴染めないとか、会社でうまくいかないとか、孤独な人もいて。でも、FUNKISTっていうバンドが、そういう人たちの居場所になれたらいいなって。「BORDERLESS」の5分があったらみんなひとつにしてやるって思っているので、この曲を聴いた人にとっての応援歌になればいいなと思っているし、その人が日々の中で孤独と闘いながらだったり、誰かと歩きながらだったりの応援歌になればいいなって。そしてライヴに来てくれたら、いつでも居場所は俺らが作るっていう。

-あと、ひとつ思うのは、世界各国でライヴをしながらも、歌詞は日本語が多いじゃないですか。

染谷:単純に、俺は日本語が一番得意だからです(笑)。だから、一番伝えたい想いは日本語がフィットするっていう。言葉を届けることは大事ですけど、感情が届いたときに何か伝わるっていうのも、いろんなとこでやっていて実感する部分なので。

-そのお話とも繋がりますけど、宮田さん作曲の「YOU」は、インストなんですけど雄弁に聴こえてくるというか。

染谷:ほんとにギター1本だけだもんね。

-これだけグルーヴィでメッセージが強い楽曲が並んでいるなかで、「YOU」のようにシンプルな楽曲は埋もれてしまう危険もあったかと思うんですが、逆に光っていますよね。

宮田:ありがとうございます。もともとは去年ぐらいに作った曲で。アルバムに入れようとも思ってなかったんです。メンバーが辞めたりしたタイミングで、アコースティックのイベントとかでやる曲を作っていて、"YOU"ってタイトルですけど、いろんな人の顔が浮かんでいたんですね。応援してくれている人や、辞めていったメンバー、今のメンバー、お世話になった人たち、日本中、世界中のいろんな人の顔が浮かんで、この曲ができたっていう。"YOU"なんで、複数形でも、ひとりひとりのことでもあるような意味で。そうしたらヴォーカルが、アルバムに入れようよって。今までFUNKISTにはインストが1曲だけあったんですね。そこではフルートの春日井陽子(※2011年に病気により逝去)が役割を担っていたんですよ。僕には荷が重かったんですけど(笑)、結果的にはやることになったっていう。

染谷:"「YOU」はひとりひとりに対してなんだ"って言われて、結構突っ込んだんですよ。"ひとりひとりに対しての何なの?"って。そうしたら"思い出"って。それ、すげぇわかるなぁって、あの曲を聴いていて。それで、このアルバムにも必要だと思ったんです。今後の宮田の人生の中でも、二度と「YOU」を超える名曲は作れないと思います!

宮田:こらこらこら(苦笑)! それこそ超えさせてくれよ!

naoto:迷うって書いて迷曲になるかもね(笑)。

宮田:急にどうした!? 空気変わったぞ(笑)。

-私まで言うのも何ですけど、そう思うくらい名曲ではあります(笑)。

染谷:間違いないです(笑)。あと、今までFUNKISTの楽曲ってほぼほぼ僕が作詞作曲で、メンバーに委ねることをほとんどしてなかったんですね。今回「YOU」は宮田で、「Island Carnival」をnaotoに作曲してもらって。楽曲制作は自分がっていう想いが強くあるなかで、自分でもすげぇびっくりするくらい、自然に"naoto作ってくれない?"って頼めたなぁって思いました。アルバムを作るなかで、すげぇハッピーな曲が欲しいなぁと思っていたんですけど、自分のモード的にストイックな曲が多くなっていたから、今俺がここでハッピーな曲を作るとちょっと嘘くさくなるなぁっていう想いもあって。前だったらそれでも振り絞って作っていたんですけど、今回は"naoto作ってくれない?"って。歌詞も、"どんな歌詞がいい?"って聞いたら、島で酒を飲んでいる感じ、と。あぁ、そんな肩の力を抜いた歌詞を俺は書いてなかったなぁって。自分自身にとっても、FUNKISTにとっても大きい変化だったと思ってます。俺が作らなくてもFUNKISTになるんだなぁって。