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INTERVIEW

Japanese

こうなったのは誰のせい

2017年08月号掲載

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Member:カイト(Vo/Gt) コヤマタクヤ(Ba) ハシノヨシテル(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

音楽を始めたから今すべてがある気がします


-いいライヴ感だったり、今のバンドが詰まっている作品ですね。作品を聴いた感じだと、今ここに思いを残していくんだというくらいの気迫があります。いろんな思いを込めて書いているんだろうなというのは感じますが、曲を書くことは自分でどういう作用がありますか。

カイト:吐き出している感じしかしないです。僕は普段あまり喋らないタイプで、今までの人生で人に怒ったことがないんです。ムカついたら曲の中で、歌詞の中で怒っていたりしていて。そういう自分の内側の部分が全部、歌詞になって出ていっているんです。

-そういう歌詞を自分で歌うのは、つらいことはないですか。

カイト:ありますね、いろいろと思い出すこともあって。例えば、「ハイリ」という曲は学生時代のころの話なんですけど、冒頭の"名前を呼んだら無視された"というのも、そのころの記憶とか気持ちを歌うことで、思い出されてつらいというか。ただ、ライヴ自体は楽しいんです。だから、不思議な感情になりますね(笑)。

-今は、そういう思いを込めた音楽を聴いてくれる、アルバムを聴いてくれる人がいるという、リスナーがいる感覚は出てきましたか。

カイト:僕は結構、弾き語りのライヴもしているんですけど、特にいつやると告知せずに突発的にやっているんです。でも絶対、ひとりは聴いてくれる人がいて。そういうのが、すごく嬉しいのと不思議な気持ちがあって、ずっと感じているんです。それが「拝啓」という曲にもなって。今までは、自分たちがやっているだけというか、自己満足というか。ライヴを観てくれる人たちも、友達の延長だったり、対バンしてくれる人だったりが多くて。でも、リリースの発表をしたら、知らない人たちが反応してくれたり、好きと言ってくれている人たちから"絶対に予約する"っていう言葉をもらって。単純に、もっと頑張って、そういう人たちにいろいろ返せたらいいなと思いました。

-音楽を通じてコミュニケーションができた感覚ですね。あまり喋るタイプでないということでしたが、今のような音楽を始めて、何か自分の心の持ちようで変わったことってあります?

カイト:変わったかな(笑)? でも、今みたいな音楽に出会って始めていなかったら、僕は引きこもりになっていたと思うし、音楽も聴かずに終わっていたと思うんです。そう思うと、音楽を始めたから今のすべてがある気がします。音楽を始めた瞬間から変わっているのかなって。

-そのくらい一度は、人間関係で絶望感というか、もういいやって気持ちになっちゃったんですね。

カイト:はい、もう全部やめました(笑)。高校のときに3ピースのバンドを組んで、やっと初ライヴが決まって。ライヴ前の最後のスタジオ終わりに、ドラムが音信不通になったんです。どうしようかって話をベースとしていたら、ベースもいなくなって。決まっているライヴももちろん、出られなくなってしまったんです。そのタイミングで学校も辞めていたんですけど、学校でもいろいろあって。それが重なって、何やってんだろうというか。すべて意味を失ったというか。それでバイトも辞めて、連絡先も1回すべて消して、引きこもりみたいな感じになっていたんです。その間は、ほとんど音楽は聴いてなかったんですけど、そんなときにそれせかをたまたま聴いて。

-すごい衝撃があったんでしょうね。自分のことを歌っているというか。

カイト:そうです。まずそのときは、こういう音楽があることも知らなかったので。そこからまた始まった感じでした。それで今、それせかの篠塚さんにプロデュースしてもらって音楽をやっているというのが、僕にとってはすごいことなんですよね(笑)。

-でも、自分が動かなかったらこうはなってないですからね。アルバムのブックレットに、ここに至った理由が自分の言葉で綴られていますよね。この文章はなぜ書こうと思ったんですか。

カイト:最初は、スペシャル・サンクスとしていろんな人の名前を書こうと思ったんです。でも、書かれた人は喜ぶかもしれないですけど、書かれなかった人はショックを受けるのかなと思って。ただ何もないのは寂しいなと思ったので、手紙というか、曲じゃない何かを残そうと思って書いていたら、こうなった感じです。

-今回のタイトルは"さよならノスタルジア"ですが、この作品でひと区切りつけたいという思いもあるんですか。

カイト:そうです。これはバンドとしてのことなんですけど、ここから始まりたいと思って。メンバー的にも、新メンバーでの初めてのちゃんとしたリリース作品で。音楽的にも、プロデューサーがいてサウンドの厚みが増して。違うバンドというか、進化をしたアルバムなんです。そういう意味でも、今までももちろんあったんですけど、イチから始めていきたいなと思って、こういうタイトルになりました。今まではメンバーの脱退が多くて、流れに乗るというか、いい感じになってきても止まってしまうことがあったので。これで方向性を固めて、まっすぐに進めたらいいなと思ってます。