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INTERVIEW

Japanese

BiSH

2017年06月号掲載

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Member:アイナ・ジ・エンド モモコグミカンパニー セントチヒロ・チッチ ハシヤスメ・アツコ リンリン アユニ・D

Interviewer:沖 さやこ

この6人は、ばらばらであってもひとつでありたい


-BiSをもう一度始めると言って始まったBiSHは、BiSと同じ道を辿りながらBiSとは違う方向性でどんどんグループが大きくなっていって、いまこのタイミングでそれを超えるぞと闘志を剥き出しにしているということですね。"孤独が運命なんて言葉虚しい"と書けたのは、この6人だからというのもあるのでは?

モモコ:そうかもしれない(照れ笑い)。この6人は、ばらばらであってもひとつでありたいなと思う。もともとのBiSは解散したあと、本当に散り散りになっているイメージが私にはあるんです。"孤独が運命"という言葉どおりになっちゃってるから......それは嫌だなって。

-なるほど。「Marionette」(Track.2)もモモコさんが作詞をなさっていますが。

アイナ:これはメンバー全員書いて、全員不採用で。それで全員もう1回書いたんですけど、それも全員不採用で、結局モモコが最初に書いたものになりました(笑)。

モモコ:結局ね(笑)。この曲を最初に聴いたときに"ヴィジュアル系っぽいな"と思ったから、かっこいい言葉を並べようと思って、"鏡に映った自分がぼやけて見えない"みたいな、超ヴィジュアル系な歌詞を意識してみました。自分を出せない女の子が主人公のイメージですね。ヴィジュアル系の人と一緒に何かをする機会も多いので、客観的に"BiSHにこういう曲があったら面白いんじゃないかな、かっこいいだろうな"と思って書いたというか。

-では、この主人公はモモコさんではないと。

モモコ:私は真逆ってくらい違う(笑)。アイドルの子たちは自分を出せずにきれいなものを演じているというイメージがすごくあって、それは苦しいんじゃないかな......と思って。本当の自分を押し殺して、期待に応えようと演じてしまう女の子はガラス張りの部屋に閉じ込められている操り人形みたい、そんな鏡に映る自分を見て、"本当の私はこんなんじゃないのに!"と思っている女の子の歌というか。"お人形"という言葉を使ったのはアユニがお人形みたいでかわいいなといつも思っているから......あ、別にアユニの心がお人形さんなわけではなくて(笑)。アユニは自分をちゃんと持ってる子だから。

アユニ:でも、加入した当初は自分がなかった(笑)。

-というよりは、どうしていいかわからなかったという感じですよね。

アユニ:あ......そうです。少しずつ自分で考えていけるようにはなって。

-落ちサビのアユニさんの歌声、格段に成長していたので驚きました。

アユニ:ありがとうございます。松隈さんから"「Marionette」の落ちサビはアユニにしか歌わせないから"と言ってくれて。そんなふうに言ってもらったことが初めてだったので......。嬉しかったです。だから頑張りました!

-1曲に対して全員が歌詞を書くのも面白いですよね。"こんな表現があるんだ"とか、"この子はこういうテーマで書くんだ"とか。

アイナ:昔は"この曲にこんなテーマの歌詞を書いて"と言われていたんですけど、最近はテーマを与えられてないんですよ。私は「Marionette」で"どんな薬も効かないおじいちゃん"とか、そりゃあ採用されないわって感じの歌詞を書きました(笑)。リンリンは「Marionette」にどんな歌詞書いた?

リンリン:なんだっけ......。あ、"母さん母さん母さん母さん母さん母さんごめんて"とか(笑)。

一同:あははは!

モモコ:"ごめんて"って、もうそこで話を終わらせようとしてる(笑)。

-ははは。「社会のルール」(Track.4)はハシヤスメさん作詞で、キャラクターがよく出ているなと思いました。かわいらしい曲調ともよく合います。

アツコ:ピコピコした曲ですよね。実は『KiLLER BiSH』(2016年リリースのメジャー1stアルバム)に入る予定だった曲で、歌詞も1年前に書いたものなんです。......見た感じ普通に仕事もできて真面目そうな人も、実際に蓋を開けてみたら"あれ、意外と不倫とかしてる?"とか"四股(よんまた)かけてるんだ!"というパターンがあるじゃないですか。いまの時代はそういうことは隠していても、SNSや目撃情報ですぐバレちゃったりすることが多い。それは悪いことのようでもあって、いいこととしても捉えられる部分はあって――このご時世だからそれを売名行為に使えたりとか。

アイナ:......着眼点のクセがすごい!

モモコ:アッちゃんはそういう発想から歌詞を書いてるんだけど、できあがってきたものは、周りから見るとアッちゃんのポジティヴさがそのまま出てる歌詞なんですよね(笑)。

-私もそう思っていました。"つまらない人間にはなりたくはない"はみなさんがBiSHに加入した理由なのかと思ったし。

アツコ:たしかに、そういうふうにも取れますよね。でも全然そういう感じじゃなくて、1年くらい前に話題になってTVに出ていたAさんとBさんを見ていて思ったことを書いたというか。少しは私の成分も入ってるかもしれないけど。

チッチ:"寝たら明日には忘れる"とかアッちゃんじゃない?

アツコ:あ、不機嫌でも寝て起きたらどうでもよくなるから、それは私のことかも。寝て起きたら覚えてた振り付けを忘れることもしょっちゅうあるので(笑)。

一同:あはは!

アツコ:真面目そうな人ほどそういうことがあるんだ~、やっぱり人間なんだなぁ、という感じの歌詞です。だからリアルハシヤスメソングじゃないんです(笑)。

-「社会のルール」の歌詞は"リアルハシヤスメ"ではないけれど、リンリンさんが作詞をした「VOMiT SONG」(Track.5)はリアルリンリンなんですよね?

リンリン:そうです。......日によって街の匂いは違うんですけど、街に出たときとかに、小学校1年生で初めて教室に入ったときの匂いをたまに思い出すんですよ。元気がないときとかにそういうものを感じると、"うっ"と苦しくなって......。全部が嫌になって、実家に帰りたくなったんです。

-何か嫌なことでも......?

リンリン:何があったとかではなく、なんか、なんか全部が嫌になって。人間が嫌になって、犬に会いたくてしょうがなくなって、実家に帰りたくなって――無理矢理帰った、その新幹線の中で書きました。

-実家に帰って回復しました?

リンリン:ちょっとだけ......。実家に帰ると、動物園か学校の校舎を見たくなるんです。小学校のとき嫌なことも特になく普通に6年間が流れていって平和だったんですよ。だから自分にとっての優しいものは学校と動物園と犬で。そういうものに会いたいけど、東京にいるから会えない。"息を吸いすぎ懲らしめても/すぐため息で消えてく"は嫌なことがあるとよくここ(喉や胸元)が痛くなるまで息を吸うんですけど、それがすぐため息になる......っていう。吐く気はないけど、もやもやして。それで。

-それで"VOMiT(=吐く)"という言葉を使ったということですね。

リンリン:私生活の友達との時間を増やして、頑張って自分の嫌な気分を良くしようとして。だから、メンバーに対していい気分を持っているときに書いたものではないです(笑)。ケンカはしてないし平和な空気が流れているけど、毎日一緒にいることに飽きちゃって......。だから"飽きた 友達をかえてみてみてほら"って。

アイナ:(笑)リンリンはいつもリアルリンリンを歌詞にするんですよ。歌詞からいまのリンリンの心情を考えたりします。だからリンリンの詞は面白いし、売れたくて書いてる感じがしないから、媚びてなくてかっこいい。