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INTERVIEW

Japanese

九十九

2017年05月号掲載

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Member:まめ子(Vo/Gt) 牧 孝奎(Gt) 酒井 健太郎(Ba) 野村 卓馬(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

"GIRL MEETS BOY"というアルバム・タイトルのとおり、ひとりの女子が男子と出会ったことからこのバンドは始まった。"ZIP-FM GEMSTONE PROJECT SEASON2"のグランプリに輝いた、愛知県岡崎市発の紅一点ヴォーカル擁する4ピース・バンド、九十九(読み:つくも)が初の全国流通盤をリリースする。メンバー平均年齢20歳のときに発表された「電光石火」が"女版9mm Parabellum Bullet"として話題を集めた彼女たち。そこから3年の時間を経て、個々が持つエゴを掲げ、とうとう全国へ向けて名乗りを上げる。

-牧さんと酒井さんと野村さんがもともと組んでいたバンドが解散するというタイミングで、牧さんと酒井さんのおふたりでまた一緒に新しいバンドをやろうと思ったことが結成のきっかけだったそうですね。

酒井:それでまめ子に声を掛けました。彼女とは僕らの地元のライヴハウス、岡崎CAM HALLで知り合って。そのときのまめ子は別のバンドで、リード・ギター担当でたまにヴォーカルもやっていたんです。ライヴを観て"すげぇいいな、こいつ"と思った。"次にバンドをやるなら彼女と一緒にやりたい"と直感で思うくらい、すごく魅力的だったんですよね。牧の作る曲をまめ子が歌ったらすごいことになる! と思ったんです。

牧:健太郎からまめ子の存在を聞いて、まめ子のTwitterを見てみたらいい感じのエフェクター・ボードの写真が載っていて。その情報だけで"いいんじゃない?"と(笑)。

酒井:それも俺の思惑どおり(笑)、牧はギター小僧だから。それで、まめ子に声を掛けたんですけど――

まめ子:半年くらい断り続けました(笑)。彼らはもともと地元の先輩バンドマンで、私は彼らのやっていたバンドのライヴにファンとして観に行っていたくらいなんです。だから最初は冗談だと思ったし、何度も誘われたけど私には荷が重すぎるからやんわり断り続けて......。

酒井:心がだいぶ折れかけてました(笑)。

まめ子:でもそのバンドの解散ライヴで、牧と健太郎からとてもポジティヴなエネルギーを感じられて、"あ、このふたりはこの先もバンドをやめないな。この人たちに引っ張られたら何かできる気がする"と思ったんです。ふたりの佇まいに惹かれるものがあった。

-その結果、2014年3月に結成。もともと牧さんと酒井さんと一緒にバンドをやっていた野村さんが、4月に九十九に加入した経緯は?

野村:九十九の前のドラムが脱退したときに、健太郎から"また一緒にやらないか?"と言われて。九十九はすごくかっこいいバンドだったし、このふたり(牧と酒井)は幼馴染みだったし、このバンドにバンド人生をかけてみたいなと思って入ることに決めました。

酒井:卓馬と俺は、中学生のときに"音楽で夢を見たいよね"と一緒に楽器を始めたんですよね。だから、僕の中では候補が卓馬しかいなかった。牧の作る曲、まめ子の歌に、卓馬のドラムが入ったら、さらにすごくいいバンドになるという、根拠のない確信や自信があって、"もう1回夢を見てみない?"と誘って。

牧:俺も、前のバンドが解散するときに健太郎が"一緒にバンドをやろう"と言ってなかったら、バンドはやってなかったですね。だから健太郎がいなかったら九十九はなかったし、俺もバンドを続けてなかったと思う。

酒井:俺にバンドをやめるという選択肢がなくて。やめるなら"やりきった!"と思えるくらいの達成感がないとなと思うんですよね。一緒にやりたいメンバーが揃って、すごく嬉しいんです。

-そして今回、現在のメンバーで初の全国流通盤『GIRL MEETS BOY』のリリースに至ったというわけですね。バンドの代表曲でもある「電光石火」(Track.1)を筆頭に、破壊力のあるサウンドと日本歌謡的なメロディが九十九の音楽の特徴であると思います。

まめ子:"どんなジャンルをやっているの?"と言われると、なかなかひと言では言い表せられない音楽――唯一無二のジャンルを作り上げられているんじゃないかなと思います。みんな好きな音楽がバラバラで、それを無理矢理合わせてる感じというか(笑)。でも、全員が全員の好きなものへの理解があるから、"こうした方がいいんだろうな"と歩み寄ってすり合わせていったものを、今回『GIRL MEETS BOY』というひとつの作品にできました。これからもっと研ぎ澄ましたものにして、世に広めていきたいですね。

牧:俺が曲の骨組みを作ったあとにみんなで肉づけをして、それにまめ子が詞を書いていて。僕はジャンル問わず日本のバンドが好きで、音楽を聴くようになったきっかけがORANGE RANGEで。ORANGE RANGEもいろんなジャンルを取り入れていて、ひとつにとらわれていない、ミクスチャーな音楽をやっていると思う。正統派からへんてこなものまで好きなので、そういう影響はあるかも。とりあえずかっこいい曲をやろうぜ、というノリですね(笑)。『GIRL MEETS BOY』はライヴ映えする曲が多いかなって。

まめ子:『GIRL MEETS BOY』は歌詞の面だと、バンドマンとして葛藤している目線の曲と、女性としての目線の曲のふたつがいいバランスで入っているかなって。二面性が出せたかなと思います。オケを持ってきてもらったとき、自分が一番強く思っていること、頭を悩ませていること、惹かれていることを"うわー!"って感情的に書いているので、こうやって改めて見てみると情緒不安定な感じもするけど(笑)、いろんな想いが書かれているぶん、いろんな人のお気に入りになるんじゃないかなと思います。

-「電光石火」はYouTubeにアップされていた視聴用音源とアレンジはほぼ変わらないながら、パワーアップしたものになったのでは。

牧:あの視聴用音源のときは、"これしかできません"って感じだったし。でも、3年前よりもギタリストとして絶対に進化してると思うし、そういうものがちゃんと伝わったならよかったです。

酒井:この曲のデモは九十九を結成する前、僕ら(男性メンバー陣)が組んでいたバンドのときからあったんですよね。だから曲自体は、5年くらい前にはすでにあって。

牧:そのとき持っていったら"やりたくない"、"やれねぇよ"、"テンポ速くない?"と即ボツにされた(笑)。それで九十九をやることになって、じゃあとりあえず俺のところにあるデモを持っていくよと掘り出してきたうちの1曲が「電光石火」なんですよね。だからこの曲は自分たちの代表曲だ! と意気込んで作ったわけでもなくて。

野村:あの視聴用音源を聴いて"九十九かっこいいな"と思っていたので、実際自分がレコーディングに参加するとなると緊張しましたね(笑)。

酒井:......あの当時はかなりボロクソに"やりたくない"とか言ってたのに(笑)!

野村:バンドでやるとこんなに良くなるんだな~って(笑)。

-ははは。九十九は歌謡的な歌心もありながら、サウンド的には嵐が吹き荒れているようでもあって。1曲を通して緩急もあります。

まめ子:うちの場合は"音数を減らして"と言っても無駄だし(笑)、だったら、私が音に負けないくらい歌えるようになればいいじゃん、と思ってますね。もともとPARAMOREみたいに力強い女性ヴォーカルが大好きなので。うるさいギターを"うるせぇ!"と怒鳴り散らせるくらいの歌というか(笑)。

牧:個人個人が"これは最高の音だ"と思えるものを作るようにしていますね。本当にどうしても邪魔になる場合は泣く泣く変えるという感じなので、全員のエゴが詰まっている。でもみんな超えちゃいけないラインみたいなものはなんとなくわかっているので、それが九十九の面白いバランスになっていると思います。どんなに速い曲でも一度はテンポを落としたいし、ドラマ性や緩急は意識していて。

野村:"そんなにみんな、ドラムの音聴いてないよ"と言われたりもするんですけど(笑)、自分の持っているもののベストを持っていくようにしてますね。