Japanese
9mm Parabellum Bullet
2017年05月号掲載
Member:菅原 卓郎(Vo/Gt)
Interviewer:石角 友香
-で、実際に「火の鳥」(Track.6)って曲もあるし。
そうですね。どっかで聞いたことのあるタイトルをどんどん使おうと思って。だから「ロング・グッドバイ」(Track.1)は、自分が好きな小説で......。
-レイモンド・チャンドラーの。
チャンドラーの著書を村上春樹が翻訳してるんですけど、そのまんまのタイトルだったりとか。あと「火の鳥」もそうだし、「眠り姫」(Track.5)はおとぎ話にあるし。「ガラスの街のアリス」(Track.4)は"「不思議の国のアリス」にそんな話あったっけ?"っていう感じで(笑)。
-"BABEL"っていうアルバム・タイトルや、曲の「バベルのこどもたち」のイメージは旧約聖書の"バベルの塔"に由来しているんですか?
そうですね。"BABEL"は"バベルのこどもたち"から取りました。このアルバムをひと言で表すのに、曲の中にない別のタイトルでもいいかと一度は考えるんですけど、なんか"バベル"っていうのがすごくうまく表してる気がして。で、レビューに書いてもらったみたいに、"バベル"は負の金字塔だっていうことで(笑)。
-でも、現状を表している感じもしますね。
"バベル"ってタイトルの作品は、映画でも音楽でも絵でも世界中に山ほどあるじゃないですか? そんななかで、自分たちだったらこうだっていうのが、曲とタイトルが同じ小説や映画があるのと同じことで、よく知られてる言葉だからこそ広がるイメージというか、イマジネーションが強化されるところがあると思うんですよね。だから「バベルのこどもたち」の歌詞自体は、決して"バベルの塔"の話を書いてるわけではないんですけど(笑)、"バベル"のもともとのエピソードになぞらえて、いろんなことを感じられるようにしました。"現代のバベルなのかな"とか、それとも"架空の未来のことなのかな"とか、いろんなふうに聴いた人の想像力を刺激できるんじゃないかなと思ってつけたんです。
-たしかに小説や映画でも"バベル"ってメタファーとして使われているし、それだけ普遍的な言葉として、受け取り手に対して強度のある単語ですね。
聖書に載ってるぐらいなんで、世界中どこでも通じる物語の原型なんだと思うんですよね。日本人に身近な話でいうと"鶴の恩返し"のように、開けたら罰せられちゃう、やっちゃダメだっていうことをやってしまうみたいな。ただ、あんまりはっきり、自分たちがハードな状況にいて、それに逆らって作ったんだってことを表しているわけでもないんです。けど、このアルバムを作るってこと自体はかなりチャレンジな一面はあったんで、そこに挑んでるのも"バベル"だったのかなとは、作ってから思いましたけどね。
-物語だからイメージでしかないんですけど......「ロング・グッドバイ」もバンドが長いお別れをするわけじゃないけど、旅立つ感じがして。それが「Story of Glory」(Track.2)に繋がっていく流れのなかで、過去の奇跡を思い出して終われないっていう歌詞に、バンドの意志を透かせて見てしまうんですよ。
でも、そういうふうに繋がったらいいなってのは、歌詞でも曲でも狙いだったので。それはすごく嬉しい反応ですね。
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