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INTERVIEW

Japanese

片平里菜

2017年03月号掲載

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-普段は、いろんなものを聴いてインプットするよりも、まずは余計なものをシャット・アウトしていくことの方が多いですか。

そういうふうになっちゃっているんです。いろいろ聴きたいんですけどね。まず、自分がフラットになったり、自分の中にちゃんと静寂がないと、楽しんで聴けないから。まずは、そこからっていう。インプットしたくないのに、いろんなものが入ってくるから。それを捨てる作業、シンプルになる作業っていうのが、大事なんですよね。いろいろやってみますね。瞑想とかするのがいいんでしょうけど、なかなか。

-集中するのもなかなか難しいですね。日常的な音もイヤになってしまう感じですか?

地元にいたときはそういうのはなかったんです。生活音は大丈夫なんですけど、人工の音って私にとってはヒーリング効果があまりないから。自然の方に行って、風や川の音だったり、鳥の声とか、そういう音が一番癒しになるんですけどね。

-作るときもまずは、そのシンプルになる作業が大事ですかね。

作るときも、まずは雑念というと変だけど、そういうものがあるとピュアなものが作れないと思うので。「なまえ」もそうでしたし。でも「ラブソング」に至っては、そのワーッとなったまま書いてるみたいな感じですけど(笑)。

-そうですね(笑)。タイトルが「ラブソング」だからきっとみなさんどんな曲かなと想像すると思うんですが、軽やかに裏切っていく曲なので(笑)。実際に、聴いてもらえるのが楽しみですね。

「なまえ」を聴いたあとで、しかもこの曲がガーッとなるのはみんなびっくりすると思います。ツアーのメンバーで作った曲なので、今回のホール・ツアーでもできると思います。ライヴで聴いてもらえるのが楽しみな曲ですね。


"歌を歌う"人間として、正直な曲をいっぱい書きたい


-そしてもう1曲が「とり」(Track.3)。すごくシンプルな、アコギ曲です。

これはそのまんまフォークです(笑)。"自由"については、今までもいっぱい歌ってきたんですけど。わかりやすく、飛ぶ、飛べないということを歌にしていて。羽があろうがなかろうが、カゴの鍵が開いていようがいまいが、強さや勇気があれば、どんな状況でも人は自由になれるし。......ちょっと弱っているというか、臆病になっていたときの曲かもしれない(笑)。臆病者の歌です。

-モード的にも新たな曲が収録されたり、「とり」でも一歩踏み出していくことが歌われてますが、今年はここからスピードを上げていこうというのもありますか。

そうですね。作品も出したいけど、同時進行で生の音というか、ライヴでのパフォーマンスをしっかり磨きたいなという1年ですね。制作についても、「なまえ」という曲もそうだけど、あまり格好つけた曲は歌わなくていいかなと思っていて。もっと曝け出して。"歌を歌う"人間として、人に伝えるには、格好つけることはすごく邪魔なのかなって思っているので。正直な曲を、このあともいっぱい書きたいなと思っています。

-デビュー当時からそれはあると思うけれど、それがより強くなったのはなぜなんでしょう。

それまで、洋楽への憧れが占めていて。でも、あるときからそれじゃやっぱり自分じゃないし、イヤだなと思い始めて。今は、「なまえ」みたいな、ちょっと懐かしいメロディに惹かれますね。日本人らしさとか、アジア人らしさとかをこれからどんどん掘っていって、何かを着せられるんじゃなく、ちゃんと"自分らしく"なりたいというか。日本だって捨てたものではないし、素晴らしい文化がいっぱいあって。そういうトラディショナルな部分も、これからもっと吸収したり、いろんなところに行って実際に見て。もっと、自分になれるんじゃないかなと思っているんです。

-ディープに自分を掘っていくことにもなりそうですね。

そうですね、いろんなことへの憧れがなくなっちゃって(笑)。それで、自分のルーツとか、どこから来ているのかっていうところまでいっちゃってます。昨年も、ライヴで韓国やベトナムに行ったり、プライベートの旅でもインドに行ったりとか、結構東南アジアの方に行っているんですけど。日本人が失ったものというのが、まだ西の方にはあるんですよね。すごくエネルギッシュで。これからどんどん変わっていってしまうとも思うんですけど、そういうのを滑り込みでちゃんとこの目で見たいなって思っているんです。