Japanese
片平里菜
2017年03月号掲載
-アレンジもまた美しく、曲の情感を描くものとなりました。今回、皆川真人さん(※秦 基博やCharaなどを手掛けている)がアレンジ担当をしていますが、どんなやりとりで進めていったんでしょう。
皆川さんには、初めてやってもらったんです。本当に素晴らしいアレンジャーさんで、皆川さんがやる曲は全部良くなるのはわかっていたんですけど、ただその魔法に頼りたくないなっていうのも、ずっとあったんです。でも今回は、歌としての強さがある曲でもあったので、初めて皆川さんにお願いしました。
-細部にまでこだわられたアレンジで、特にストリングスは全編に敷いてあるわけではないんですが、いいアクセントとして効いていますね。
最近は、ストリングス、生の弦楽器をあまり使っていなかったんですよね。最初の「夏の夜」と「女の子は泣かない」(2014年リリースの2ndシングル表題曲)くらいで。これも先ほどの話と同じような感じなんですが、形だけの曲だとしてもストリングスが入ることで良く聴こえてしまうというか。それを自分の曲で使いたくないなって思っていて。もともとは弦の音はすごく好きな音なんです。人間の声以上に、美しい音だと思っているし、それに勝てる自信もあまりなかったので。今回も挑戦してみたいけど、でもやっぱり不安だったときに皆川さんが、"でも、声に勝てる楽器はないから大丈夫"と言ってくれたのが、救いでした。
-とても物語的で美しいサウンドだと思いますよ。
そうなんですよね。今回はアコースティック・ギターを入れてないので。制限されずにアレンジをしてもらえたこともよかったですね。この曲をアコースティックでアレンジしたり、アコースティックのままだったら、完全にフォークなんですよ。メロディも、言葉も。フォークっていうと、昔は"四畳半フォーク"って呼ばれていたくらい、こぢんまりとした世界観のイメージが私はあって。そこから抜け出したいとか、もっと広がる曲にしたいなという意志はありました。
-歌詞の内容に合わせて、リコーダーも入っていたりと細かな遊び心もあって。一見、切なく悲しみも含んだ曲だけれども、サウンドが明るく照らす曲になっているなと思いました。この曲を皆川さんにお願いしたのは、何かきっかけがあったんですか。
実はライヴではご一緒していたんです。以前、亀田誠治さんの"亀の恩返し"というイベントで、鍵盤を弾いてもらったりしていたんです。あとは一方的に、秦さんでやっていたりすることも知っていたので。なんか完全にタイミングですね、一緒にやりたいなと思って。
-自分と向き合ったり、比較されるのが嫌になってしまったりということは、少しずつでも折り合いというか、何かの形で解消はできているんですか。
ちょっとずつですけど、ね(笑)。
-曲が完成することで、ひとつひとつ自信になったりも?
曲を作ったり歌っている時間は、やっぱり唯一無二になれるので。
-アレンジは共同での作業にもなりますけど、シンガー・ソングライターとして生み出す作業はひとりのものだから、きっとすごい闘いをしているんだろうなと思います。カップリング曲の「ラブソング」(Track.2)は、片平さんならではというか。タイトルに反して、まっすぐなラヴ・ソングにはならない──というよりは、ラヴ・ソングを斜めに見て書いてる曲ですね(笑)。
これも東京来てから芽生えた感情で。自分の過ごしている場所や、歌詞にある電車の中は、すごく静かなんですけど。でもなんだか、頭の中はずっと騒がしくって。見なくてもいい情報がいつも垂れ流しにされていて、聞きたくない音がどっかでいつも流れていて、という状況で。そういうノイジーな音をかき消すような、ハードコアだったり、ロックとかパンクとかに、だんだんと居心地の良さを覚えたりもしていたんです。純粋に音楽を聴こうにも、まずいろいろ情報がありすぎてちゃんと聴けないというか。その感じがすごくあるんですよね。それを、壊したいとか。
-"ラブソングばかり独り歩きした/くたばれって吐き捨てて歩いた"って、なかなかに強いフレーズですしね。
そういう衝動的な気持ちって、大事だなって思いますね。ラヴ・ソングは世の中にもいっぱいあって、私の曲にもありますけど。でも形だけのものがあまりに多すぎて、それをラヴ・ソングとして聴けなかったりするとか。すごく乱用されているというか、ラヴ・ソングでお金を稼いでいるっていう乱用の仕方が、気持ち悪かったりして聴けないんです。
-サウンドはパワフルなバンド・サウンドですが、アレンジはどのように?
これは3月からのホール・ツアーのメンバーでやってます。伊澤一葉さん(Key)、戸高賢史さん(Gt)と須藤 優さん(Ba)、玉田豊夢さん(Dr)と一緒にスタジオに入って、何も決め込まずに、みんなで音を探りながらやっていくという初めてのパターンでのレコーディングでしたね。
-いいライヴ感が出てますね。リアルタイムで作っていくような感覚も、ヒリヒリ感も出ている。
やっぱり、アレンジャーさんの頭の中は覗けないから。こうやってひとつひとつの音が、"これがいい"とかを自分で体感しながらできる、アレンジの過程を知ってるのもいいなと思いますね。
LIVE INFO
- 2024.12.01
- 2024.12.02
- 2024.12.03
- 2024.12.04
- 2024.12.05
- 2024.12.06
- 2024.12.07
- 2024.12.08
- 2024.12.09
RELEASE INFO
- 2024.12.04
- 2024.12.25
- 2025.01.08
- 2025.01.22
- 2025.03.28
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ASP
Skream! 2024年09月号