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INTERVIEW

Japanese

イトデンワ

2017年02月号掲載

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Member:NatsuMi(Pf/Vo)

Interviewer:秦 理絵

美しいピアノの旋律に乗せて、日常の中に転がっているハッとするような真実を凛とした歌声で紡ぐピアノ・ロック・バンド、イトデンワ。元the pillowsの上田健司をプロデューサーに迎えて、2月22日にリリースする初の全国流通ミニ・アルバム『白線を辿る』は、ロック・バンドとしての秘めた熱さを内包するイトデンワの空気感を大切にしながら、ライヴのような緊張感の中でレコーディングに臨んだという。全曲のソングライティングを手掛けたヴォーカル NatsuMiの瑞々しい感性によって命を吹き込まれた楽曲は、拭いようのない闇を湛えながら聴き手に優しく寄り添う。現在、音楽大学の3年生。新たな才能の原石に触れてほしい。

-半年間ほど活動休止してましたけど、いよいよ復活ですね。(※2016年7月末に無期限活動休止を発表し、1月20日に復活ライヴを開催した)

去年の5月ぐらいからちょっと体調が悪くなってしまいまして......。メンバーの方から"この状況で続けるのは無理じゃないか"って言われて、休むことにしたんです。その前にシングル(2016年7月リリースの1stシングル『retrospect』)を会場限定で出すことが決まってたので、そのリリース日の7月31日まではやったんですけど、そこから活動休止をしました。

-お休みしてる期間は何をしてたんですか?

最初の2ヶ月間はバンドを離れて、私は完全に休養をいただいてました。他のメンバーはサポートをやったりしてましたね。でも10月ごろに"またCDを作ろうか"みたいに話していて、今回のミニ・アルバムに向けて曲作りを始めました。

-しばらくお休みしてからバンドを再出発することで変化はありましたか?

活動休止の前にメンバー間で揉めごともあったりして、ちょっと限界を感じてたりもしたんです。それもいまは解決できたので。一度休止して良かったなと思いますね。音楽性に関しては、特に大きく変わってない......と思いますけど。

-イトデンワの曲を聴くと、まずピアノの繊細なフレーズが素敵だなと思うんですけど。NatsuMiさんは6歳からピアノを始めたそうですね。

私は全然覚えてないんですけど、自分から"やりたい"って言い出したみたいなんです。でも、小学生のときには挫折しちゃって、"やめたい"って言ってたんですよ。(弾いていた)曲がクラシックだったっていうのと、練習が嫌で。楽譜をスラスラ読めるようになるにも時間がかかったから、そのころは泣きながら練習したりしましたね。

-でもやめなかったんですね。

習い事としては高校2年生ぐらいまで続けたんです。楽譜が読めるようになってからは楽しくなってきたんですよ。

-高校生ぐらいになると、合唱コンクールでピアノを弾いたり?

あ、そうですね。やってましたね。

-ずっとピアノを続けたいなと思うようになったきっかけはあったんですか?

ピアノの音が好きなんですよね、すごく素直だなと感じていて。ちゃんと弾ける楽器がピアノしかないので、それを武器にして、というか。

-ピアノの音を"素直"って表現するのは素敵ですね。文学的というか。

本当ですか、恥ずかしくなってきた(笑)。

-高校1年生のときにシンガー・ソングライターとして活動を始めたそうですね。

高校に入るまではクラシック・バレエもやってたんですけど、本当はそのころそっち(バレエ)を頑張りたいなと思ってたんです。バレリーナとかバレエの先生を目指してたんですけど、あんまり向いてなくて(笑)。中学2年生ぐらいのときに、友達と行ったカラオケで"歌いいじゃん"って褒めてもらったんです。で、急にそっちに行きたくなっちゃって、中学3年生でバレエをやめてヴォイス・トレーニングに通い始めたんです。

-こうと決めたらやるっていう行動力がありますね。

たしかに、言われてみるとそうですね(笑)。

-カラオケで歌った曲は何でしたか?

いきものがかりの「茜色の約束」(2007年リリースの7thシングル表題曲)でしたね。

-ちょっと意外かも。あの元気はつらつな感じと、イトデンワでの歌唱は違うから。

全然違いますね。最近はあんまり聴けてなかったんですけど、中学生、高校生ぐらいのときは出るアルバムを全部聴いて、ムキになって歌えるようにしてました。

-それにしても、その友達のひと言はかなり影響力があったんですね。

そうなんです。だから、私の名前の"NatsuMi"の大文字にしてるMは、そのときの友達の名前から取ってるんです。

-シンガー・ソングライターとして歌い始めたときはオリジナル曲だったんですか?

最初のころはRADWIMPSとかYUIちゃんのカバーとオリジナル曲を混ぜてライヴハウスで歌ってました。そのころのオリジナル曲はいまとはタイプが違ってすごいポップだったから、メンバーとか友達に聴かせたらびっくりされますね。

-で、大学は音楽大学を選んだわけですけど、専攻は?

シンガー・ソングライター専攻です。

-高校の終わりごろには、大学で本格的に音楽を勉強したいと考えてたんですか?

というよりも、その高校の付属大学もあったんですけど、そこに行きたくないっていうのが強くて(笑)。音楽をやってる人が周りにいなかったから、そういう活動をしてるだけで憎まれたりもしたので。もうそこにいたくはないなって......。普通にクラシックのピアノで(音楽大学に)行くっていうことも頭にはあったんですけど、やっぱりやりたいことと違うなって引っ掛かってたんです。それで見つけたのが洗足学園なんです。夏ぐらいに見つけて、受験を決めてすぐに受けに行きました。

-ところが、大学に入ったらバンドを組むことになって。

それも予想外でしたね。ひとりでやっていく気満々みたいな感じだったから。きっかけは、1年生のときにある授業でコンサートに出る順番を決めるために弾き語りをしたんですよ。そしたら、ヒロクサマ(Ba)がTwitterで"僕にベースを弾かせてください"っていうDMをくれたんです。ちょっと話したぐらいで全然親しくもなかったんですけど、私のソロのバック・バンドでもいいし、一緒にバンドを組んでもどっちでもいいよ、みたいに言われて。それで私もバンドを組んでもいいかなと思ったんです。

-もともとRADWIMPSとかバンドも好きなんですもんね。

そうなんです。で、クサマがドラムのゆーやを紹介してくれて。3人とも仲の良いギターの友達がいないから、ギターなしでやろうっていう軽い感じでした。そのときはふたりとも別のバンドをやってたんですけど、いまはそのバンドをやめたし、私もソロ活動をやめて。みんな良い感じにイトデンワに集まってきましたね。