Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

THE TURQUOISE

2016年12月号掲載

いいね!

Member:直江 慶(Vo/Gt) 小川 博永(Ba) 河野 瞬(Dr)

Interviewer:山口 智男

OCEANLANEの直江 慶、つばきの小川博永(両バンドともに活動休止中)、そして数々のバンドをサポートしてきた河野 瞬が2012年に結成した3人組、THE TURQUOISEが流通盤としては前作から4年、ついに1stフル・アルバム『Way More Than Expected』をリリース。持ち前の歌心を追求しながら、ギター・ロックの範疇に収まらないアレンジも取り入れているところに3人の意欲が表れているが、奇をてらったところは微塵も感じられない。無心になって、肩の力を抜いたうえで自分たちがいいと思える音楽を作ろうとした結果らしい。そういう作品が3人にとってゴールではなく、新たなスタートと思えるようなものになったところが素晴らしい。

-まず、満を持してリリースする1stフル・アルバム『Way More Than Expected』を完成させた現在の心境から教えてください。

小川:結成してから4年を経て、ようやくできました。慶君の腰が重かったんで、尻を叩いてやっとできた(笑)。これでとりあえずはひと安心なんですけど、アルバムを引っ提げてのツアーがあるんで、また新たな気持ちでバンドに取り組めそうで楽しみです。

河野:そうですね。個人的にはきついレコーディングだったんで、完成してほっとしてはいるんですけど、これからもっと頑張らなきゃいけないと感じています。

-直江さんの腰が重いという――

直江:話が出てきましたけど、納得できる作品ができない限りは、1stフル・アルバムを作りたくなかったんです。すでにミニ・アルバムを1枚と会場限定EPを4枚出しているから、20曲ぐらいは発表していて。それを踏まえたうえで、自信がある曲だけを集めようと考えながら作ったんです。その手応えは感じてますね。

-早く出さなきゃと焦る気持ちはなかったんですか?

小川:でも、ライヴはやっていましたからね。今回のリード曲の「Further Away」(Track.3)は1年ぐらい前からライヴでもやっているんです。だから、新曲を作ろうという気持ちはあったんですけど......。

直江:2015年に演劇集団キャラメルボックスの公演"カレッジ・オブ・ザ・ウィンド"に書き下ろした「Dancing out in the wind」を発表しているんですよ。そういう依頼が来ると、俄然書きたいという意欲が湧くんですけどね。自分たちだけだと変に構えちゃって、"うーん、納得いかない"ってなっちゃう。「Further Away」ができたのがたぶん2015年の終わりごろだったと思うんですけど、そこからアイディアがぽんぽんと出てきて、フル・アルバムに向けて動き出そうかって気持ちになっていきましたね。

小川:2015年の一発目のライヴで"アルバムを作ります"って言っちゃったんですよ(笑)。でも作れず、今年もまた"今年こそは作ります"って言っちゃった手前、ぎりぎり間に合ってよかったです(笑)。

直江:1回、今までの自分たちと違うアレンジで作りたいと思って。でも、結局納得できずにそのまま流れていった時期もあって、そのときの曲も今回は断片的に使っているんですよ。

-じゃあ、今回のアルバムを聴くと、前作からバンドがどんなふうに変化してきたかがわかるわけですか?

直江:変化しました?

河野:かなりしたんじゃない? 僕はそう感じました。

小川:どこらへんで?

河野:メロディだったり、サウンドだったりがいい意味で落ち着いたのかな。前は"ロックだ。どりゃー"みたいな曲も結構あったけど、今回はドスッと腰が入ったうえで、いいメロディが流れていると思います。

直江:前作のミニ・アルバムはロックを意識して、パンクっぽい曲も交ぜながら、3ピースのシンプルさを押し出そうと思ったんですけど、そういう曲に自分の声が合わないんじゃないかと思ったんですよ。ライヴは楽しいんですけどね。それだったら、いい曲を聴いてもらいたいというか、前のバンドでも得意としていた歌心的なところをもうちょっと追求してみたいというのは意識しました。だから、勢いだけのパンクっぽい曲は入っていないんです。会場限定のEPで好きなことをやっちゃったんで、それがいいストレス発散になったのかもしれないです。

-トリオならではの演奏を活かしながら、基本編成以外の楽器の音色も入れるなど、ギター・ロックの範疇に収まりきらないアレンジの曲もあるところが聴きどころと言えそうですね?

小川:ライヴは3人の奏でる音しかないんですけど、音源は3人だけの音にこだわらず、曲が良くなるならいいかなというところで、曲が欲しがっている音を入れました。慶君がわりと入れたがりなんですよ。

直江:できる限りたくさん入れたいですね。今回もまだまだ入れられたんですけど、そこばかり追求しても、聴こえなくなるところも出てくるってわかってたんで、そこは限られた時間のなかで一番、効果的なところを目指しました。

-曲はすべて直江さんが?

直江:今回、小川君も3曲作ってます。

小川:「Smile」(Track.5)、「Don't Stop the Musik!」(Track.9)、「Change the World」(Track.12)です。「Don't Stop the Musik!」は曲のみですけど、他の2曲は作詞作曲もやらせてもらいました。だって、慶君がなかなか作らないから(笑)。

直江:痺れを切らして?

小川:いえ、単純に作りたいと思ったんですよ。