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INTERVIEW

Japanese

Crahs

2016年12月号掲載

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Member:クボタクト(Vo/Gt)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

"音楽と暮らそう"という合言葉のもと活動している男女混成バンド、Crahs(読み:クラス)。"暮らす"という言葉が由来だというバンド名に象徴されるように、このたび彼らがリリースする初の全国流通盤『Record City』は聴き手の日常に静かに寄り添ってくれるような優しさを持つ作品だ。彼らの描く多幸感は日常生活に潜む"苦み"からも目をそらさず、だからこそ私たちに特別な感情をもたらしてくれるのだが、そもそもどうしてこのような音楽が生まれたのだろうか。それを探るべく、作詞作曲を担当するクボタクト(Vo/Gt)に話を訊いた。

-前身バンドから名前を変えたのが2015年4月とのことですが、どういう経緯で改名したんですか?

ギターが抜けるタイミングだったので、改めて自分たちがどういう音楽をやっていくか、表現のスタイルをどうしていくかっていうのをじっくりと話し合う時間をメンバーと作ることになって。前は"パンカホリックス"っていう名前だったんですけど、それは"パンク中毒"という意味だったので、名前と音楽性のミスマッチを数年前から感じてて。で、変えるならこのタイミングだねと。

-パンカホリックスは結成当初、名前のとおりパンク・バンドだったんですか?

"GREEN DAYみたいなバンドをやりたい"っていうところからスタートしたので、全部英語詞で、3コードで、っていうポップ・パンク・バンドみたいな感じだったんですよ。でも活動していくうえで、日本語で曲を書きたいって思うようになったぐらいから、自然と今のようなポップス寄りの音楽性にシフトしていって。

-それで今のような方向性にシフトしていったと。

そうですね。"自分たちが作ってるのってどんな音楽なんだろうね"、"全部削ぎ落としたときに最後に残るのって何だと思う?"みたいな話を改めてみんなでして。そのときに、あたたかみとか生活感とか、そういうのが残るねっていう話になったんです。"生活の中で鳴ってる音みたいな意味合いのバンド名を付けられたら的確だよね"ということで、名前について2ヶ月間ぐらい話し合って。

-結構じっくり悩んだんですね。

はい。で、ふとしたときに、"暮らす"でいいんじゃない? っていう話になって。僕が"Clahs"っていうスペルに決めたんですけど、メンバーのひとりがそれを使ってロゴとアー写を作って、"雑誌みたいだね"、"これ面白いんじゃない?"っていう話になって。それでこの名前になりました。で、"Clahs"が"Crahs"になったのは......ライヴハウスの店長さんに紹介してもらった人に姓名判断をしてもらって。そしたら"l"だと字画が良くないっていう話になったんです。

-でも"l"も"r"も1画ですよね。

なんか大文字で考えるらしいんですよ。

-へぇ。子供に名前をつけるみたいですね(笑)。

そうなんですよ(笑)。それで"Crahs"になりました。

-先ほど"全部削ぎ落したあとに残るのがあたたかみや生活感"という話がありましたが、それを表現するために今のようなポップ・ミュージック寄りのサウンドになっていったのでしょうか?

音楽性に関して言うと、自分たちとしてはもともと、ガッツリとギター・ロックをやってるつもりでいたんですよ。でも"ポップスだよね"と言われることや、いわゆる典型的なギター・ロックに見られないことが多いなと思ってて。それだったら思いっきりポップな音楽性に振り切って作った方がいいんじゃないかと。

-周りの人から"ポップだね"と言われるのは嬉しかったですか? それとも嫌でした?

あ~、どうなんですかねぇ......。たぶん良いとも悪いとも思ってないんですけど、ギャップがあるなぁとは思ってました。自分たちが作ろうとしてるものと実際に作られてるものが違うのかもしれないっていう違和感はありましたね。

-わかりました。では音源の話に移りたいのですが、このたびリリースする『Record City』がCrahsにとって初の全国流通盤です。まず、どういう作品を作ろうと思ってましたか?

明るいアルバムを作ろうと言ってましたね。

-それはなぜですか?

明るい曲が作りたかったんですよ(笑)。楽しくなりたかったんですかね? なんでだろうなぁ......でも"アルバムを作ろう"っていう話が出たぐらいから、ポジティヴな作品にしたいなっていうのがずっと頭にありましたね。

-別に今まで暗い曲ばかり作ってきたわけではないですよね?

そうですね。でも改名前の作品を聴くと、意外と"あんまり明るくねぇな"と思うことがしょっちゅうあって。今までの作品は、明るさ100パーセントではなかったんですよ。キャッチーでポップなものではあったのかもしれないですけど、自分の作品に対して自分で"明るいな~"って思わなかったので。