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INTERVIEW

Japanese

MASH

2016年11月号掲載

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-わかりました。それでベスト盤発表のタイミングでは新曲ゼロと言ってましたが、今作はそれ以降に作った曲ばかりですか?

そうですね。最初に「少年」(Track.1)がインストという形であって、それから3ヶ月かけて歌詞とメロディを作りました。ようやく曲ができたあと、今回のアルバム制作に進むことができたんですよ。

-「少年」はなぜそんなに時間を要したんですか?

例えば、尾崎豊は日本のロックのフォーマットを変えるぐらいの影響力を持つ作品を10代で書いているんですよ。それはあの人の中にあった感情を、そのままその時期にフレッシュに出せていたからだなとも思います。それを出すことのできる術もあったし才能もあった。でも僕は今37歳なんです。17歳の僕がそれをやるのとわけが違う。そのころの僕はただの音楽ファンでしたし。そんな30代後半の男が少年時代のことを歌おうとすると、当時の瑞々しい感性みたいなものが半分以上なくなっていることにまず気づいたんです。その状態から自分の心にスコップを入れて、ようやく辿り着いたというか。その穴を掘るまでに時間がかかりました。

-なるほど。

それでも"Stand By Me"を書いた小説家のスティーヴン・キング、映画監督の北野 武とかは、青春モノの金字塔みたいな作品を大人の年齢で作っているんですよね。だから大人になってから、ちゃんと青春期を振り返ることは間違いじゃないとも思えたんです。

-MASHさんはなぜこのタイミングで、自分の少年期に光を当てようと?

あの時代は嘘じゃなかったというか。もがきまくって、転んでも立ち上がり、恥をかきまくっていたころの自分が存在していたことを、まず自分が裸になって生きてきた昨日までの道のりを曲にしないと次に進めない気がして。昔よりも老いを感じているし、より自発的に物事に取り組まないと、全部忘れちゃうし、衰えていくんじゃないかと思うんです。だから、今までと環境を変えて制作に入ったんですよ。

-今回は初めて東京のスタジオで録音されたんですよね?

それまではほとんどの作品を地元・愛知にある豊田市のスタジオで作ってきました。東京の知らないスタジオで新しい作品を作り出すってこと自体が挑戦でしたから、怖さはありましたけどね。

-思春期のドキドキ感を取り戻すためにも、新しい環境に身を置こうと?

日々の中で"初めてのこと"がなくなってる気がしたんですよ。それを自ら作り出さなきゃいけないなと。まず自分が感動したいし、興奮したいから。そのためにも新しいことにトライして、テクニック以上の何かが出てくればいいなと。

-大人になるにつれて、頭で考えてから行動することが増えますもんね。だからこそ、新しい環境に自分をぶつけてみようと?

そうですね。そこで感じたことをありのまま表現したくなったんですよ。

-そういう意味で今作はMASHさんにとって、第2のデビュー作みたいな感覚もあります?

えぇ、アルバム名も最初は"FIRST KISS"にしようかと思いましたから。

-そうでしたか(笑)! 宇多田ヒカルのデビュー作みたいじゃないですか。

宇多田ヒカルは『First Love』(1999年リリース)ですから(笑)。ファースト・キスって繊細だし、大胆じゃないですか!

-え、えぇ(笑)。

今回はまるでそういう作品だなと思ったんですけど、最終的にアルバム名は"黄金の季節"に落ち着きました。