paranoid void

INTERVIEW

Japanese

paranoid void

2016年10月号掲載

paranoid void

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Member：MEGURI（Vo/Gt） YU-KI（Ba/Cho） MIPOW（Dr/Cho）

Interviewer：秦理絵

－音楽以外でバンドの音に影響を与えてるものはありますか？

MEGURI：生活の中のリズムだったりとか......。女の人は1ヶ月のバイオリズムがあるじゃないですか。男だけのバンドと違って、女だけのバンドはそういうのがすごく出ると思うんですよ。精神面でも体調でもテンションが日々変わっていくというか。だから、この3人じゃなかったらもっと違うものになってたと思うし、そういうものすべてが音に出てると思うんです。

－MEGURIさんはこのバンドになってからギター・ヴォーカルとして、作詞作曲をするようになったわけですけど、何か意識の変化はありましたか？

MEGURI：曲を書くという部分に関してはギター・リフを考えるのと一緒だから、意外とナチュラルなんです。あんまり意識したことはないですね。でも自分がフロントマンになるっていうのは意識改革が必要でした。今まで自分がバンドを引っ張ることがなかったんです。ギタリストだったときは"スラムダンク"で言うと流川楓的な立ち位置がかっこいいと思ってたんですよ。準主役だけど、ときに主役を食う。準主役だからできるかっこよさみたいなところを目指したんです。だけどこのバンドで私は桜木花道になったから、桜木花道が流川と同じかっこよさをやってしまったら、"スラムダンク"は成立しないと思うんです。そういう変化ですよね（笑）。

－わかりやすいです（笑）。曲作りはどんなふうにやるパターンが多いですか？

MEGURI：今作の曲作りからGarageBand（※DTM）が登場したんですよ。それを使うようになってから、一応そこに簡単なドラム・パターンと、全体のグルーヴがわかるような曲の雛形として作ったものを持っていって、それをスタジオでみんなで1回壊して作っていくっていう感じですかね。作業がスムーズになりました。

YU-KI：難しいことができるようになったよね。でも、そんなに大きな流れは変わってなくて。パソコンを使うか使わなかったかの違いですかね。

－じゃあ、今回の『POP MUSIC』でかなり音楽的な可能性も広がったと？

MEGURI：そうですね。それまではインストにメロディが乗るような歌に寄せた音楽だったんですよ。そのときは言いたいことがいっぱい出てきたから、詞先で曲を書いてたんですね。それをやっていくうちに、音楽をやってるというより"自分が言いたいことを主張できる媒体"としてバンドを見てるっていう危機感が出てきたんです。それで3人で話をして。言いたいことを伝えるだけのバンドじゃなくて、音楽をするためのバンドをやりたいなって思ったんです。

－それは『POP MUSIC』を作り進めていた最中のこと？

MEGURI：作る直前ぐらいですね。時系列にすると、表面上バンドはうまく進んでるけど、なんとなく水面下で"どうしよう？"ってなってたのが年明けぐらいの時期だったんです。でも、そんな話はしてなかったから、新しいデモを作るつもりでスタジオをおさえて曲をそのまま録る予定だったんですよ。でも、その話をしたことによって"このままアルバムを作るのは違う"っていうふうになって......。

YU-KI：あの話をしたのは2月くらいかな。

MEGURI：そうそう。で、レコーディングが4月末だったんですけどモヤモヤした状態で曲を録ろうとしてたときに、レーベルから連絡がきたんです。

MIPOW：ちょうどだったよね。

MEGURI：それで、レーベルの人と話してるうちに"商業的なことはさておき、paranoid voidは、変に歌モノとか普通な感じに寄せるよりも、振り切ったことをやった方が絶対にかっこいいバンドだから"って言われて。うちらの中でも、ちょうどそういう話になってたから――

MIPOW：一致したんですよね。

MEGURI：自分たちでは言葉でうまく言い得ない部分を言ってくれたんです。"じゃあ、それでいきましょう"って。そこから録る曲も全部変えて、めちゃくちゃアレンジして。3月いっぱいぐらいでそれをやって、4月ぐらいから練習して――

YU-KI：4月半ばぐらいからレコーディングしたんです。

－デモからアレンジがガラッと変わった曲はどれですか？

MEGURI：1曲目でリード曲の「美しい孤独」はそうですね。歌詞も全体の構成もやってることも全然違います。リフも生かしてる部分もあるんですけどね。

YU-KI：むしろデモの段階でこの曲は仕上がってなかったんですよ。そのときの私たち的には仕上がってたんですけど、曲的には完成してなくて。今それが完成してないってわかったから、曲がなりたいように仕上げてあげたんです。

－じゃあ、言いたいことが多かった時期の曲は入ってない？

MEGURI：いや、「コンパス」（Track.5）は言いたいことがあって仕方がないときに作った曲ですね。だから歌詞も多いんです。しかもこの曲はデモと今回とで、ギターのコード感やベース・ラインをちょっと変えてるんですけど、それ以外ほぼ変えてないですよね。

YU-KI：この曲は、ひとつ前の時期の私たちの完成形だと思います。

MEGURI：やっぱり成仏させてあげたいと思ったんですよ。全部（過去に）置いていくのはなしだと思ったんです。何かを連れていくならこの曲だなと思ってます。