Japanese
Kidori Kidori
2016年10月号掲載
Member:マッシュ(Vo/Gt)
Interviewer:石角 友香
マッシュいわく、ロングスパンでひとつのテーマを描こうとしているという連作の第1弾がこの3rdミニ・アルバム『OUTSIDE』だ。いわゆるYOUTH WAVEの面々ともフェス・シーンとも"自然と違ってしまう"、THE SMITHSやTHE STONE ROSESら90年代の輝かしいギター・ロック・バンドから、Mac Demarcoら現代のローファイ/サイケデリアのニュアンス、そしてディスコ/ファンク的なノリまで、ルーツと時代に素直に共振しながらKidori Kidoriでしかない多様な楽曲を送り出すことに何の恐れもない。彼らをこれから知る人には好適なこの作品と今のモードについてマッシュに訊いた。
-今回、曲は多様なんだけど、すごく素だなと思ったんですよ。
まぁ素ですね(笑)。ベース・ラインからドラム・パターン、ギターまで、アレンジはほとんど僕がやりました。で、なんとなくみんなで話してる雰囲気とか"こんなん好き?"っていう話を汲んで、考えたりしたんで。メンバーにとっても、レコーディングするにあたってストレスはなかったんじゃないかなと。
-『! [雨だれ]』(2015年リリースの3rdアルバム)は、聴感としては鋭くなかったけど、あのアルバムには戦う姿勢が出てたと思うんですよ。
あれはずっと英語でやってきた矢先に日本語のアルバムにしたので、姿勢はそうですね。でもひょっとすると、こんな時代に音楽をやること自体が戦ってるようなものかもしれないし。それでも毎日楽しくやっていることが大事だなと、俺は思うんで。だから、別に『! [雨だれ]』を出したから、もうずっとああいう音楽性でいかないといけないみたいな気負いもないんです。そのときそのときで考えながら、今の自分を出すという意識は頭にありますね。
-そもそも『! [雨だれ]』を作って、ツアーもして、シングルも出して。メンバーがふたりになって(※今年8月にベースの汐碇真也(Ba)が脱退)という一連のタームはKidori Kidoriに何をもたらしたんですかね?
今回における挑戦はなんなのかな......この3rdミニ・アルバムがあって、何作かまたいで一貫したものをひとつ歌い続けるっていうことを少しやろうと思っていて。そういう意味で、この一発目の音源で1曲目に収録した「アウトサイダー」、これに尽きるんかなと思うんですよ。『! [雨だれ]』を出して、賛否両論いただいてなんとなく思ったのは、何を出しても悪く言う人はおるし、何を出しても褒めてくれる人もおるという不思議な感覚で。それであれば自分の持ってる信念というか、なんで音楽をやるんだろう? なんで曲を作るのって楽しいんだろう? みたいな、そういうところに忠実でいた方が誠意があるし、気持ち良く聴いてもらえるし、自分も気持ち良くできるんじゃないかなと思っていて。そこから逸脱しなければ自分は自分でいられるような気もするし、っていうところですね。
-何について褒められてるのか考えます?
もちろん、その姿勢が好きって言ってくれる人もいれば、単純に曲がいいって言ってくれる人もいるし。でも、僕としては姿勢を褒めてもらうよりは曲褒めてもらった方が気持ちいいですね。
-そこに一番腐心してるわけですもんね。
間違いない。
-象徴的なのが「アウトサイダー」だというのは、それを経たうえで、ということだと思うんですけど。今回ズバリ、アルバム・タイトルも"OUTSIDE"だからわかりやすいですよね。
はい、そうですね(笑)。
-そういう心持ちを作り続けていくと?
まず"アウトサイド"って、"外"とかっていう意味なんですけど、なんとなく自分を俯瞰するような、そういう意識も頭のどっかにあって。なんか冷静なんですよね。
-そうですね、すごく。
情熱だけでやってない感じが、今回はすごくあって。やっぱり見越してやってるところもあるんですよ、何作かまたいでひとつのことを歌い続けるっていう。でも、それをやる心持ちを「アウトサイダー」で歌ってるような気がするなぁと、自分では思いますね。
-最後の一行に"アウトサイダー 逆さまさ いずれは"ってありますからね(笑)。
そうそう、野心を持ってないとダメだと思ってて。
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