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INTERVIEW

Japanese

Manhole New World

2016年06月号掲載

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Member:岡本 貴之

Interviewer:細沼 章吾a.k.a.ぬましょう(Per) 松田 ナオト(Ba)

-全体のプロデュースはバンドでやっているんですか?

松田:河崎さん(※wash?の河崎雅光)がやりつつ、僕らがちょいちょい口を出す感じです。やっぱり、世代も聴いてきた音楽も違うので、僕らにはない意見を言ってくれるのが貴重なんですよ。

細沼:意見を言ってもらったあとのテイクがめっちゃカッコよくなるんですよ。(※ここで、インタビューに立ち会っていた河崎氏が「僕が今回こだわったのが、ずっと鍋(料理)を作ったことですね」との発言)

一同:ははははは!

松田:これはマジで重要ですよ(笑)。

細沼:毎日一緒にいて、夕食の時間になると毎日鍋を作ってくれるんですよ。14食くらい。

松田:しかも毎回違う鍋なんです。マジで魯山人かと思いましたからね(笑)。

細沼:そこからタイトルができたのかも(笑)。そのおかげで本当に合宿感があったんです。夕方5時くらいになるとおいしい匂いがしてきてみんなそわそわしてましたから(笑)。

松田:そうすると1テイクで決まったりするんですよ。

細沼:鍋をみんなで食べることで、バンドに一体感が出るんですよね。

-"食"というテーマはそこにも繋がっているんですね(笑)。

松田:そうかもしれないですね。そう思うとジャケットも鍋の中身みたいに見えてきた(笑)。

-「1990」(Track.8)にはホーンが入っていますが、これは初めての試みですか?

松田:最初のデモ段階では入っていなかったんですけど、ホーン・セクションを入れた曲を作りたいというのは、『なぜ蓋は丸いのか』のころから言っていたんですよ。

細沼:そのころはマリンバもなかったんです。そんなときに、ドラム(関根米哉)が毎回"マリンバとかティンパニとか入れたら面白いよね"ということを言っていて。僕はバックグラウンドが吹奏楽で、ドラムがマーチングをやっていたんです。

松田:だから頭と耳が、オーケストラのサウンドに富んでいるんですよね。そのときはなかなか実現しなかったんですけど。今回この曲がいいんじゃないかなって、たしか河崎さんが――

細沼:"ちょっと時間ちょうだい"って言ってその場で打ち込んでて。

松田:僕がそれをアップグレードさせてホーン・セクションを書いたんです。これは新しかったですね。

-こういう音が入っていることもあって、全体的に明るいイメージのアルバムだと感じました。

松田:たしかにテーマのひとつに"夏"っていうのはあって。夏はイメージ的に楽しいじゃないですか。子供ながらに、やれプールだの、やれアイスだの、やれ海だのっていう(笑)。そういう意味不明なくらいテンションが高いところと、夏の終わりかけの、あの謎の切なさみたいなものが同居してほしいという思いもあったりして。切ない感じと楽しい感じ、青春みたいな感じを聴く人が各々で感じてほしいですね。

-夏らしいイメージを感じたのは、Track.1の"AFRICA"やTrack.3の"el Nino"っていうタイトルから連想したのもあるんですけど、曲のタイトルはどうやって決めているんでしょうか。

細沼:"AFRICA"は前作と同様、"SE"にしようかと言ってたんですけど、"テント"とか"キャンプ"っていう案も出ていて。字体的に一番カッコいいのがこれかなっていうことで"AFRICA"になりました。

松田:「kokage」(Track.4)と「goodbye girl」(Track.6)はタイトルを先につけましたけど、それ以外は全部あとからですね。「麒麟」(Track.5)なんかは完全にイメージからですね。

-「kokage」、「麒麟」と続くとやっぱりサバンナ的な景色を想像してしまうというか(笑)。民族的な楽器を使っているバンドのイメージもあるかもしれませんが。

細沼:僕は民族楽器的というふうには思っていないんですよ。ただ、見たことがない楽器がステージに並んでいるとワクワクするかなっていうのがあって。パーカッションをやっているから民族音楽的なものを押し出したいということではないんです。ただただ、観る人聴く人がワクワクしてくれれば、それが成功だと思うので。

-ギター2本とマリンバのアンサンブルってどのように考えて演奏しているのでしょうか。

細沼:他に例がないし、ギリギリのところで新しいものに挑戦できると思っていて。一緒に作っていっているので、この作品でもどこかで音がぶつかっているかもしれないですけど、それが作品ごとに完成していく過程も見てほしいというか。別にこれが正解だとは思っていないので。

-まだまだバンドとしては発展途上という意識がある?

細沼:もう全然、そうですね。

松田:やっと動けたみたいな感じですからね。

-Track.9「DUST」は最後の曲らしさがあり、バンドの一体感を最も感じる曲ですが、これはどのようにして生まれた曲ですか?

松田:実は、この曲は一番古い曲で。唯一、自主制作でシングルみたいな感じで作った曲なんですよ。

細沼:この曲があったから河崎さんとも出会えたんです。バンドの初期に下北沢Club251でCDを無料配布するイベントがあってそれに参加するために1曲作らないといけなくて、急ピッチで録ったのが「DUST」だったんですよ。それを聴いたのをきっかけに気に入っていただけたので。

松田:今回収録したのは、満を持した感がありますね。他にも収録されていない古い曲はあるんですけど、単純に「DUST」が今作に合うなと思って入れました。この曲を聴くたびに成長を感じるんですよ。前の音源を久しぶりに聴いて比較してみたんですけど、全然違うなって。"ちゃんと成長してる"という証でもあるし、エモーショナルな気分になりますね。

細沼:この曲を最後に入れたのは、裏切りというのもあって。「1990」でワーッてなって最後"ブンッ"ってベースで終わるという方がアルバムの終わりとしてはきれいじゃないですか?

松田:夏が終わりました、"ボーナス・トラック、ドーン"みたいな。

細沼:そういう感じで裏切っているんですけど。僕のイメージだと「DUST」の最後は夜というか星みたいな感じがするので、そこで本当にラストですよっていうのをわかってくれると嬉しいですね。