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INTERVIEW

Japanese

アカシック

2016年03月号掲載

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Member:理姫(Vo) 奥脇 達也(Gt) バンビ(Ba) Hachi(Key) 山田 康二郎(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

バラエティに富んだ楽曲でありながら、1本の映画を観ているような感覚がある計13曲というボリューム。バンドの世界観が1曲1曲丁寧に表れた、とてもフル・アルバムらしいフル・アルバムだ。昨年6月にミニ・アルバム『DANGEROUS くノ一』でメジャー・デビューを果たした5人組男女混合バンド、アカシックが完成させた初のフル・アルバム『凛々フルーツ』は、J-POPとバンド・サウンドの美味しい部分だけを抽出し配合した濃厚なジュースのようだ。Skream!初登場、バンドの生態を探りながら今作の背景に迫った。

-初のフル・アルバム『凛々フルーツ』はバンドの表現方法も増えていて、1本の恋愛映画を観ているような、壮大で濃厚な作品だと思いました。

奥脇:過去を否定するわけではないんですけど、今まではロックンロールな気持ちで"俺らこれだけやってるぜ、どんなもんだ"という攻撃的な雰囲気で曲を作ってたんですけど、バンドとしての思春期と反抗期を過ぎたからか(笑)、今回は聴く人と音楽を共有しようという気持ちがあり、ポップに作ろうと思って。だからわりと健やかな気持ちで制作できたアルバムですね(笑)。"最初からそうしろよ"と思われるかもしれないけど、思春期や反抗期のときのエネルギーの良さもあるし、それを経なければこのアルバムは作れなかったと思うので。バンドとしての成長が見える1枚じゃないかなと。

バンビ:曲作りは普段通りゆっくり進んでいったんですけど、制作やレコーディングはかつかつで。収録曲を決めてプリプロしたけど"やっぱりこっちの曲を入れよう"と急遽収録曲を変えたりもして。でも時間をかけて目標に向かっていくよりは、期間を決めてやった方がギュッと集中できるんですよね。

奥脇:10~11月で急いでプリプロして、収録曲がちゃんと決まったのもレコーディングの数日前でした(笑)。夏休みの宿題を最後の日にまとめてやるタイプの5人が集まっているバンドなので、そういう状況には結構強いですね。

理姫:普段のんびりしてるから気づいたら時間がなくなってるんです(笑)。

-(笑)インディーズ時代からアカシックはポップに重きを置いているバンドだと思いますが、その心は?

奥脇:ジャズでもフュージョンでもブルースでも、どんなジャンルでも人の耳に残るのはポップでキャッチーで聴きやすいものではあるから。そんなにメロディがウキウキな感じの曲でなくても多くの人に聴かれるような曲は、どこかにポップさを孕んでいるんだと思います。だったらそれを突き詰めない理由はないので......そりゃあポップになりますね(笑)。やっぱりヒット・チャートに入る曲を追ってると、人気がある理由がわかるから"そりゃそうだよね"と思うし。そういうものを聴きまくってたから、自然とそういう曲ができる。

山田:J-POP大好きだしね。

バンビ:J-POPは音楽に詳しくない人でもメロディを歌えたり、歌詞だけ知ってたりするし、みんながとっつきやすい音楽だと思うんです。テレビ番組やCMで流れてるとお母さん世代の人にも"あの曲いいよね"と言われるのがJ-POPだと思うし。自分も小さいころからそういうJ-POPを聴いてきてるから、みんながなんとなく知っててメロディを歌えるようなバンドになりたいんですよね。

理姫:たとえそれぞれのバックグラウンドが違っても、全員がポップな要素を持ち寄ってくるので、このメンバーと一緒に曲を作ると自然とそうなるんですよ。だからこの5人で作る曲はポップスが1番やりやすいのかなと思います。私はDJ SNAKEとかクラブ・ミュージックにハマってるんですけど、このバンドでクラブ・ミュージックを作ることはできないので(笑)。

-ははは。聴き心地の良さに繋がるのかもしれませんが、アカシックの音楽はどの音も曲を成立させるために鳴っていると思いました。5人の音が等しく鳴っていて、且つちゃんとリズム隊が曲をドライヴさせていますし。特にTrack.8「うたかたの日々」やTrack.9「ロリータ」はそうかなと。

バンビ:"ヴォーカルだけすげえ目立ってるけど、あと誰?"というのではなく、5人全員がステージ前面にいるようにしたいというのは俺らが結成したときから言っていることで、目指すべきところなんです。だからそう感じてもらえたのは、それが少しでもできてるってことなのかな......。もっとそれができたらと思いますね。

山田:その2曲は特に苦労した曲ですね。

理姫:コジ(山田)はこの2曲だけじゃなくていつも苦労してるよ(笑)。スタジオでみんなが休憩入ってもコジだけひとりで"どうやろうかな"ってドラムを考えてて......

山田:うちのリーダー(奥脇)はドラムに対する想いがすごく強いんですよ。だから結構スタジオでもいろいろ言われるし、そこに対して俺も自分のエゴを言ったり......そういう意見交換が他の楽器よりもかなり多いです。

バンビ:リズム隊だけでスタジオ入ることが多いんですけど、そこでよく"ここのフレーズ、俺はこういうふうにしたいんだけど、変えたら達也(奥脇)にバレるかな?"と言ってますけどね(笑)。

一同:ははは!

理姫:スタジオにある壁鏡を見てたら、コジがずっと達也のことだけを見てドラムを叩いてたことがあって(笑)。だからリーダーはたまにはコジのことを褒めてあげてください!