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INTERVIEW

Japanese

バスクのスポーツ

2016年01月号掲載

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Member:能美 亮(Syn) 磯部 蒼(Ba)

Interviewer:山元 翔一

-枠組みや要素をベースに組み立てていくということですが、楽曲に感情やエモーション込められているのでしょうか?

能美:あるときはありますよ。それこそ楽曲にある激しさやテンポ感の緩急は叙情を表現しているかと思います。昔のプログレは叙情的なものが多くて、イタリアのプログレもわかりやすく叙情を表現しているものが多いんです。僕の場合は、パッと聴いてわかる明るいメロディや悲しいメロディを作って感情を表現していますね。実際に僕もそういうふうに聴いてきましたし――ギャルゲーやっているときでも、辛辣なシーンのときにすごい音楽が流れてきたりしますし。そういう音で引き込む感情表現というか。

-すごく感覚的にやっているんですね。

能美:完全に感覚ですね。全然理論もないので。

-プログレとかポスト・ロックには、ガチガチな理論でロジカルに組まれたものもあるじゃないですか? すごく息苦しさを感じさせる一方、それが気持ちよさや面白さにも繋がる場合もあって。でもバスクのスポーツは、感覚で聴けるからこそ耳馴染みがいいし、聴かせ方もうまいなと感じました。

磯部:よく聴いたら変拍子っていうところは、意識していますね。そういうところをポップさで隠すというか。難しいことをやっているからいい音楽っていう場合はあまりないと思いますし、世間的にも受け入れられませんよね。

能美:実際に僕もそういう技巧だけの音楽はつまらないと思っていますし、技巧的な面は伝わる人に伝わればいいかなっていうくらいです。

磯部:でもその変拍子はめちゃくちゃ練習するんですよね(笑)。

能美:よく聴くとこれ四拍子だっていう逆の場合もあって。それも面白いんですよね。

磯部:難しい変拍子やキメがあったら、そのぶんどこかにポップな要素を入れて塩梅をよくするというか。特に意識はしていないですけど自然とそういうことをやっているのかなと思いますね。

-最終的な着地点はやっぱり"ポップス"なんですよね。

能美:そうですね、ポップスではありたいと思っていますね。それは、そういう音楽が好きだっていうこともありますし。ポップな部分っていうのは、昔聴きづらかったプログレッシヴ・ロックの音楽に足りなかった要素なんじゃないかなっていう僕の考えでもありますね。

-バスクのスポーツの音楽を通して、プログレのような難解な音楽の入り口になりたいっていう気持ちはあるんですか?

能美:ないですね。プログレっていう音楽は、ジャンルではなく姿勢だと思っていて。"僕らはこうですよ"っていう姿勢を提示しているだけで、僕らを通してプログレを聴いて欲しいという気持ちはないですね。

-わかりました。では最後に、せっかくなのでおふたりにとって思い入れのある楽曲について教えてください。

能美:「Sagardotegiak」(読み:シードルハウス/Track.5)っていう曲ですね。この曲は、展開やひとつひとつのフレーズとかが僕の中でバッチリ決まっていて、アンサンブルも1番利いてるかなと思いますね。個人的には聴いてて面白い曲だと思います。昔のプログレのアルバムが1枚のアルバムを通して表現していたことを1曲で表すことができたという手応えを感じていて。楽章に分かれているような曲なんですけど、きれいにまとまっていてかっこいい曲だなと自分でも思いますね。推しメンです(笑)。

磯部:僕は、「Regatas de traineras」(読み:レガタ・デ・トライネラ/Track.6)ですね。これはバンドを始めて4曲目くらいにできた曲で、唯一ライヴでもずっとやってきてるんです。最初のころのシンプルさというか......いい意味で小慣れたところがない、拙さというか初期衝動感が上手くまとまった曲かなと思っていて1番好きですね。

能美:この曲は船のスポーツがタイトルになっているんですけど、すごく合っていると思います。船を漕いでいるようなイメージが強かったので、昔作ったEPでは波の音を入れたりしました。1艘のボートに10人くらいの人が乗って、ボートを漕ぐっていう競技で。意識して作ったわけではないんですけど、熱さっていう部分ではリンクしていると思いますね。

-バンドのコンセプトを打ち出した作品が完成しましたが、今後どういった活動をしてきたいですか?

能美:昔のプログレが、単純に音として好きなので、1曲を通してオルガンやアナログ・シンセの音をフィーチャーしているんですけど。いろいろやってきた中でもネタが尽きた感じはなくて、これがアリならこういうこともできるなっていう幅がわかったので、サウンドの幅を広げてやっていこうかなと思いますね。もうちょっとエレクトロな要素を入れてもバンドの姿勢は変わらないので、凝り固まらずに広い視野をとり入れた曲を作っていけたらと思いますね。

磯部:今までは能美が全部作曲をやってきたんですけど、他のメンバーが作ったものが元になる曲も発表していって、僕らの中で新しいと思えることをやっていこうと思っています。

能美:新しいことを見つけるというか、自分たちの可能性を確認したいですね。

磯部:自分たちが辿り着いた1曲みたいなものを求めているような気がしますね。それができるまではバンドは続くのかなと思います。