Japanese
QOOLAND
2015年12月号掲載
Member:平井 拓郎(Vo/Gt) 川﨑 純(Gt) 菅 ひであき(Ba/Cho) タカギ 皓平(Dr)
Interviewer:山口 智男
2011年の結成以来、年間100本以上のライヴを続けてきた4人組ロック・バンド、QOOLAND。彼らがリリースする2ndフル・アルバム『COME TOGETHER』はクラウドファンディングで制作費を募り、アルバムを待ち望んでいたファンとバンドがひとつになって作り上げた作品だ。ライヴの一体感をCDでも体験したいというバンドの願いは、歌モノのロックでありながらプログレっぽいところもあったQOOLANDのサウンドに若干の変化ももたらしたようだ。"伝えたい"という想いはメンバーたちの中でこれまで以上に強いものになってきた。
-Track.3「セレクト(うーっはーっ!!)」はクラウドファンディングを成功させたからこそ生まれた曲だそうですね。今回、アルバムをクラウドファンディングで作ろうと思ったきっかけをまず教えてもらってもいいでしょうか?
平井:もともと、所属していたレーベルを離れる選択をしたんですけど、そこでアルバムの制作費を自分たちで用意しなきゃいけないとなると、活動のスケール感や展開が今までよりも縮小傾向になってしまう。それは避けたいと思い、ファンの方々に支援していただこうとクラウドファンディングを選択しました。
-レーベルを離れようと思った理由は?
平井:温度差があったんですよ。
川﨑:見ている場所が違ったんです。それはどちらが正しいという話ではなく。
平井:ただ、決して軽い気持ちでレーベルを離れたわけではないんです。生半可な決断ではなかったですね。その気持ちは「セレクト(うーっはーっ!)」にも表れていると思います。レーベルに所属したままやってもいいし、自分たちでやるのもいいし、どちらを選んでもいいと思うんですけど、自分たちで選んでどういうやり方をしていくかが大事。楽な道は、どちらを選んでもないと思うんですよ。
-2014年には計5枚の作品をリリースしていたことを考えると、そのペースを落としたくないというのは当然ですよね。
平井:それもあるし、ファンがリリースを楽しみにするようなアルバムを作りたかったんです。発売日を一緒に迎えられるような。
-その結果、2日と15時間で目標額を達成してしまったそうですね?
平井:ありがたいことです。改めてファンのエネルギーに驚かされました。
-ファンドを募ったとき、達成できる自信はありましたか?
平井:五分五分でしたね。
川﨑:やったことがなかったので見当もつなかったです。
平井:ただ、目標額を達成できて安心はしましたけど、"やったー!"とは思わなかった。"ふー、よかった。予定通りにいった"という安心感でしたね。
川﨑:これでアルバムが作れる、という嬉しさをしみじみと感じました。
-海外では多くのミュージシャンが使っていますが、クラウドファンディングに興味は前からあったんですか?
平井:ありました。日本では全国流通をかけたり、チャートに入ったりするぐらいの枚数のアルバムを、クラウドファンディングで作っている人たちはまだそんなにいないと思うんですよ。"会場限定でリリースしたいからお願いします"というケースが多いんじゃないかな。クラウドファンディングで作ったアルバムを発売して、例えばインディーズ・チャートで10位以内に入るような例はまだそんなにない中で、僕らのアルバムがそういう作品になったら参加したファンも喜んでくれるんじゃないかなと思って。ただ、クラウドファンディングって、まだ賛否があるじゃないですか。そもそも目標額が集まらなかったらアルバムを出すことがファンから望まれていないということが明らかになってしまう。その他にも音楽以外のサービスをリターンすることについて、ミュージシャンとしてどうなのかとか、そもそもお金を出してもらってCDを作って、それを買わせるのはどうなんだろうとか、"あれ、資金潤沢じゃないの?"って不景気な感じが出てしまうとか、否を挙げだすときりがなくて。そういうリスクも考えたうえで、今回、クラウドファンディングというやり方を選択したんです。僕らもそうだけど、ファンも含め、いろいろな人たちもそういう何かを選択しなきゃいけない場面ってあるんじゃないかな。これまでバンドをやってきて、そこまでギリギリの選択を迫られることってなかったんですよ。その経験がなかったら、「セレクト(うーっはーっ!!)」は書けなかったと思います。
-選択した結果、ファンが待ち望んでいることがわかってよかったんじゃないですか?
平井:嬉しかったです。今年の年明けぐらいから"アルバムを出したい出したい"ってずっと言ってたし、ファンからも"まだですか?"って言われていたんですよ。だから、曲はかなりあったんです。そこにさらにプラスして、最終的に22~23曲の中から選んだ11曲になりました。レコーディングは8月だったんですけど、7月の1週目まで......ギリギリまで新しい曲を作ってましたね。
-去年5枚も作品をリリースして、それでもまだそれだけ曲があるってすごいですね。
平井:今年はそれぐらい心が動くことが多かったんですよ。気に入らないことや、何を言っても伝わらないんだって思うことが多かったんです。それに煮ても焼いても食えない奴がいるということも知りました(笑)。逆にファンのパワーも感じましたし、メンバーの結束や周りにいて助けてくれる人の優しさも知りました。だから書いても書いても書き足りない状態でした。
-その中で、今回はどんなアルバムにしたいと考えたんですか?
平井:結果、あたたかいアルバムになりました。
菅:今までやってこなかった作曲方法を取り入れたんですよ。例えばリード・トラックのTrack.1「Come Together」とTrack.2「Shining Sherry」。もともと、僕らの曲作りは平井がほぼ完成した形を宅録で作ってきて、バンドでそれを味つけしてというやり方だったんですけど、「Shining Sherry」は彼の弾き語りに全員で肉づけしてから味つけしていったんですよ。「Come Together」はライヴの1曲目にやれる曲が欲しかったので、そういう曲にしようと考えながら作りました。
平井:めちゃめちゃ伝わるものにしたかったんですよ。お客さんにぶっ刺さるような。それには僕ひとりがかっこいいと思っているものよりも4人全員が共有できるカッコよさを持った曲の方がいいんじゃないかと考えたんです。
菅:曲を練り上げるにはそのぶん、いつもよりも時間がかかりましたけど、楽しかったです。
-QOOLANDの曲っていわゆる歌モノではあるんですけど、バッキングはインスト・バンドとしても成立するぐらい面白いことをやっているから、もともと、ジャム・セッションで曲を作っているんだとばかり思っていました。
平井:the band apartとかSPECIAL OTHERSが好きなんで(笑)。
-QOOLANDのサウンドがなぜこんなにユニークなのかルーツを聞いてみたいんですけど、ポスト・ロックやハードコアも聴いてきたんですよね?
平井:そうですね。あとはTERA MELOSとかそっちの。
-あ、プログレも好きなんですか?
菅:平井とタカギはそっち系が多くて。川﨑と僕はまた違うんですけど。僕はメタル小僧からプログレ小僧になって、それからブラック・ミュージックとかJ-POPとかいろいろですね。
川﨑:僕はバンドを始めたきっかけがX JAPANとELLEGARDENでした。
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