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INTERVIEW

Japanese

Turntable Films

2015年12月号掲載

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Member:井上 陽介(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

-あのアルバムってメロウでもあるけど内容的にはシビアでもありますね。

うん、翳り感というか。単純に聴いてて気持ちいいんですけどね。

-悲しくなることって"悲しいこと"だけじゃないんだなとか。

うんうん、そうです。シンプルじゃないというか、含みがあったうえのものというか。読み取らないといけない作業がなんか好きなんでしょうね。

-それ以外の音楽に関してはすでに自分の血肉になってるものですか?

そうかもしれないですね。そのソウルの感じと......サイケなものとか、アシッド・フォークとかはだいたい常に聴いてるので。あとは昔のアメリカ音楽とかも。普段聴いてるものがふわっと音に出てるのかな。

-そして大きなポイントとしてはSandro Perriさんによるミキシング。

Sandro Perriのミックスはすごく大きかったですね。Sandro Perriの作品自体が好きなんです。前のアルバムでもやりたかったんですけど、タイミングがなくて。今回、日本語で全曲やったのもあるし、外国の人に頼むのがいいなぁと思って。日本語のアルバムを外国の人が、しかも自分が尊敬してる人がどういう耳で聴くのかっていうことを自分の作品で試したかったので。ただのファンなんですけど(笑)。それで送ってみたらやってくれるということになって嬉しかったですね。

-Sandro Perriとはトロント留学時代に出会ってるんですね。井上さんのトロント留学って、そもそも目的は何だったんですか?

その当時は、音楽しようと思って行ったんです。アメリカ音楽が好きすぎてアメリカに住もうと思って。でもアメリカはビザがなくて、カナダにワーキングホリデーがあったから、とりあえずワーキングホリデーで行って、向こうで生活していこうと思っていたんです。それが25~26歳ぐらいちゃうかな? で、そのときにSandro Perriがアルバム出したのでライヴを観に行って、この人すごい才能あるなぁと思って。だから8年越しぐらいにやっと一緒に仕事できたんですね。

-その当時は別にどこを拠点にやってもいいわと思ってたんですね。

そうですね、全然。どこからでも道が拓けたらいいなぁと思って。でも当時、カナダが20年ぶりぐらいの好景気になって、1ドル70円ぐらいだったのが120円ぐらいになって、みるみるお金がなくなったんです(笑)。

-(笑)しかしすごいことをまた淡々と......。ところでこのアルバムができたことでこれまでと違うTurntable Filmsとしての野望は出てきましたか?

バンドの野望?......えっと、武道館でライヴをすることです(笑)。これはいろいろな人にそう言えと言われてることでちょっと思い出した。

-パフォーマーというか演奏者としてそういう舞台でも通用するようにと?

そうです、そうです。あ、うまいこと言ってくれた(笑)。

-ところで、今ってこんなにいっぱい食材があるのに料理の種類が少ないような状況がメジャーのバンド・シーンにはあるように思うんです。

似たような音楽が多いってことですか?

-自分の満足より人の評価を気にしすぎる傾向があるのかなと。

僕も人の評価を気にして作っていた時期もあります。そうじゃないものもありますけど、そういうことよりバンドで音楽を作るときはできるだけポップなものにしようと心がけていますね。意識としてポップ・ミュージックを作ろうとはしてるので、まったく考えてないことはないはずなんですけど、それは僕が思う、"これ、みんなポップって思うんちゃうん?"っていう想像ですから、リスナーのことを考えているかというと、言い切れはしないかな。なので僕が勝手に"こんな音楽を聴いてくれたらいいな"っていう理想のリスナーを作ってるんかも知れませんね(笑)。