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INTERVIEW

Japanese

Turntable Films

2015年12月号掲載

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Member:井上 陽介(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

-(笑)ニュー・アルバムのお話をお訊きしたいと思います。今回は日本語詞になったことで、リスナーとしてはより気持ちを置けるんですが、作り手としてはいかがですか?

ああ、日本語でやってみてですか? うーん......個人的に言えば、日本語よりもうちょっと自由度があるので英語の方が書いてて楽しいです、それは音的にも。それに面白い話が書けますね。日本語はその作り方はできないので、言葉遊びをするというか響きのいい言葉を選んで、さらにちょっと辻褄を合わせていく。話の作り方が違いますね。そういう差があります。どっちも面白いですけど、日本語の方がしんどいかな。

-今回のアルバムの最初の取っ掛かりはなんだったんですか? 何ができたからそろそろ作ろうと?

前のアルバムを出したあとに磔磔(※京都の老舗ライヴハウス)でワンマンすることになって、入場者特典みたいのをあげようっていう話になったんですよ。それで、じゃあ新曲2曲入れることになって、今作にも入ってるTrack.3「Cello」とTrack.8「Breakfast」をプレゼントする形になったんです。けど、そのちょっと前にくるりの岸田(繁/Vo/Gt)さんに会って。それまでにも日本語でやれやれっていろんな人に言われてたんですけど......なんとなく自分も"次のアルバム、何しようかな"と考えていたときに、日本語でっていうことを岸田さんにも言われて。"ほな、日本語にしたらええかな"っていう、いいタイミングで。ちょうどその特典の話があったからそれを全部日本語の曲にしてしまおうと。それで、次のアルバムは全部日本語の曲がいいなぁっていう構成がそこで見えてきた感じですね。メンバーもひとり抜けて、サポート・メンバーが入って、その作り方の土台を作っていったというか。

-日本語詞にするのは何か新しいことをする自分への課題として?

そうですね。自分の作業としても面白いことはしたいので。だから挑戦をいっぱい作るというか。バンドも自分も今までにやってないこと、それが主なテーマですね。

-編成が変わったり、サポートの方も入っていらっしゃいますけど、どういう立ち上がり方をしていったんですか?

「Cello」と「Breakfast」を先にやって、じゃあアルバムを作るかって話になったときに、いくつか制約を作ったんです。サポート・メンバー含めて6人で作ることと、あとは時間的な制約ですね。前のアルバムの『Yellow Yesterday』(2012年リリースの1stアルバム)は期間を決めずに作ったから、今回は期間を決めたんです。曲はないけど、9月にレコーディングするっていう日程だけ決めて、それまでに半年ごとぐらいにばーっと曲作ってアレンジして、みたいなやり方で。3ヶ月先ぐらいに日程を決めて、その2ヶ月前ぐらいに5曲ぐらい書くんですよ。その書いてできた状態のものをみんなに送ってアレンジしてもらって。もうどんなにアレンジできてなかろうが、決めた日には絶対レコーディングするっていうふうにしたんです。そしたらその時間的な制約が逆にいい方向に転ぶんちゃうかな?と。今まではドラムとベースをまず録って、そこに音を重ねていくっていうやり方なんですけど、とりあえず"せーの"で録りたかったので、3テイクぐらいしかやらへんかったりとかもあって。どこから広がっていったというより、その制約と日本語詞で作るっていうこと、そういういろんなものが形作って広げていっていくれたかなと思いますけど。

-ひとつの緊張感でもありますね、その制約は。

うん。ある意味リスクみたいなものがあるといいかなぁと思って。力を発揮するというか。

-作り方以外のヴィジョンで言えば?

そもそももっとスタンダードなものを作ろうと思ったんです。実験的なノイズが流れてるようなアルバムではなくて、バラエティに富んでる音楽史的に言うところの"スタンダード"。今回のアルバムとは全然違うけど、Frank Sinatraみたいなアルバムというか。

-それはTurntable Filmsとしての?

そうですね、ちょうど真ん中というか。それでも曲によってはちょっとずつズレているんですけど、結局それを並べていったら、THE BANDの1st(1968年リリースの『Music From Big Pink』)みたいなスタンダードさがあるというか。

-あと、このアルバムは日常の中で淡々と起こっていくものの中にある"終わって始まっていくこと"のようなイメージがありました。

僕もたぶん同じことを思ってますね、淡々と行くんですけど、なんでしょうね? 日常の中の話なんですけど、微妙に繋がってる部分ですよね? 音楽的にも詞の内容的にも。

-バンドのベーシックな背景はこれまでに積み重ねて来たものだと思うんですけど、このアルバムを作っているとき、音楽的に自分の中に入ってきた要素ってありますか?

音楽的なものですか? 音楽的に1番入ってきたのはCurtis Mayfield の『There's No Place Like America Today』(1975年リリースの7thアルバム)です。これが1番入ってきましたね。ま、Curtis Mayfieldのメロウなアルバムとか、あの感じとかですかね。