Japanese
HIGH FLUX
2015年10月号掲載
Member:Kiyoharu Okabe(Vo) Taiju Wada(Composer/Manipulator)
Interviewer:山口 智男
-今回、ふたりで曲を共作してみようってなったきっかけは?
Okabe:単純に新作を作りたかったからなんですよ。ライヴに本腰を入れたいし、もちろんライヴには多くの人に来てもらいたいし、それには新作だろうってところで、彼とそういう話をしながら曲を作ろうってなったんですよ。
Wada:Okabeにやる気があったんですよ、ものすごく。前作を出したあと、いつも通りなんとなく作り始めたら、こいつが自分が主となってがっつりやりたいって感じだったから、"じゃあ、うちに来て一緒にやってみるか"ってやってみたら、1日に3、4曲できたんで、そのやる気をパッケージしようって。
Okabe:やっぱり、前作にはあまり関われなかったなというちょっと悔しい思いがあったんですよ。それにもっと届けたいという気持ちもあったし、自分がもっと目立ちたいという気持ちもあったし(笑)。
Wada:わからないですけど、ライヴに毎回、来られるようになったらなったで、前作で自分が歌ってない曲も歌わないといけない。それが気に入らなかったんじゃないかな(笑)。自分が主となって作った曲をライヴで届けたいんじゃないかなって気がしたけど、違う?
Okabe:FLAMING ECHOのときも他のメンバーが作った曲を歌うってこともあったからそれに違和感はなかったし、前作を聴いたときも自分が歌っていない曲を、CDになって初めて聴いたときは新鮮で面白かったんですけど、今回は全曲、ゼロから自分が知っているものにしたかったんですよね。
Wada:何かスイッチが入ったんだなって(笑)。
-前作を作っていたときはOkabeさんは忙しかったんですよね?
Wada:仕事が忙しかったんですけど、今は仕事も変わって、バンドに重きを置けるようになったんで、これを逃さない手はないっていうのはありますよね。バンドを運営する側としては。
-共作はどんなふうに?
Wada:僕がトラックを作って、そこにOkabeがメロディを加えるんですけど、そのメロディに対して、トラックを変えながら形にしていくってやりかたですよね。
-今回、前作よりもロック色が濃くなりましたよね?
Wada:バンドっぽいですよね。
-しかも、歌モノと言える曲が増えた。というか、ほぼ歌モノですね。それはOkabeさんの志向ですか?
Wada:こいつは歌モノが好きですね。僕は前作のヴォーカルがサビしか歌っていないような淡々とした曲の方が好きなんですけど、僕が作ったそういうデモに対して、こいつが歌ってアプローチしていくから、どんどん僕の要素が減っていく(笑)。僕が作ったデモにOkabeの色を乗せたらこういう作品になる。それに対して、ギターが足りないからもう1本入れたっていう感じですね、今回は。
-ギターのAkito Kagariさんとは、これまでどういう付き合いだったんですか?
Wada:彼とも古い。メンバーの中でいうと、Yoshida(Daisuke/Gt)が高校時代からの付き合いなんですけど、東京に出てきて最初に会ったバンドマンがKagariなんですよ。当時、渋谷のCYCLONEで働いてて、僕らがオーディションを受けに行ったとき知りあったんですけど、バンドを止めたあと、作家活動しながらフェードアウトしていった、みたいな。僕、ソロで楽曲提供したり、リミックスしたりするとき、Kagariにギターをずっと頼んできたんです。打ち込みに対するKagariのギターのアプローチが好きで、全部お願いしていた。今回、ギターをもう1本入れたいと思ったとき、今すぐ入れないと、間に合わないってスケジュールだったんで、ゼロからの人じゃ無理。僕の曲を理解しているKagariしかいなかった。速攻で電話して、"バンドやる準備できてますか?"って聞いたら、"できてます"って(笑)。関西人だからノリがいいんですよ。"明日までにギター入れて欲しい""ええで"ってことをこれまで何度もやってきたから、そのノリで。ただ、ここまでがっつりやるとは思ってなかったんじゃないかな(笑)。まぁ、くすぶってたから一緒にやろうぜってことです(笑)。そういういきさつを知らない人は突然、現れたように思うかもしれないけど、実は僕がこういう打ち込みの音楽を作るようになってからアレンジに加わってもらったりとか、曲を作ったりとか、そういう絡みがあるんで、僕の曲や打ち込みに対するギターのアプローチは信頼できるし、もともと歌モノのバンドやってたんで、歌に対するギターのコード進行の当て方がうまい。Yoshidaとは全然違うタイプだからツイン・ギターとして成り立つかなという人選ですね。
-じゃあ、現在の6人は理想のメンバーが揃っているわけですね?
Wada:全員ほぼ同年代で、言い方は悪いですけど、ちょっとくすぶっている。今、音楽をやっている意味を噛みしめながら音を出すっていうのも悪くないかなって感じが僕的にはあるんですよ。もう1回、挑戦するみたいなね。
-ところで、Okabeさんの歌声って歌モノの曲に合いますよね?
Okabe:ですよね(笑)。前作まではヴォーカルにエフェクトを加えてたんですけど、今回はほぼ加えずに本来の歌声を大切にしました。ライヴも含め、歌の力でどれだけできるんだっていう挑戦でもあるんです。
Wada:サウンドの処理は1枚目から僕がやってるんですけど、前作もたぶん、今回みたいな処理をすれば、歌モノに聴こえる曲ももっとあったんじゃないかな。逆に今回ももっとエフェクトをかけちゃえば、歌モノに聴こえない曲もあったかもしれないけど、作っている段階から今回は完全に"バンド"っていうキーワードがあったんで、バンドにエフェクトなんてかかってないよなって。最近、強く思うのは、打ち込みの音楽がめちゃくちゃ多いじゃないですか。しかも、それが多ジャンルに渡っててみんなかっこいい。ただ、僕が思うに、めちゃめちゃ歌えるバンドっていないんですよね。1回聴いてかっこいいって思っても、サビのメロが思い浮かばないとか、口ずさむのは歌ではなくシンセのフレーズだったりとか、そうじゃなくて、Okabeが戻ってきたうちの良さって何だろうって言ったら、やっぱり歌だろうって。だから今回はそこを押し出しました。他の打ち込みのバンドと比べたら、ひょっとしたらかっこよくないかもしれないし、"打ち込みっぽくなくね?"って思われるかもしれないけど、でも、他のバンドとの差別化を考えると、やっぱり歌かな。そこは意識しました。
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