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INTERVIEW

Overseas

FIDLAR

2015年10月号掲載

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Member:Zac Carper(Gt/Vo)

-よくデビュー・アルバムが良かったバンドが2ndアルバムで挫折するという話を聞きますが、そのことは懸念していましたか?

"2年目のスランプ"っていう言葉もあるくらいだし、簡単ではなかった。1stアルバムでそれまでの作品はすべて出し切ったから、2作目はまたイチからのスタートだったし、どうしたらいいかなという思いはあったよ。

-人からの期待もありますしね。

そうそう。1stアルバムがもっとパーティーっぽかったから、リスナーはパーティー・アルバムを期待していたんだと思う。でも、申し訳ないけど俺にはもうパーティー・アルバムは作れないんだ。アーティストによっては、同じ内容のレコードをずっと作り続けることができる人もいるんだと思うけど、でも俺はそのときの自分に関してを表現した作品を作りたいから、それができない。自分の周りで起こっていることが作品のベースになるからね。1stアルバムのような作品を、作ろうと思えば作れたんだと思う。でも、それではウソをついていることになってしまうから俺はやりたくない。誰かのフリはしたくないんだ。

-今作のために何曲くらい書きました?

30曲くらい書いたんだ。そのうち最初の22曲はクソだったけどね(笑)。その最初の22曲は、バンドのサウンドを意識しすぎていて......書いてみて、俺自身にそれが機能しないことに気がついたから、使わないことにした。その時点から、自分自身のために曲を書こうと意識を変えることにしたんだ。曲が全然違うものになるわけだから、もちろん怖くもあったよ。曲がもっと感情的になって、もっと悲しくなるわけだから。その点は容易ではなかった。いろいろ考えたね。

-その前回とは違うサウンドをバンドに聴かせたときのメンバーの反応は?

めちゃくちゃエモだなって言ってた(笑)。

-びっくりしてました(笑)?

まあね。でもすごくサポートしてくれた。最初は頭の中がクエスチョンマークだらけだったみたいだけど(笑)混乱はしていたよ。前はガレージ・ロック、パンク・ロック寄りだったのが、ストレートなロックンロールの領域に入ったわけだからね。俺は挑戦が好きだから、その変化は楽しかった。これからもいろいろな種類の曲を書いていきたいと思ってるんだ。

-前作と違いセルフ・レコーディングではなくプロデューサーのJay Joyceとレコーディングに入るのはどうでしたか?

彼は本当にいいプロデューサーで、いろいろと助けてくれたよ。最高だった。彼ってすごくクレイジーなんだ、マジで(笑)。超エキセントリックで、俺と似たところがあるんだ。

-彼が今作にもたらしてくれたものとは?

たくさんのプロデューサーに会ったけど、彼とが1番気が合った。俺が経験してきたこと、乗り越えてきたことを彼が1番理解してくれたんだ。彼も似たような経験をしてきたから、俺の気持ちがわかるんだよな。ときどきすごくナーバスになったり、不安になったり......どうしていいのかわからなくなるときがある。それを彼は理解してくれるんだ。彼とはそういう経験についてたくさん話したし、お互いの背景を共有することができた。だから気持ちが楽だったし、作業がすごくしやすかったんだ。彼は、サウンドの形を整えてくれたと思う。特にヴォーカルに関してはそう。俺にたくさんのヴォーカルを試させて、どのキャラクターが曲に合うかをみていったんだ。

-1stアルバムよりも音楽の幅が広がったと印象を受けました。同時に前とは違い、お酒とドラッグについての歌詞が少なく、逆に暗い歌詞が多いと感じました。先ほども話してくれましたが、具体的にどんな変化があったのですか?

大人になったのさ(笑)。毎日パーティーをして、毎日ドラッグをやって、毎日酒を飲んでいると、同じことの繰り返しで、自分がつまらない人間になってくる。あるとき、自分が書いている曲がすべて同じでめちゃくちゃつまらないことに気がついたんだ。飲みまくって、友達とハイになることしか歌ってなかった。コーラスやメロディ、歌詞は違っていても、内容はすべて同じ。似たような曲を繰り返し何曲も書いていた。2ndアルバムにTrack.8「Overdose」って曲があるんだけど、あれは1ヶ月の間に2回過剰摂取(=オーバードーズ)した自分を振り返っている曲なんだ。

-そんなボロボロな状態から、よく回復できましたね。ドラッグや飲酒を断つきっかけが何かあったのでしょうか?

実は、きっかけはガールフレンド(笑)。彼女が俺を変えてくれた。彼女が俺をリハビリに入れてくれて、でも入っている間は俺はフラれてしまったんだ。Track.5「Sober」っていう曲は、その経験に関しての曲だよ。リハビリに入って彼女にフラれてからは、とにかく自分を良くするしかなかった。あのとき別れてくれたのは、彼女が今まで俺にしてくれたことの中でも1番の選択だったと思う。何ヶ月か前によりは戻したんだけど、あのとき彼女が俺と別れていなかったら、ここまで頑張らなかったと思うね。彼女のために頑張ろうって思えたんだ。本当に強い女性だよ。