Overseas
2015年10月号掲載
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FIDLARは、時に破天荒と評される。たしかにセルフ・タイトルを掲げた1stアルバムは、猥雑で荒々しいガレージ・パンクにひたすらドラッグやアルコールについての歌詞を載せるという、まさに勝手にしやがれと言わんばかりのパンク精神を地で行くものであった。しかし、前作から2年以上のインターバルを経て完成した『Too』の根底にあるのは、NO FUTURE的なパンク観ではない。ソングライターであるZac Carper自身も"大人になったのさ(笑)"と語る通り、ここでは現実に中指を立てつつも地に足のついたロックンロールをまっすぐに聴かせる。抑えきれないオルタナティヴな衝動を爆発させるTrack.2、どこかブリティッシュな香りを漂わすTrack.4やTrack.7、新たなポップ・センスの開花を感じさせるTrack.10など、2作目のジンクスをぶち破る気概を見せつける。(山元 翔一)
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