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INTERVIEW

Japanese

FOLKS

2015年02月号掲載

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Member:岩井郁人 (Vo/Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

FOLKSの2ndミニ・アルバム『SNOWTOWN』は、タイトル通り彼らの住む北海道の雪の街が描かれている。それも、まるでそこにある空気や感触をそのままパッケージしたかのように、歌と共に美しく凛とした銀世界が再生される作品になった。アレンジ力を活かし、5人で濃密に作り上げているのは相変わらずながら、今回はさらに大胆に実験やチャレンジをしているという。音遊びや細かなディテールを積み重ねながら、それが実験音楽的な佇まいではなく、普遍的で、フレンドリーなポップスに仕上がっているのが面白い。

-『SNOWTOWN』という今の季節にぴったりの作品ができあがりましたね。もともとテーマ的には冬ということで作り始めたんですか。

そうですね。「冬の向日葵」自体はかなり前からあった曲で。それこそインディーズ盤の『Take off』(2013)を作る前から原曲はあって、アレンジもなんとなくは完成していたんです。でも、せっかくなので冬にリリースしたいなと思って。それじゃあこの曲を含めたミニ・アルバムを作ろうと思ったのがきっかけですね。冬の作品を作るのであれば、僕たちの住んでいる、雪の降る街を歌いたいなと思って作り始めました。

-その「冬の向日葵」は、直球ラヴ・ソングですね。

FOLKSにとっちゃ珍しいくらいにストレートな曲で(笑)。狙ったんじゃないかとか、モード変えたんじゃないかって思われるかなと考えもしたんですけど。自分的にはそんな考えはまったくなくて、ひとりの人を喜ばせたい気持ちで書いた曲なんですよね。大多数の人に届けるとか、もっと大きな舞台のためにとかじゃなくて、単純に、喜んでほしいとか、目の前の人に伝えたい気持ちを書いた曲で、すごく純粋な気持ちから生まれているんです。その歌をより引き立てるために、冬っぽいアレンジを考えていきましたね。例えば歌詞に"観測史上いちばんの大雪"とあるんですけど、吹雪の後、一面の雪景色に太陽の光が反射している朝の感じを音に変換したらどんな音だろう?って、音をチョイスしていったという感じで。

-「冬の向日葵」と「それぞれの日々へ」では砂原良徳さん(ex-電気グルーヴ)がプロデュースを手掛けていますが、どういったいきさつがあったんですか。

砂原さんは、インディーズ・リリースした『Take off』のマスタリングをやってもらったんです。砂原さんも北海道出身で同郷なので、親身になっていろいろとよくしてくれていて、同じイメージを共有できているんですよね。

-その土地ならではの景色だったり、空気感もわかる?

そう。共通言語も多かったし、あと何よりも僕らも砂原さんの作る洗練された音が大好きだし、砂原さんもすごく好いてくれていたので。自分たちではまだ自覚できてないような部分を伸ばしてくれたというか。"FOLKSのいいところを大きくしたいんだ"と言ってくれていて。とにかく音の職人なので、僕らが知識不足で、イメージを音に変換する段階でわからない部分を教えてもらったり。イメージを具現化するために協力してもらいました。

-エレクトロの音の粒の立ちかたが以前よりも鮮明になっていて、ポップさを増していますよね。そういった面も意図してのことだったんですか。

砂原さんと、あとはミックスとマスタリングがROVOの益子(樹)さんの黄金タッグで(笑)。そのふたりと関わらせてもらって、音の洗練されている感じはすごく出ているんじゃないかなと思います。

-同じく砂原さんのプロデュース曲が「それぞれの日々へ」です、これも凛としたポップ性が出ている。

原曲は兄ちゃん(岩井豪利)が作っていて。今まで90年代ロックっぽいものを作ってきたけど、兄ちゃんの中にもこういう歌心みたいのがあるんですよね(笑)。でも得意とする部分ではなくて、"何となくの雰囲気とAメロくらいまでできていて、そこから進まないんだよね"って俺に聴かせてくれたんです。どちらかと言えば僕が得意とするような感じの曲だったから、聴いた瞬間に最後までできたんですよ。だから、これは任せてって言って1コーラス作って。その時点で、砂原さんにどんな展開がいいですかね?って助言を求めたんです。

-FOLKSの曲としては長尺で、ストーリー性のある展開の曲になっていますが、アドバイスが利いているんですね(笑)。

そうなんです(笑)。面白いのが、最初はまったくソロ部分を入れる予定はなかったんですよ。砂原さんに渡したら、ソロを作ってくれて。まったく僕らの中にはなかったソロの発想であり音階でもあったし。この曲にサイケデリックなフレーズがくるっていう偶発性――砂原さんにとっては必然だったんだと思うんですけど、僕らにとっては予想だにしなかったことだから感動して。"これは入れましょう!"っていう。