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INTERVIEW

Japanese

FOLKS

2015年02月号掲載

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Member:岩井郁人 (Vo/Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-素材は常に、レコーダーみたいなものを持ち歩いていて録っているんですか。

そうですね。あとは家の中で1番いい機材を使って、風呂場に行って、自分のハンドクラップの音を鳴らしたものを録音して。その音の波形を解析して、音の響きを再現できるエフェクターがあるんですけど、それでお風呂場での響きを再現したりとか。響きのサンプルを録るんです。近くの公園のトンネルがすごくいい響きなんですけど(笑)。そこでの音を採取したりとか。あとは、自分の心臓の音を録って、バスドラとして使ったりとか。

-へええ、そんなところまで。

コンロのピッて音をサンプリングして音階にして、フレーズを作ったり。楽器じゃなくて、純粋な"音"を楽器に変換できないかなと考えたんですよね。それって無限の可能性だと思うので。今回はアルバム全体を通しても、そういう音を使ってる曲があるんです。「冬の向日葵」の最初のキラキラとした音も、あれは楽器ではあるんですけど、既存の鉄琴の音に聞こえないように編集してみたり。

-その面白さを見出したのは何だったの?

やっぱりこれも、1年間いろんな人と関わって、いろんなイベントに出させてもらって、いろんなバンドと話をしたり対バンする中で、"自分たちらしさって何かな"って思って。みんなそれぞれにいいところがあるなと思ったんですけど、じゃあ俺たちのいいところって何だろうなって思ったら、やっぱり北海道の街で発信していることで。北欧っぽいとか、北の空気を感じると言ってもらえることが多かったから、自分たちの住んでいる世界の景色を音に変換してみたいなと思ったんですよね。そのときに考えたのが、既存の楽器の使いかたではなくて、もう少しオリジナリティのある変換ができないかなと。音に影響を受けて音を作るんじゃなくて、もっと抽象的なもの、景色とかを音に変換したいっていうモードなんです。

-そうやっていろんな音を採取しては波形を読んで、再現しているんだ(笑)。かといって突飛なものに仕上がってない、自然で音楽的なものにもなっている。エレクトロ色の強い今回の中でも、「UNIVAS」はよりデジタルに振り切った感じがありますが、この曲はどうですか。

実はこれ、リズムは打ち込みなんですけど、ベースのブ、ブ、ブっていう音とか、裏でファ~って鳴ってるコードは、自分の声なんです。リズムは自分の声ではないんですけど、それ以外のところで自分の声で曲を作れないかなと思ったんですよね。それで、自分の声を録りためてみたんです。まずベーシックなドレミファソラシドを録って、そのオクターブ上、さらにオクターブ上、オクターブ下......とか、あとはちょっと声をこもらせて録ったり。はーっていう長い声を音階別に録ったりとか、いろんなものを録って作った曲なんです。自分の声だけじゃないんですけどね。

-冒頭のベースって、シンセベースじゃないんだ?

自分の声なんですよ。これはほんとに実験していく中でできたのが、そのまま曲になったものなんですよね。好き勝手やってるというか(笑)。

-新しい作り方ですね。こうやって作品に収録された曲以外でも、そういった遊び心で作っている曲はあるんですか。

結構ありますね。最近作ったのは完全に楽器を使わないもので、キックの音がさっき言っていた心臓の音で、ワイングラスを叩いたものをサンプリングしてフレーズを作ったり。それが鉄琴にはないような、若干不協和音的な音が入るんですよね。それでサイケデリックな雰囲気を出してみたり。そういうまったく楽器じゃないものを楽器に見立てて作った曲もあるんですけど。それはさすがにバンドではできないかもなとは思うんですけど(笑)。そういう実験がバンドの曲に落とし込まれたりするので、常にそういうことはやっています。

-FOLKSって、始まったころは、幼なじみが集まってわちゃわちゃと楽しそうにやってるというイメージも強かったけれども(笑)。作品を重ねながら、いいバランスで個性が曲に出始めているし、しっかりと"バンド"になってきていますね。今回はそれがよくわかりました。

今までは自分たちの好きな音楽、好きなおもちゃで遊ぶ感じだったけど、いろんな人と関わる中で、自分たちが何者でどんな音楽を鳴らしたいのか、オリジナリティって何だっていうことをずっと考えてきたし。ライヴをしていく中で、FOLKSのことを好きでいてくれる人や、他のバンドのお客さんやスタッフ、いろんな人と関わって、それぞれ自分の自我というか、何をやるべきかを考えたし話したんですよね。友達から始まったバンドだけど、よりもっと、パートナーというものになってきたと思うんです。