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INTERVIEW

Japanese

イツエ

2015年02月号掲載

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Member:瑞葵 (Vo) 久慈 陽一朗 (Gt) 馬場 義也 (Ba) 吉田 大祐 (Dr) 

Interviewer:沖 さやこ

-そうだったんですか。とてもコンセプチュアルなアルバムなので、きちんとした設計図があるのだと思っていました。

馬場:そこはうまーく、すっと繋がるような流れにするために、ドラムやベースの音ひとつひとつにしろ、曲順から何から何まで考えてレコーディング中に微調整しましたね。例えば完成していなかった8曲目の「グッドナイト」も、録りながら調整しました。僕がパソコンで作ったデモを持っていって"あと1週間で録るから自分のフレーズ考えてきて"と1回だけスタジオに入って、3、4回合わせてそのままレコーディングに入っちゃって。他のメンバーには無茶振りに近いし(笑)、僕自身も完成形が見えないままだったんです。前日までメンバー全員がそれぞれ悩んでいたので、リアルなものになりましたね。考えて考えて構成したものではなく、そのときにバッと出たものをストレートに出しているので、以前の曲と比べると対比があって面白いと思います。

-そういう初挑戦があったんですね。馬場さん以外のメンバーさんは、今回の曲作りの方法はいかがでしたか?

吉田:一昨年くらいまで楽器隊でセッションしてオケを作って、そのあと瑞葵がメロディを作ることが多かったんですけど、今回は馬場がデモを持ってきて、それを各々のフレーズに変えて録るというやり方だったんです。......人の考えたドラム・パターンは新鮮だなあと思いました。

馬場:うざいだろうね(笑)! "これ嫌がるかな? でも吉田ならやってくれるだろうな!"と思いながらギリギリのところのパターンをパソコンで打ち込んで......。あえて再現不可能なフレーズを突っ込んで、"吉田はどうしてくるかな?"と試してました(笑)。

吉田:手が3、4本ないと再現不可能なものもありましたね(笑)。だから自分なりに変換するのは大変でした。持っていって"違う"と言われたらまた考えて......(笑)。

久慈:ギターも同じですね。でも僕はもともとあるものに足したり引いたりするのを考えるのは好きなので、楽しかったです。何もないところから作るのも好きですけど、あるものをぐにゃっと変化させるのも好きですね。

馬場:もともと僕はギターもドラムも経験があるので、最低限のフレーズは作れるんです。でも細かい部分になると創造性も技術的にもふたりには敵わない。"ここからは頼む!"というところと、僕が"これで行こう!"と指示するところの両方がある――個性が出つつ、まとまっている楽曲が作りたいとは思っていますね。

-なるほど。『今夜絶対』というタイトルが出てきたのは?

瑞葵:レコーディングが終わったくらいのときですね。"早く決めないとまずいよ"と言われて(笑)。でもそんなに苦しんで出したわけではなく、すんなり出てきたタイトルなんです。すごくキャッチーなので、結構お気に入りです。私は小説がすごく好きで、本屋さんで好きな作家さんの本を見たあとに、なんとなく順々に本のタイトルを指で辿っていって、パッとタイトルに惹き付けられた本を買ったりするんです。だから、このアルバムが小説だったら、買う人が"どんな中身なんだろう?"と気になるようなタイトルにしよう!と思って。いろいろ考えたタイトルを並べて、この"今夜絶対"というタイトルが1番気になったんです。"今夜絶対"という言葉の後ろを人に考えてもらいたい、"今夜絶対"という言葉のあとに何があるんだろう?という含みを持たせたタイトルですね。

馬場:このアルバムの帯のキャッチ・コピーの"いつかじゃなくて、今夜絶対"も瑞葵が考えて。僕はそれがすごく好きなんです。"あ、いつかじゃだめなんだ"とハッとさせられて。すごくいいなと思います。

瑞葵:......やっぱり(CDを)出すまでに2年掛かっちゃってるので。いつか出すんじゃなくて、絶対出す、今年中に出す。自分や自分の現状への戒めも含んでますね。わりとやること後回しにするタイプなので(笑)。

馬場:1、2年前から瑞葵はそういう自分を"変えたい"って言ってたもんね。

瑞葵:そうだね。この2年でもどかしい気持ちや、変わらなきゃという気持ちも大きかったし、決断や選択をしなきゃいけないときがあって。小さい選択を避けていくと、大きい選択にぶち当たっちゃうんです。極端に言うと、生きるか死ぬか――そうするともう取り返しがつかなくなる。そうなる前に今夜絶対こうしておこう、今夜絶対に○○観ておこう......そういう気持ちが最近すごく強くて。だから"今夜絶対"という言葉には自分のそういう気持ちも合わさってますね。

-みなさんのリアリティが、そのまま素直に音楽や言葉になっているんですね。今回どの曲もラヴ・ソングですが、一人称が"僕"のものもあれば"わたし"もあって、Track.7「10番目の月」は数え歌のような歌詞も特徴的でした。なので、いろんな角度から物事を捉えて、それぞれを歌詞で表現しているように見えました。

瑞葵:「10番目の月」は遊んでしまおう!と(笑)。今まで歌詞に対して"この言葉は使っちゃいけない""この言葉を使うのはダサい"とかで、自分自身を縛り付けていた部分があったんです。だからそういうものをなくしてみよう、面白いことしてみようと思って、一見意味なさそうだけどありそう、だけどなさそう......もしかしたらあるかもしれない、という言葉遊びを使った曲ですね。