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INTERVIEW

Japanese

fogliar

2015年01月号掲載

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Member:山口 香月 (Vo/Gt) 今野 綾希子 (Ba) サカイカズキ (Dr)

Interviewer:山元 翔一

2010年に結成された"都会の中心で深夜に嘘を叫ぶバンド"、fogliarが初の全国流通作品『INTRODUCTION』をリリースする。世界や他人に裏切られ、傷ついても世界も他人も信じていたいという願いを綴り、力強く音楽を奏でる彼女たち。Skream!初登場となった今回は、バンドの根幹となる部分と『INTRODUCTION』について山口 香月(Vo/Gt)を中心にメンバー3人にメール・インタビューを敢行した。

-Skream!初登場ということで、バンドの大まかなプロフィールをお訊きしたいと思います。2010年に、fogliarの母体となる活動を開始させていますね。活動開始時のことについて詳しく訊かせていただけますか。

山口:私と今野が同じ音楽の専門学校に通ってまして、各コースからメンバーを集めてバンド形式で行う授業がありまして。そこで初めて今野と会ったのが始まりでしたね。何か陽気な奴がいるし音楽の趣味も似てるし、いいなと思ってました。もともと学校へ入ったらとにかく"早い段階からバンド組んでやる!"と思っていたので、ベース弾いてもらうならこの人がいいかなと。そこからギターとドラムを探して何とかバンドっていう形にして、学内イベントでライヴしたのが始まりですね。

今野:専門学校での自己紹介のときに、なんだか近寄り難いオーラを出してるけども、音楽の趣味が結構合いそうだし仲良くなりたいなと思ったのが山口でした。通っていたコースが違うので会えるのは週1回だけだったのもあり、打ち解け始めるのに1、2ヶ月ぐらいはかかった気がします(笑)。でも、ある日突然バンドを組まないかと山口から誘われまして。そのとき私はすでに学外でバンドを組み残りのメンバーを探していたのですが、音源を聴いてすぐにこの人とバンドをやりたいと思いました。その曲が今回のミニ・アルバム6曲目の「vein」です。高校生バンドのまだ右も左もわからない演奏でしたが、鳥肌が止まらなかったのを覚えています。もちろん私も当時はTAB譜を見ないと弾けない程度のスキルでしたが、もっといい曲にしたいしたくさんの人に聴いてもらいたいと思いましたね。あとは山口の言っている通りですが、初ライヴを終えてから、本気で一緒にバンドをやりたい人を探し、しっかりとバンド活動を開始したのが9月あたりでしたね。

-結成当初から音楽性や活動の軸となる部分はどのように変化してきましたか。

山口:バンドを組んだばかりのころは、とにかくMONOBRIGHTが大好きだったので(笑)。なんかあんな感じの、明るい雰囲気の曲ができたらいいなと、なんとなく思ってやってたんですけど、そもそも生まれて初めて作った曲が「vein」って曲だったので、どう考えても明るい雰囲気のバンドができるはずはなかったんですけど。でもしばらくの間は明るい曲調で、歌詞もメッセージ性の薄い曲をやってたりしたんですけど、途中から居心地の悪さを感じ始めてしまって。明るくて楽しい曲をやるんじゃなくて、"自分のことを素直に歌った歌詞を1番大事にして、それを上手く聴かせる曲を作ればいいんじゃないか?"と思うようになりました。この部分は今も1番大事にしているところです。

-"都会の中心で深夜に嘘を叫ぶバンド"というコンセプトはいつごろ固まったのですか。また、どのような意味を込めていらっしゃいますか。

山口:コンセプトは、fogliarというバンド名が決まってからですね。とてもお世話になったライヴハウスのかたに、"バンドを上手く表現できる言葉とか考えてみたらどう?"って言われたのがきっかけでした。もともと今のバンド名で活動していなかった時期があったので、コンセプトが決まったのは結成してから1年程経ったころだったと思います。さっきも言いましたけど、初めて作った曲が「vein」という曲で。これは私が高校時代に渋谷でライヴを観た帰りに公園通りのスターバックスで友人といろいろ喋っていたときのことを歌っている曲なのですが、都会でライヴを観て、いろんなことを考えながら誰かと喋ったりひとり帰路に着くというのはとても貴重で幸せな時間だし、とても非日常で特別だなと当時の私は思っていたんです。昼間は学校へ行って勉強だったり部活動だったり、それも自分の時間だけれども、それから解放される夜になると本当にもう、自分ひとりだけの時間なんです。その夜っていう時間帯をどう使って行くかっていうのが、昔も今も自分にとってとても大切で。"都会の中心で"という部分は正直どうでもいいというか、都内中心に活動してるしわかりやすいかなと思って付けた部分もあるんですが(笑)。"深夜に嘘を叫ぶ"というのが、このバンドにとって大切なコンセプトになってるのかなと思います。本当にひとりになる時間帯に、誰かに対して嘘をつくって、きっと相手のことを思っての優しい嘘だと思うんです。

-"fogliar"というバンド名は、"fog=霧"と"liar=嘘つき"というふたつの言葉からなる造語だと思いますが、バンド名の由来を教えてください。

山口:バンド名を新しくしようとなっていたときに、バイトが終わって駅から徒歩で家まで帰っていたんですけど、そのときちょうど雨上がりで薄く霧掛かっていたんですよね。それがやけに心に引っ掛かって。霧って、先に何があるかわからなくすることもできるし、映画とかでもそういう恐怖心を煽るような使われかたが多いと思うんですけど、見たくないものとかも隠してくれると思ったんです。誰かに対して優しくない言葉や嘘を投げつけたとしても、そこに霧みたいな優しいものがあったら、伝わりづらいことも伝わるかもしれない。気を遣ってばかりで自分の心に嘘ばかりついていたとしても、何かワンクッションあれば笑っていられるのかもしれない。そんなことを考えて、このバンドが誰かにとってのそういう役割を担ってくれる存在になれたらいいなと思ってfogliarというバンド名を付けました。

-また、バンド名にも通じることかと思いますが、世界や他人に対する不信感を歌う一方で、どこか世界も他人も信じていたいという願いのようなものを感じました。作詞の際はどのようなことを意識されているのでしょうか。

山口:まさにさっき言ったことかなと思います。人はどう足掻いたって孤独からは逃げられないですし、平気で嘘もつくし自分が助かるためなら他人を傷つけることもやってのけるじゃないですか。だけど、正義と悪には分けられないと思うんです。悪にだって悪なりの正義があるし、悪から見たら正義こそ悪なのかもしれないですし。生活する中でたくさんの人と関わって、傷ついて傷つけられてを繰り返して、もう絶対に誰かを信じることなんてしない! って思うこともあるんです。あるんですけど、人はひとりでは生きていけないですし、希望がないとやってられないじゃないですか。それに傷つけられた次の日にはそんなこと忘れて笑ってるなんてこともあるんです。でもそう上手くいかないこともあって、モヤモヤして終わらせるのも嫌だな、と思うので、自分の書く歌詞の中でだけは、ちゃんと答えを見つけてあげようと常に思って書いてます。