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INTERVIEW

Japanese

THE PRIVATES

2014年10月号掲載

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Member:延原 達治 (Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

THE PRIVATESの結成30周年記念アルバム『Les beat』がリリースされる。ブリティッシュ・ビートやガレージ、ブルースやリズム・アンド・ブルースを日本語のロックンロールに昇華してきたバンドの中でも、どこか華のあるバンドであり続け、ワクワクするラヴ・ソングが違和感なくハマるバンドでもある。時代は巡り、新旧の音楽を並列して聴ける時代だからこそ、曲の良さやミュージシャンの人間的なチャームに再び光が当たる中、新鮮な驚きを持って、そして言語化できなかった"ロックンロールのかっこよさ"をこの30年選手のニュー・アルバムで体感してほしい。今回はメイン・ソングライターでヴォーカルの延原達治に話を聞いた。

-まずは30周年おめでとうございます。

ありがとうございます(笑)。

-実際にできたアルバムを聴くと、まずモノラル録音の良さっていうのは聞いたことはあるんですけど、実際こういうことになるんだっていうのを実感したというか。すごい塊でくるものなんですね。

俺たち、2000年代入ってから、モノラルでの録音は結構多いんだけど。わかる人はモノラルとステレオの違いがこれぐらい違うんだっていうのがわかってると思う。でも意外と気にしてない人はバーッて聴いても、ステレオとモノラルってどう違うの?って思うんじゃない(笑)?"いや、こういうふうに音が分かれてなくて、平面でくるんだよ"って。だから横の広がりじゃなくて奥の問題になってくるんだよね。

-THE PRIVATESの求めてきたサウンドの現在形がモノラルっていう表現をとっていて、しかもそれが新鮮なものだと証明されている感じがして。

家で自分が聴いてたりする音楽の圧倒的な比率が、モノラルのほうが多いねっていうのもあったりね。新しいレコードももちろん聴いたりするから、それだけじゃないんだけど、でも時間の比率で言うと、自分でセレクトしてターンテーブルに乗せるなりなんなりっていうと、モノのほうが多かったりするんで。それに選択肢として、決まりがあるわけじゃないしね(笑)?

-90年代のアルバムのほうがサウンドはきらびやかだったりしますよね。

そうね(笑)。だと思う。やっぱり、80年代とか90年代までは、違った意味でのハイファイみたいな、録音に対するチャレンジというか、みんなも俺たちもあったし。しかもチャレンジの方向が、後ろを振り向いて前を見るっていうものじゃなかったしね。日常の生活や時間軸で言えば、過去のものを多く聴いたり、咀嚼したかったりしてる割には、やることは前しか見てないみたいな時代だったと思うよ。でもやっぱどうだろうね?90年代が終わる頃に、もう自分の中でも時間軸は全部フラットで、明日を迎えていいんじゃないか?っていうふうになったようなところはあった気がして。そこからだね。

-延原さんが歌う歌詞のメッセージは、大きく変わることはないんだなと思ったんですよ。

そうね。ただどうしても自分たちを取り囲む環境っていうか、狭い環境じゃなくして、もっと大きな環境でいうと、やっぱり震災以降かもしんないけど、大きくいろんなことが変わったりとか、なんか目に見えてこれって不条理じゃん?ってこととか。具体化してるでしょ?いろんなことが。だからそれに関してメッセージってカタチで何かをメッセージしてるわけではないんだけど、一観察者としてそれを見た時に、自分の言葉で吐き出した時に、平時というか何もない時に比べたら、やっぱりメッセージとして浮き立ってくるみたいな側面もあったりはするよね。でも、やっぱ自分の作った曲、ずらっと並んでるのを見ると、究極の自分の抱えてるメッセージはラヴ・ソングの方がそうだよね、って気はする。

-でも逆にロックンロールでラヴ・ソングを歌える人が今、あまりいない気もするわけですよ。ロマンティシズムみたいなものを引き受けて歌える人。まあもうちょっと大きな意味でのロックンロールのロマンみたいなものは甲本ヒロトさんしかり、歌い続けてるとは思いますけど。

(甲本)ヒロトたち(クロマニヨンズ)のは、あれなんだっけ?「キスまでいける」だよね?こないだシングルもらったけど。俺は「キッスを、もう一度」だから(笑)。"いけたどころじゃないもんねーみたいな。

-(笑)できる人はわずかですよ、それは。それにロックンロールが板に着くだけじゃなくて、相変わらずワクワクする部分があるってすごいことだと思いますけど。

自分たちではわかんないけどね(笑)。自分たちも、まあワクワクしながらやってるから。新しい曲はやっぱり"わあ、嬉しいな"って感じなので。ライヴも新曲ばっかりでいいよな?みたいになっちゃう。

-自分たちが影響を受けてきたもののかっこよさ、その理由がどこにあるのか?その魔法を知っていく段階が、THE PRIVATESってバンドを通して証明されてる気がするんです。

繰り返しだったりするもんね、なんに影響受けて、何がかっこいいと思って、どのフィーリングを手に入れたいんだ?って、なんとなくいい感じになってんじゃねえか?と思うと、人の真似じゃしょうもねえよな、次のページをめくんなきゃって感じもあったりするし。だからそういう感じでエンジンは回ってるのかなって気もするし。