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INTERVIEW

Japanese

阿部真央

2014年08月号掲載

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Member:阿部真央

Interviewer:沖 さやこ

-今回、このシングル・コレクションを聴いて、どの曲も人間誰しもが思うことを阿部さんのフィルターを通して表現していると思いました。昔から聴き手のことを考えて曲作りをなさっていたのでしょうか。

そうですね、それは昔から結構あって。今はライヴのお陰で聴いてくれる人の顔も見えるので、その人たちに届くようにというのは考えているんですけど、もともと自分が言いたいことをより誰でもあてはまりやすいように抽象的に伝えるにはどうしたらいいんだろう?と考えたり。勿論全部が抽象的でなくてもいいんです。(自分以外の人にとっても)わかりやすいものというか。どうしたら共感してもらえるかな?と考えるのは昔からですね。

-その動機としては?

共感する曲のほうが聴いてもらえると思ったんですよね、単純に。それに音楽は、伝わるということに非常に意味があると思うので。......んー、これを言葉にするのは難しいな。でも、とにかくわかりやすくしたかったんです。わたしはポップスも好きだし、わかりにくいものが嫌いなので、ストレートにというのはそういうところから来てるのかなと思います。誰でもその状況に身を置きやすかったりするべきだと思っているので。

-聴いている今の自分の心にシンクロするだけでなく、昔の甘酸っぱい感情を思い出したりできるのも阿部さんの曲の魅力かなと思います。そしてどの曲も阿部さんの価値観を通しているから、説得力も増すし。

ありがとうございます。"大丈夫だよ、君はひとりじゃないよ"とは歌ってないですからね。寧ろ"みんなひとりだよ"って歌ってるし(笑)。

-はははは(笑)。

(笑)ひとりじゃないときもあるかもしれないけど、そうじゃないときもありますからね。

-阿部さんの曲を聴いて元気をもらう、背中を押してもらえるという女の子はすごく多いので、それはアーティスト阿部真央の強みのひとつだと思います。

わたし自身はそんな風に思ったりあんまりしないんです。どのアーティストさんでも、ファンの人ならそう言ってくれるんじゃないかな?と思うんですよね。最近の曲でも"~するなよ"と歌ったりはしているけれど、それはやっぱり自分に対して歌っているものなので。人のことを応援するほどの余裕はわたしにはないですし。でも、元気になってもらえれば、とは思いますね。

-阿部さんはご自分に向かって歌っている。

それが多いですね。わたし自身が、自信がまったくない人間なので。それでも"こういう人間になりたい"とか、そういう希望を歌っていて、そのためにはこうやって生きていかなくちゃいけないなとか。そういうことを題材にすることが多いですね。前は恋愛の歌も実体験を歌っていたんですけど、最近は自分の感情をもとにしていれば......たとえば曲中で見せる情景とかはフィクションでもいいのかなと最近は思ったりもしています。昔の曲にも、何曲か友達に向けて作った曲もあったりするので。......やっぱり"最終的にどういう曲になったか"というのが大事ですよね。だから作ったときの自分の感情はどうでもいいかな、と思うんです。

-と言うと?

たとえば「貴方の恋人になりたいのです」で若い子が切ない気持ちになりたいと言うなら、わたしはステージに立ったらそう歌うべきだと思うし、元気な曲であれば、それが自分を鼓舞するために作った曲であっても、みんながそれで背中を押されるんだったらそういうテイストで歌うべきだと思うし。曲を作ったときのことは、曲を作っているときにしか考えないですね。

-なるほど。シンガーとしてのポリシーですね。そしてこの『シングルコレクション 19-24』の予約限定生産盤と初回盤のみに付属されるDVDには、未発表の新曲「always」のMVが収録されています。

これは2012年の頭に作った曲で。

-ではあたためていた曲が満を持して。

いや、この曲あんまり刺激がなくて、わたしはあんまり好きじゃなかったんです。そんなに光を浴びる曲ではないかなーとも思って。でもディレクターさんが"この曲好きなんだよね"と言うから、"あー、じゃあやります"って(笑)。で、アレンジしてみたら、刺激のなさがいいほうに転がって、歌い直してみたらまとまって、あたたかみのある曲になったと思います。リラックスしている感じの曲なので、今までの感じにはない、そういう意味では新たな阿部真央の一面として見ていただけていいのかもしれないですね。

-10月10日には初の日本武道館公演が控えています。もう構想は立ってきていますか?

まだ全然なにも。でも今までもセットを組んでライヴをしたりはしていないので、今回もセットを組んだりはしない予定で。なので、武道館でも今までの自分のライヴの延長線上のライヴができればいいなと思っています。