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INTERVIEW

Japanese

nano.RIPE

2014年07月号掲載

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Member:きみコ (Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

90年代以降のガールズ・ロックの流れを汲みながら、閃きに満ちたアレンジとアンサンブルに加え、熱度満点のライヴによってもファンを増やし続けている4人組、nano.RIPE。今年1月にリリースした3作目のアルバム『涙の落ちる速度』から6ヶ月、新たな一歩となるシングル「透明な世界」はTVアニメ"グラスリップ"のエンディング・テーマとなる表題曲他、ど真ん中ストレートのnano.RIPEを改めてアピールする3曲を収録。新たな挑戦とともにバンドの飛躍を印象づけたアルバムから敢えて原点に立ち返った意図を紅一点メンバー、きみコに聞いた。

-3~4月の東名阪ツアーは、きみコさんがインフルエンザに罹ってしまって初日の大阪公演が延期なったり、その後、声帯炎になったりと大変でしたね?

今年の春は散々でした(笑)。大阪公演が延期になったため、結果、1本目になった東京公演で完全復活だ!ってライヴをやって、その後、名古屋まで順調に行ったんですけど、名古屋公演のあと声帯炎になってしまったので、2週間ぐらい本当に沈黙して、大阪公演にギリギリ間に合いましたね。振替公演だったのでさすがにまた延期にはできないと思って、シビアに沈黙してなんとか万全状態で臨むことができました。

-もう大丈夫なんですか?

もう大丈夫です。元気です。もうイヤです(笑)。

-今回のシングルはその頃から制作を始めていたみたいですね?

基本、楽曲の制作はずっとやっているんですけど、その頃から"グラスリップ"の打ち合わせをして、「透明な世界」は作り始めていましたね。

-今年1月にリリースした『涙の落ちる速度』は、やっとベストと言えるメンバーが揃って、初めてそのメンバーでがっつり作ったアルバムで、その時のインタビューで"一歩先のnano.RIPEをアピールできる作品だ"ともおっしゃっていましたよね。今回のシングルはアニメのタイアップということもあるとは思うんですけど、前のアルバムとその後のツアーを経て、どんなnano.RIPEを見せたいと考えていたんですか?

アルバムでは"Acoustic Collection"をカップリングしたりとか、「マリンスノー」というこれまでになかったような曲だったりとか、新しい挑戦をいろいろやったので、今回はnano.RIPEはこんなこともあんなこともいろいろできるんですよと見せたあと、敢えて原点回帰というか、元々のnano.RIPEというか、これがnano.RIPEだというど真ん中のストレートを見せたかったんです。デビューして4年ぐらい経つんですけど、その間のいろいろなものを経て、今のnano.RIPEをストレートに表すとこんなふうになりますよというものを直球勝負で印象づけられる1曲になったと思います。

-ただ、気持ちとしては、原点に戻りつつも原点に戻っただけではないというところもあるんですよね?

そうですね。1周回ってきたんですけど、でも辿りついたここは今まで見てきたものよりもさらに視野が広くなっているという実感はあります。ライヴをしていてもそうなんですけど、今まではがっと入り込んでしまうと自分のことしか見えなくなってしまっていたんですよ。自分のためにしか歌を歌わないという気持ちはこれからも変わらないと思うんですけど、そんなふうに思いながらも聴いてくれる人たちがいて、その人たちからの言葉をもらって、また新しい曲が生まれてっていうサイクルを客観的に眺められるようになったというか、そういうことを意識するようになってからは、これまでどおり自分のために書いてるし、自分の思ったことを書いてはいるんですけど、これがこんなふうに届いたらいいなとか、どんなふうに届くかなとか、そういうところまで想像して書けるようになったんです。今までは本当に吐き出すように書いて、どんなふうに届いてもいいし、それが届かなくてもいいし、これが今のあたしの言いたいことだと思ってたんですけど、その先にいる聴いてくれてる人の気持ちになって......気持ちになってというか、その人たちがいたから生まれた曲というのが今は本当にたくさんあるんですよ。

-アニメのタイアップということで、今回、曲を作るうえでアニメの内容っていうのは、やっぱり意識しているんですか?

まだ1話もできていない状態での打ち合わせだったので、プロモーション用の映像を見せてもらいながら、設定やストーリーを説明していただいてから書きはじめたんですけど、"グラスリップ"を製作しているP.A.WORKSさんとお仕事させていただくのがnano.RIPEは"花咲くいろは"に続いて2度目なんです。"花咲くいろは"では、もう何曲使ってもらっただろうってぐらいかなりの曲数を、オープニング・テーマ以外にも挿入歌とか、挿入歌をそのままエンディング・テーマしてもらったりとか、いろいろ使っていただいて、それから毎年、P.A.WORKSさんがやっているぼんぼり祭りにも出演させてもらってるんですけど、すごく近い距離感でお話できる方たちで。今回もnano.RIPEを本当に理解したうえで、いただいたお話なので、詳しい説明はしていただいたんですけど、好きに書いてくださいって言っていただいたんです。それぐらい信頼していただいたので、アニメの内容は頭に置きながらもけっこう自由に書かせてもらいました。