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INTERVIEW

Overseas

THE VACCINES

2012年09月号掲載

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Member:Justin Young (Vo/Gt) Árni Hjörvar (Ba)

Interviewer:天野 史彬

ギター・ロックの低迷が叫ばれていたUKにおいて、去年リリースされた1stアルバムが全英初登場4位を記録。一躍シーンの救世主的存在となった、ロンドンを拠点に活動するロックンロール・バンド、THE VACCINES。彼らの2ndアルバム『The Vaccines Come Of Age』が早くも到着した。前作が成功したことによる自信も、それによる成長痛も、あらゆる感情をスウィートなポップ・ソングに変換して見せたような表情豊かな全11曲。これはきっと、2ndアルバムのジンクスも軽く跳ね除けてみせるだろう。やはり彼らは本物だった。

-新作『The Vaccines Come Of Age』は、1stアルバム(『What Did You Expect From the Vaccines?』)から格段の進化を遂げていますね。2ndアルバムとして理想的な、凄く充実した作品になったんじゃないかと思います。ご自分たちではどういう作品になったと思いますか?

Justin Young(以下J):確かに、進化は自分たちでも実感しているよ。もちろん、これから進化できるであろうことや、自分たちが進化してきたことを示すことができなくってしまったらお終いだからね。アーティストとしてもエンターテイナーとしても進化し続けることは大切なことで、ずっとし続けなければならないことだと思うよ。

-本作は1曲1曲のソングライティングの幅が凄く広がっていますよね。あなたたちはデビューしてからずっと、“英国ギター・ロックの救世主”的な扱いを様々なメディアから受けてきたと思いますが――。

J:ふふ(笑)。

-(笑)でもこのアルバムを聴くと、それが結果論であって、THE VACCINESが本質的に優れたポップ・ミュージックを求めているバンドなんだなっていうことが凄く伝わってくるんです。本作を作る上で、何か指針となったものや青写真的なものはあったんですか?

Árni Hjörvar(以下A):青写真みたいなものは特になかったっていうもの、プロデューサーのEthan Jones(KINGS OF LEONやRyan Adamsなどを手掛けるプロデューサー)とも話し合った結果、曲主導で制作を進めていこうっていうことになったんだ。このアルバムの制作は、その時その時で自分たちの持っている曲の中から気に入っているものを形にしていく作業だったんだよ。だからこそ、今言ってくれたみたいに曲ごとに幅が出たんだと思う。曲と曲との関係性を考えたりはしなかったし、アルバムの全体的なコンセプトみたいなものも特になかったな。

J:1stアルバムは、もっと元ネタがわかるような曲が多かったと思う。“この曲はあのバンドの曲から影響を受けてるな”みたいなことがわかりやすかったんだ。1stアルバムっていうのは、そういうものだからね。でも今回はどっちかと言うと、自分たちのサウンドを模索して、探していった中で自然発生的に生まれてきたものが音になってるような感じかな。

-じゃあ、特に曲や詞に関して悩んだりすることはなかった?

J:そうだね。曲によっては作るのに時間がかかった曲もあるけど――全体的に悩んだりはしなかったな。それに僕らは、自分たちを積極的に追い込んでいかないと、いいものはできないと思ってる。だから、作品作りでどれだけ悩んだりしても、それも進化の過程に必要なことだよ。

-自分たちの音を模索していった結果、自分たちのサウンドを定義づける何かを見つけたりしましたか?

J:うーん……言葉にするのは難しいな。曲を作るごとに“これこそTHE VACCINESの音だ!”って思うけど、それも曲によっていろんなサウンドがあるからね。僕らは、過去のロックンロールやポップス、パンク、ハードコア……いろんな音楽から影響を受けてるから、どれかひとつだけが自分たちのサウンドっていうわけじゃないんだ。

-イギリスのシーンでは特に、1stアルバムが大きなセールスを挙げたバンドほど、2ndアルバムで躓いてしまう傾向がありますよね。本作を作るに当たって、何かプレッシャーなどはありませんでしたか?

J:それはなかったな。1stアルバムが完成してからもずっと曲を作り続けていたから、2ndアルバムを作るタイミングで既にたくさん曲があったぶん、曲に対する不安はなかった。それに、1stアルバムの成功を通じて自分たちの信念を貫けるようになっていたし、ファンにも信頼をおけるようになっていたからね。自分たちのいいと思ったものはファンにもいいと思ってもらえる自信があったよ。

A:何より、1stアルバムよりいいものができるっていう確信がなかったら、そもそも2ndアルバムは作ってなかったと思う。