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INTERVIEW

Overseas

THE SHINS

2012年04月号掲載

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Member:James Mercer (Vo& Gt)

Interviewer:伊藤 洋輔


-現在、THE SHINSのオリジナル・メンバーはJames Mercerのみとなりましたが、このメンバー一新の理由と経緯を教えてください。

そうだね、結果的にそうなっちゃたんだけど、これは時間を掛けてゆっくり起きたことなんだ。俺は自分の音楽に関して今までとは違う、別の新しいアプローチをしたいと思ってて。BROKEN BELLSをやってから、音楽の可能性というか、音楽にはいろんな面があるってことに気付いて、それをTHE SHINSにも取り入れたかったんだ。だからこれはバンドが変わらないといけないタイミングだなって思ったんだよね。

-ちなみに新メンバーにはBECKのツアー・ギタリストであり、DEEP SEA DIVERとしても活動しているJessica Dobsonが加入していますが、彼女の才能はTHE SHINSに大きな刺激を与えたのでは?

彼女は素晴らしいギター・プレイヤーであると同時に素晴らしいシンガーなんだ。ギターの面で言うと彼女のアヴァンギャルドなテイストがTHE SHINSに新しさを加えたと思うよ。彼女独自の視点があって、面白いアイディアをくれるんだ。それに彼女の持ち味であるダークな部分が加わったと言えるだろうね。

-では新作『Port Of Morrow』について伺います。意味深いタイトル・トラックですが、これは何を意味するのでしょうか?

『Port Of Morrow』は、そもそも地元オレゴン州にある港の名前なんだけど、"出発点"としての象徴だと思ってるんだ。収録曲の「Port Of Morrow」は、船出と命に限りのある人生を重ねてイメージした曲で、悲しいけど人生には終わりがあって、みんなそれに気付かないといけないっていうか。例えば子供もそのうち人生の儚さと言うか、みんないずれ死ぬんだってことに直面するよね。だからこそ生に対する意識をポジティヴに持ってほしいというか、人生にとって死とは根本的なことでありそこから気付く大切なものがある、と。そんなテーマを表現しているんだ。

-なるほど。印象的なアート・ワークはVAMPIRE WEEKENDやACTIVE CHILDで著名なJacobe Escobedが手掛けていますが、まるで"だまし絵"のようにイマジネーションをくすぐります。このアート・ワークの意図は何でしょうか?

フフフ、最初にJacobeと打ち合わせしていた時に話をしたのは何か"エロティック"で"グロテスク"で、かつ美しいアート・ワークがいいねってことだったんだ。そこから彼が絵を描き始めて、丘の上にいるキャラクターも出来てきて......。そうそう、ホピ族アートの話もしたんだ。ネイティヴ・アメリカンの部族のホピ族のアートをイメージして作られたのが丘の上にいるキャラクターと女の人の頭蓋骨の化石なんだよね。

-へぇ、あれは女の人の頭蓋骨なんですね。次に前作でJamesは、家に泥棒が入られたり隣人のクラック・ディーラーには殺されそうになったり、ガール・フレンドとは辛い別れがあり長年の友人とは喧嘩をしたりと最悪の経験がアルバムに反映されたそうですね。新作ではどうでしょう? このような最悪なエピソードが影響されていたりしますか?

いや、今回はまったく違うね。前回のアルバムを作った時よりずいぶんハッピーだから、あまりトラウマ的な経験が含まれてないよ(笑)。そもそも今回のアルバムは俺のことについて書かれている感じではないんだ。前作の『Wincing the Night Away』は抒情的な世界観がメインで内面を綴ることがテーマだったけど、今回は俺の外にある世界、人類全体の普遍的な人間性に関連したことがテーマだからさ。

-プロデューサーにはLily AllenやFOSTER THE PEOPLEを手掛けたGreg Kurstinを起用していますが、彼との作業はいかがでしたか?

ああ、彼はすごく良かったよ。もともと俺とGregは親しい友人で、お互いのことが良くわかってるからコミュニケーションが取りやすいっていうのがまず便利だよね。スタジオでもうまく一緒に仕事ができたし。それに彼はすごく才能豊かなパフォーマーでありプロデューサーでありエンジニアだからね。だから今回の作品では彼にたくさん演奏してもらったよ(笑)。