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INTERVIEW

Japanese

THE BEACHES

 

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Member:ヒサシthe KID(Vo&G)

Interviewer:杉浦 薫


-それはライヴを重ねてきての変化ということですか?

うん、もちろんあると思う。そういう曲が欲しかったのもあるんだけど。ドラム、ベース、キーボード、3人ともリズム隊みたいな感じなんけど、そこできっちり形作られてると、ギターを弾きたくないっていうわけじゃないんだけど、小難しいことはやりたくないの。いらないものは入れなくてもいいと思ってて。それはどの楽器もそうなんだけど、ギターが一番そうなりやすいよね。一番ウワモノだから。

-『Hi Heel』を製作するにあたって、日本の古い歌謡曲にインスパイアされたということですが。具体的にはどんな曲にインスパイアされたのですか?

具体的には何もないです(笑)。イメージだけ。改めて聴き返してもない(笑)。セッションをやっていく中で、そういうことに通じるなっていうのは思ってたんだけど、改めて聴き返してみてどうこうしようと思っていたわけではないんだよね。日本の古い歌謡曲のイメージって、とにかく大袈裟なの。一個一個のリフも大袈裟だし、メロディーも大袈裟。そういうことを思い切ってTHE BEACHESでやってみても面白いかなっていう”イメージ”だったんだよね。あとTHE BEACHESを始めてからずっとそうなんだけど、阿久悠が凄く好きだから、THE BEACHESで出来る阿久悠的なことってないかなっていうのが頭の中にあった。煮詰まったりすると阿久悠の詩集を読み返したりして。実際に阿久悠的なことをやってますとは言えないかもしれないけど、俺の歌詞の書き方の一つの指針になってはいるんだよね。

-阿久悠先生の書く歌詞というのは、ヒサシさんの中でどういうイメージですか?

楽曲との距離感が絶妙というか。この曲にこんな歌詞乗せるの?っていうギャップが凄いんだよね。凄く明るくて楽しいアッパーな曲なんだけど、めちゃくちゃエグい男女関係の歌詞が乗ってたりして、それを10代のアイドルに歌わせるっていう(笑)。ストーリーも面白いんだけど、思い切った言葉選びをしていて、それがメロディーに乗った時にポップに響くっていうのが凄いなって思う。当時の作曲家との相性っていうのも抜群なんだろうけど、落とし所が凄い。ユーモアもあるし。当時の世相にチクっといく感じがあるんだよね。

-ヒサシさんの書く歌詞は、言葉遊びっぽいところがありつつも、わかりやすい日本語の歌詞できちんとメッセージが伝わってくる部分もあって、非常に興味深いです。歌詞についてのこだわりや美学について教えてください。

そうだなぁ・・・多分ね、THE BEACHESに関して言うとね、『Hi Heel』を含めて、8~9割の曲に言えることだと思うんだけど、“自分事”をあんまり書こうとしてないっていうか。一個の切り取った風景の中の小さい物語を書こうとはしていて。そこにユーモアがあってほしいと思ってもいる。まぁ、ざっくり言うとそういうことなんだけど、なんでそういうことをしようとしているかというと、さっき言った阿久悠的なことだったり、昔の日本の歌謡曲的というか。もっと日本語で出せるユーモアだったり、その時代だからこそ有り得る歌詞とか言葉選びとか、そういうことが単純にやりたいんだよね。それをやる為に、自分の中で曲のテーマに対して縛りを作ってたりする。
今街で聞こえてくる日本語の歌って大概嫌いで。そんなことを歌に乗せなくても・・・みたいな、なんの面白味もないようなことばっか歌ってる曲が殆どだから。そうじゃなくて、もっと聴く人にとって面白いものになって欲しいっていう気持ちが常にある。例えば、普段からちょっとは感じてることなんだけど、それってこんなことだったっけ?って思ってもらうことが大事っていうか。そういうことによって、イメージが違う世界に飛んでいくだろうし。そのキッカケではあってほしいと思う。