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THE YELLOW MONKEY 先行試聴会潜入レポート

 

THE YELLOW MONKEY 先行試聴会潜入レポート

Writer : 藤坂 綾 Photographer:横山マサト

結成35周年を迎えたTHE YELLOW MONKEYが、10枚目のオリジナル・アルバム『Sparkle X』を5月29日にリリース。そのアルバム発売に先駆け、メディア向けの試聴会&合同メディア・インタビューが5月10日に都内で開催され、アルバムの全貌が明らかになるとともに、そこに込めた想いを吉井和哉(Vo/Gt)、菊地英昭(Gt)、廣瀬洋一(Ba)、菊地英二(Dr)の4人が語った。

アルバムの話の前に、まずは4月27日の東京ドーム公演([THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 "SHINE ON"」])を振り返る4人。2023年10月に吉井和哉が病気を公表、その治療を終え、実に約3年半ぶりとなった東京ドーム公演である。"ライヴ前日は興奮して眠れなかった"と言う廣瀬(HEESEY)に吉井が"演奏がキレッキレだったからこれからも寝ないほうがいいんじゃない?"と返し、笑いを誘うものの、"それも含めて歴史に刻まれるようなライヴになって良かったと思います"と笑顔で話す。吉井が"プレッシャーや不安はあったものの、スタンバったとき逆にスイッチが入っちゃって、ロックには切羽詰まった状態が必要なんだなと、いい勉強になりました"と当日のリアルな状況を振り返ると、菊地英二(ANNIE)は"これまで5回やってきて初めてドームを俺たち色に染められて、2階席の奥までTHE YELLOW MONKEYのエネルギーで満たすことができました"と満足げな表情で語る。そして、"過去一番、お客さんと一体になれた(東京)ドーム(公演)だったと思います。お客さんに守られている感じもあったし、一緒に楽しもうという気持ちがすごく伝わってきました"と最後に菊地英昭(EMMA)。この日を待ち焦がれていたであろうファンとともに、また忘れられない夜を作り上げた喜びが伝わってくる。それは、オープニングの「バラ色の日々」のとき、"イヤモニを外してました。それは聴かないと始められないと思ったので。あの声を聴いて、絶対いいライヴになると確信しました"というHEESEYの言葉からも感じ取れた。

ストレートな王道のロック・アルバム――この日、ここで聴いた11曲は、新たな実験をしたわけでもなく奇を衒ったわけでもなく、ただただバンドの真骨頂とも言える、ドがつくほどにまっすぐなロック・ナンバーという印象だった。華やかさや煌びやかさとは真逆と言っていいほどに、腹の底にずっしりと響く感触。そしてその腹の底の部分から、人間くささや泥くささ、生と死が渦巻いていくような感覚。それはまるでリアルなドキュメントを観ているかのような感覚だ。音も歌詞もまっすぐで生々しい。

地を這うようなギターで始まる「SHINE ON」でアルバムは幕を開け、ヘヴィな「罠」と王道のロック・チューンへと続く。太くまっすぐ根を張ったロック・チューンに身体を突き動かされる。大地に根を張り、その揺るがない根から広がっていく数々の音。その音には間違いなく命が吹き込まれ、生き生きと鳴っている。そんなまっすぐなナンバーに加え、「ホテルニュートリノ」ではスカのリズムを取り入れ、新たな側面を見せる。

サウンド面に関しては"原点回帰しつつも、ありそうでなかった曲もあるし、完全に新しい曲もあるし、ちゃんと今のTHE YELLOW MONKEYっぽさを持った作品になったんじゃないかと思います"とHEESEYが言うと、"ロックのフォーマットをもう一度見つめ直して、ロックの原点に戻った作品"と吉井がつけ加える。そして歌詞については、「ホテルニュートリノ」の"人生の7割は予告編で 残りの命 数えたときに本編が始まる"という歌詞を例に、吉井はこう答えた。"生きるか死ぬかの病気になって、改めて命っていつまでもあるものじゃないなと。それと同時に真正面から生きるということに向き合って、今できるロックってなんだろう? と考えたことで、必然的にそういう要素が歌詞に入ってきた"。それを受けANNIEは"今までオブラートに包んだような歌詞だったけど、今回は、こんなにストレートに来るんだって思いました"と話す。

そんなシーンとは裏腹に、「ラプソディ」についてのエピソードを話すメンバーの楽しそうな姿といったらもう少年みたいで、それにつられるかのように、実は試聴の最中この「ラプソディ」の歌詞が衝撃的なうえ頭にこびりついてしまい、何度か笑ってしまったのだけど、他のメディアの方たちはいったいどうだったんだろう、その表情も見てみたかったななどとくだらないことを考えてしまった。こういうユーモアを忘れないところもやはりイエモン(THE YELLOW MONKEY)だし、少年の心を忘れないところもやはりこのバンドの魅力だと改めて痛感する。

壮大で開放的な菊地英昭作詞作曲の「Make Over」もアルバムのいいアクセントとなり、それと同時に今のバンドの状態も窺える。歌詞に出てくるスペイン語の"Pura Vida"は、調べたところ英語に訳すと"Pure Life=純粋で素朴な生活や人生"だそうだが、"元気かい?"、"元気だよ"、"じゃあ、また"といった挨拶などでも使わるらしい。爽やかで清々しくて、それでいてリアル。そしてラストの「復活の日」でアルバムは終わる。ストレートなタイトルにストレートな歌詞。淡々としたメロディだからだろうか、余計に沁み渡るものがある。新たなロックンロール・アンセムの誕生と言っても過言ではないだろう。

アルバム・タイトル"Sparkle X"は、"東京ドームのタイトルが「SHINE ON」だったので、それと連動していた部分があって。もう一度輝こうというのがキーワードとしてあったので「Sparkle」、「X」は10枚目という意味の他にこれからまた未知のものに向かっていくということで付けました"(吉井)とのことで、まさに"復活の日"を祝い、これからの未来が見えるような作品となっている。不屈の魂で作り上げた不滅の最高傑作。THE YELLOW MONKEYの強い意志と強い生命力がここには満ち溢れている。

王道であり、変化と進化、そして新たな側面も見せたアルバムについて最後に吉井はこう言った。"今までのTHE YELLOW MONKEYの、シャツのボタンを3つくらい開けて「Yeah!」みたいな感じはあんまりないかもしれないですが、代わりに出てきた新しい部分は大事にしたいし、それは新しいTHE YELLOW MONKEYの宝石だと思っています"。

デビュー記念日の5月21日にはファンに向けたアルバム試聴会が開催され、全国ツアー("THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 ~Sparkleの惑星X~")も発表された。この宝石の輝きがツアーによってどう変化していくのか――これまでの想いを全部引き連れて、これからの足跡を見届けたい。



【MIRROR BALL】STORY of THE YELLOW MONKEY Vol.2 - #01. Self Liner Notes


▼リリース情報
THE YELLOW MONKEY
10th ALBUM
『Sparkle X』
2024.05.29 ON SALE
[WARNER MUSIC JAPAN]
tym_shokai.jpg
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
WPZL-32128~9/¥4,950(税込)

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【通常盤】(CD)
WPCL-13560/¥3,300(税込)
特設サイトはこちら

▼ツアー情報
"THE YELLOW MONKEY TOUR 2024-2025 ~Sparkleの惑星X~"
[2024年]
10月15日(火)神奈川県民ホール 大ホール
10月20日(日)愛媛県県民文化会館 メインホール
11月1日(金)名古屋国際会議場 センチュリーホール
11月7日(木)広島文化学園HBGホール
11月10日(日)神戸国際会館こくさいホール
11月15日(金)福岡サンパレスホテル&ホール
11月21日(木)仙台サンプラザホール
11月26日(火)宇都宮市文化会館 大ホール
12月1日(日)札幌文化芸術劇場 hitaru
12月7日(土)福井フェニックス・プラザ エルピス大ホール
12月9日(月)大阪 フェスティバルホール
12月13日(金)川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1ホール
12月28日(土)日本武道館

[2025年]
1月8日(水)名古屋国際会議場 センチュリーホール
1月15日(水)大阪城ホール
1月19日(日)仙台サンプラザホール
1月24日(金)埼玉 ソニックシティ 大ホール
2月7日(金)東京ガーデンシアター
2月11日(火・祝)福島 けんしん郡山文化センター 大ホール
2月14日(金)福岡サンパレスホテル&ホール
2月23日(日)岡山 倉敷市民会館
3月7日(金)熊本城ホール メインホール
3月14日(金)富山 オーバード・ホール 大ホール
3月17日(月)大阪 フェスティバルホール
3月20日(木・祝)仙台サンプラザホール
3月27日(木)レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール
4月4日(金)福岡サンパレスホテル&ホール
4月13日(日)山形 やまぎん県民ホール 大ホール
4月22日(火)愛知県芸術劇場 大ホール
4月30日(水)東京 NHKホール

[チケット]
指定席 ¥10,000(税込) / 立見指定 ¥10,000(税込)※設定のある会場のみ
特設サイトはこちら

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